令和4年4月から始まる個人関連情報とは
個人情報保護法が改正され、「個人関連情報」という分類が創出されました。この改正法は今年の4月1日から施行されることになっています。個人情報を扱っていない企業であっても気をつけなければならない新しいルール。この記事でポイントを確認していきましょう。
個人情報保護法とは?
個人情報保護法はその名のとおり、個人に関する情報を保護するための法律ですが、その主たる目的の一つは、個人情報を取り扱う際のルールを定め、プライバシー侵害などの不利益を抑止することにあります。個人情報をビジネスに利用する場合、その事業者には個人情報保護法により様々な義務が課せられます。個人情報を収集する場合に利用目的を明示する義務や、本人からの要求に従って法定事項を開示する義務など、短いコラムでは書き尽くせないほど多様で広範な義務が規定されています。行政機関としては内閣府の外局として設置されている個人情報保護委員会が所管しており、個人情報保護法に違反する事業者に対して是正命令が出されることもあります。
改正個人情報保護法の概要とは?
個人情報の保護は、欧州をはじめとする世界各国で法制化や規制強化が行われており、背景にはIT技術の発展に伴い今まで想定されていなかったような個人情報の使われ方が増加したこと、かつそれが国境をまたいで行われることも珍しくなくなったことから、ルールを定めて個人の権利を守る必要性が高まったという事情があります。日本でも個人情報保護法が制定されており、時宜に即したルールにアップデートする為、政府は3年毎に改正することを謳っています。
今回の改正内容を一言でまとめることは難しいですが、影響の大きそうなポイントは以下のようなところです。
本人の権利を保護するための規制強化
「仮名加工情報」、「個人関連情報」など新しい定義の追加
法定刑引き上げによる罰則強化
外国事業者に対する実効力の強化
個人関連情報とは?
個人関連情報は「生存する個人に関する情報であって、個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないもの」と定義されておりますが、一般の方にはこれだけでは分かりにくいですね。具体的にはCookie情報が例として挙げられます。Cookie情報単体では個人を特定できない為、個人情報には該当しませんが、個人に紐づく情報ではあるので、新しく定義された個人関連情報に該当することになります。
Cookie情報はいわゆるターゲティング広告などで幅広く利用されています。Cookieという識別子を渡すことで、インターネットブラウザの閲覧履歴を元に個人の嗜好に合わせたWeb広告を表示する技術です。これはユーザーにとって興味のある広告が表示されやすいというメリットがある一方、自分のWeb上の行動が監視されているような心地悪さを感じさせるデメリットもあります。改正前はこの個人関連情報は個人情報に該当しない為、その取り扱いに法律の規制が及んでいませんでしたが、それを良いことにユーザーの想定しないような使われ方が横行していました。リクルートキャリアが求職者の内定辞退率を企業に提供するという、いわゆる「リクナビ事件」が世間の耳目を集め、そのような個人に関する情報の取り扱い方はいかがなものかという批判の声も大きくなりました。そういった背景から、個人情報ではなくても個人に関する情報を個人関連情報として位置づけ、一定の場合に法律の規制をかける改正がされました。
個人関連情報を扱う場合に何をする必要があるのか?
個人情報は扱わないのであまり関係ないな、と考えていた企業にとっても、個人関連情報を扱っている場合は個人情報保護法の規制に気をつける必要が出てきました。個人関連情報を提供する場合、提供先で個人データと紐づけられるかどうか、紐づけられるのであれば本人の同意は取れているのか、について確認する必要があります。また、その確認について記録を残す義務が法定されます。リクナビ事件の例でいえば、内定辞退率の情報を企業に提供する場合、提供先の企業に対して、応募してきた求職者の個人情報などと紐づけて管理するのか、紐づけるのであれば求職者本人の同意は取れているのかを確認し、その結果を記録に残しておくことになります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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