【OW2】翻訳:ターゲットの優先順位
問:
あなたはソルジャーです。シグマ・ジャンクラット・ライフウィーバーがいます。
誰を撃つべきでしょうか。
海外のOWコーチ・Spilo氏による「You Don't Understand Target Priority in Overwatch 2」という動画の翻訳・要約。
訳は雑だしニュアンスが間違ってる部分も多くあると思うので、気になる方は動画の方を見ていてだければ。
動画の進行通りに訳すわけではなく、順番が前後して翻訳している部分もあります。要約ということで。
以下、翻訳・要約。
OW1の頃からよく言われている、「誰を狙うのか」という問題について。
例えばゲンジはアサシンで、タンクではなく後衛の弱いやつを狙いに行くかもしれない。
しかし、ターゲットの優先順位というものは、ほとんどが迷信(myth)だ。
以前にタンクについて解説したときは弱い相手を狙いに行けと述べたが、それにはニュアンスが欠けている。
特定のヒーローで特定のターゲットを狙うのは、リソースの効率が悪い・他の重要なことに注意が向かなくなるという点から、非常に危険だ。
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ターゲットの優先順位のプロセスの解説。
撃ちたいターゲットに対して、それができる良いポジションを選択する。
ヒーローの特性を活かせるアングルをとったら、再評価して都合の良い・手軽な(Convenient)相手を撃つだけだ。
最初に撃とうと決めていた相手を撃たなくても構わない。
例えば、トレーサー。
バックラインを狙うために、近距離・オフアングルにセットアップする。
そうすると相手は対応し、位置が変わり、遠くに行き撃てなくなる。
こうなると、タンクしか撃てなくなるが、問題はない。良い角度から都合の良い相手を撃つだけだ。
ここで、「トレーサーは弱いバックラインを撃ちに行くもんだから」といって、ブリンクをいくつか使って遠くの悪いポジションに行くのは良くない。
ポジションは、ターゲットよりも重要だ。
ターゲットの優先順位がポジションに影響を与える場合もあるが、基本的に自分のポジショニングよりもターゲットの選択が優先されることはない。
まずは撃ちたい相手を狙うようにポジショニングするが、アメフトでクオーターバックがオーディブルをコールするように、セットアップ・ポジショニングに対応されたら、そこですべきことを変更する必要がある。
そこで、それがタンクだろうと簡単なもの・都合の良いものを撃てばいい。
(オーディブル:相手の配置等から判断して、プレイ直前に作戦を変更するようなコール・指示を出すことらしい。アメフトは詳しくないので間違ってたらごめんなさい。)
簡単なもの・都合の良いものと言っても、これにはいくつかの例外がある。
マトリックスを展開しているD.vaには攻撃しても意味がないし、ウィンストンは近くに手頃な相手がいてもそれがタンクであれば有効ではない。ウィドウメイカーは撃ちやすいタンクではなく、遠くにいる相手のスナイプを狙う場合が多いだろう。
そのような例外はあるものの、多くのヒーローは自分の得意なアングルでプレイして、タンクであっても簡単なものを撃てばいいんだ。
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リプレイからの解説。ゲンジ。パライソ。
近距離・オフアングルを取りに行こう。
では、ここから誰を撃つかという問題だ。
ドゥームフィストを撃てる。バスティオンを、イラリーを、バティストも撃てる。
が、それはあまり重要ではない。
多くのヒーローにとってターゲットの優先順位が重要なのは、タンクと弱い相手を選択できるときには通常は弱い相手を撃つだろうというぐらいで、わざわざそれを目的にこのポジションに来たわけではない。オフアングルで近距離だからだ。
ターゲットの優先順位なんてのは、ただアングルをとってそこにいる相手を撃つだけだ。単純なこと。
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パライソ第三。
ゲンジが得意な、近距離で戦える高台の良いアングルを取っている。
一部の人が、「なぜゲンジを選んでタンクを撃ってるのか」というかもしれない。
もちろんタンクを撃つためにゲンジ(やトレーサー)を選んでるわけではないが、ここで問いたいのは、どのようなダメージヒーローがこのポジションを維持し、ある程度安全にタンクを撃つことができるだろうか。
キャスディやアッシュやバスティオンはゲンジよりはタンクを撃つことに優れているかもしれないが、それらのヒーローはあの高台のポジションを取ることは難しい。時間をかけるかアビリティを浪費しなければならないし、ドゥームフィストがいると厳しい。
あなたの目的はどこに行けばいいのかを見つけ、あとは都合の良い相手を撃つだけだ。
私(Spilo)にDMを送ってくる人が何人もいる。
「このOWCS(競技シーン)の試合で、なんでトレーサーはタンクを撃ってるの????」と。
トレーサーのポジションを確認してみるとわかります。そのポジション・アングルは他のダメージではキープできない。すぐ追い返され殺されるだけだ。
ここでは誰を撃つべきだろうか?この場合はバックラインだ。
ドゥームは遠くに行ってしまい、同じくらいの距離だったとしたら弱い後衛を狙う方が良い。
これは間違いだ。不要に追いかけてしまったためにいいポジションを明け渡すことになるし、風切りや木の葉返しも浪費することになった。
別の例。シャンバリのキャスディ。とトレーサー。
さて、このトレーサーは何をしたのか。
パルスボムを持っていたので、ポジション・アングルよりも攻撃しに行くターゲットを優先してしまい、死んでしまった。
トレーサーがするべきだったのは、ブリンクをして良いポジション・アングルをとって落ち着いてプレッシャーをかけ続けることだった。
キャスディに戻って。ラマットラを撃ってればいい。ラマットラが死んだらゲンジが来た。じゃあゲンジを撃てばいい。
セットアップして射撃、セットアップして射撃。それだけだ。
ターゲットの優先順位は問題ではない。重要なのはポジションだ。
ラインハルト。
ラインハルトは角や門で戦うのが得意だ。だからそこを目指せばいい。
ラインハルトは誰を殴ればいいのか?角を見つけて機会を探す。近距離に行きたい。近距離で戦える角はどこだ。
バックラインの弱いやつにチャージしに行っても死ぬだけだ。そうじゃない。
自分にとって都合の良い角をターゲットにする。
ラインハルトはトレーサーを殴るのが目的なのか?そういう問題じゃない。自分にとって都合の良いポジションに行くのが目的だ。重要視すべきことはポジショニングだ。
さて、これらはダメージロールだけの話ではない。サポートの優先順位について考えよう。
青チームのゼニヤッタだったとして。誰に調和のオーブをつけるべきか。
この場合、ウィドウではなくモイラにつけるべきだ。
なぜならば、モイラが前のポジションで何かしている(戦っている)からだ。
もちろん戦っていなくても瀕死の味方に調和のオーブをつけるのは悪くないが、基本的には何かしている(戦える)ポジションにいる味方にオーブをつける。
マーシーでもそうだ。戦ってる味方にヒールなりダメブなりを繋ぐ。
一般的にはマーシーはソルジャーにポケットするべきかもしれないが、今繋いでいるソルジャーは何かができるポジションにいるわけではない。
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(以下は私による補足)
ピックを決める段階で、サポートは大まかにヒール対象を決めるかもしれない。アナやバティストがタンクをヒールして、ブリギッテやゼニヤッタがダメージやサポートをヒールするようなイメージで始めるだろう。
なんだけどももちろんそれは状況次第だし、重要なのはヒール対象の優先順位ではなく、ポジショニングや戦い方・交戦地点へのサポートだ。
以前に配信で見た、あまりレートの高くないプレイヤーのキリコ。
前で抑えているドゥームについて行っている。これはいい。ヒールしてる。
なんだけども、
ドゥームのヒールが終わったから、遠くで戦ってロケーターで離脱したソンブラのほうへ神出鬼没してヒールしに行ってしまった。
こういうのが、「ポジションよりもターゲットを優先してしまっている」という例だ。前線で孤立したドゥームは死んでしまった。
「ヒーラー」という意識が高いのかもしれない。前線の高台で抑えているドゥームをサポートできるのはキリコの特徴なはずなのに、ドゥームのヒールが終わったら次のヒール対象へ飛んでいってしまった。
やるべきことは前線のポジションを抑えること・そのサポートなはずだ。ヒール対象のターゲットを探すことではない。
このプレイヤーだけでなく、こういうことはよくある。これらに関しては、私の過去の記事を参照していただければ。
要約・翻訳はここまで。
重要な点は、「ターゲットよりもポジショニングが優先される」ということ。
「トレーサーはウィドウに絡みにいかなきゃ」という意識が強すぎると、ブリンクをいくつも使って遠くへ行くことになり、アビリティを浪費するしいいポジションをキープできないことになる。
トレーサーやソンブラなんかの使い方として、「フランカーになりすぎないように」というような指導がなされることがある。
裏取りばかりを狙うのではなく、適切なポジショニング・アングルを作れるというメリットを活かして、手前にいるタンクからプレッシャーを与えていくということが重要な場面は多い。
タンクもそうだ。ダメージやサポートを狙いに行くけども、深追いはしない。
サイドや高台にいる相手をどかすように戦えば、いいポジショニングができエリアも取れる。そうしてタンクを虐めていけばいい。
「バックラインを狙うから」と言って突っ込んでいくと死ぬだけだ。良いエリアを取れれば有利なんだから、そこを放棄する必要はない。
私の過去の記事でも、「撃つ前に移動しようね」とか「なんで撃ってんの?」とか「撃つな」とか、そういうことを結構強調してる。
誰を撃つとかどう撃つとかじゃなくて、アングルやポジションのほうが重要。
Spiloコーチは誰を撃ってもいいと極端に表現しているけども、もちろん誤解をしてはダメで、ポジショニングが最優先ということだ。
後ろの方から相手のタンクをペチペチ撃ってても仕方がない。それはタンクを狙うというターゲッティングが悪いわけではなく、そういう戦い方がしょうもないんだ。
後ろで撃つだけでなく、適切なアングルを取ったり、いいポジションで戦えるような戦い方を目指すべきだ。
そうしたうえで、タンクを撃つことはもちろんたくさんある。というかタンクから攻撃するべき場面のほうが多いとも思う。
良いアングルから撃つから相手のタンクにプレッシャーを与えたり、アビリティ・リソースを吐き出させることができる。それによってタンクが退いたり、他の相手のキルが狙えるようになる。
「タンクばっか撃ってんじゃねえ」という表現がなされることがあると思うが、より的確に表現するならば「タンクを撃つだけになるような戦い方をするな」とも言うべきか。
ポジショニングする、アングルを作る、エリアを取る・抑える、アビリティを吐かせる。そうした後に、タンクを撃つような場面は多くある。
多くの場合、最初からタンクを撃つのが目的ではない。タンクを殺せる状況を作るほうが先決だ。
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記事の一番初めの問い。誰を撃つかな?ってやつ。
この記事を読んでいただいたなら、答えはおわかりですね。
撃たずに逃げろ!三人に勝てるわけないだろ!!正面で撃ってんじゃねえ!!!
参考動画:aokigahara選手
ヒットスキャンヒーローのポジショニングについて解説されています。非常に良い内容なので、ぜひ見てみてください。
参考動画:SpiloコーチのHeesang解説の翻訳
Crazy RaccoonのHeesang選手のプレイングについての解説に日本語訳が付いたものです。
この記事の内容を、トッププロのプレイングに照らし合わせて確認することができます。
2024/08/30 デ・カイパー志熊