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減価償却費の計算で最初に理解しておくべき2点を解説

会社で経理をしていたり、簿記の勉強をしていると、必ず出てくる「減価償却費」。
理解してしまえば応用が効きやすいところではありますが、計算がやや特殊で、とっつきにくい部分があるのもまた事実。
そこで本記事では、減価償却費でまず最初に理解しておくべき2つの項目(計算方法、計上のしかた)を、わかりやすい事例と共に解説していきます。


減価償却とは


会計の世界では、「費用収益対応の原則」という、揺るがしようのない原則が存在します。簡単に説明すると、「一会計年度(通常は1年間のことを指します)において費用と収益を対応させること」となります。

例えば、200万円の車を購入したとしましょう。この場合車は、1年以上使用されると考えられるでしょう。この仕訳を行う際に、購入年度に一括で費用計上するのではなく、使用されるであろう期間に応じて、特定の計算方法によって、数年に渡って費用を分けて計上することが決まりとなっています。この考え方を「減価償却」と呼びます。


計算方法(定額法と定率法)


まずは、どのようにして減価償却費の計算をするのかを、先程の車の例を使って説明していきます。
本記事では、減価償却費の計算方法でまず押さえるべき2つの方法を中心に解説します。

①定額法

定額法は、「単純な割り算」です。これだけでOKです。
早速、実例をもとに解説します。

200万円の車を購入し、これを4年で償却する(つまり、4年間かけて200万円を費用化する)としましょう。
定額法という名のごとく、毎年、同じ金額を減価償却費として計上するため、毎年の減価償却費を求める計算式は、下記のようになります。

200万円 ÷ 4年 = 50万円

したがって、1年目から4年目まで、毎年50万円を減価償却費として計上することになります。

②定率法

これに対し、定率法は、毎年決まった「償却率」で償却をしていくことになります。この「償却率」については、減価償却資産の償却率表(国税庁)という資料があり、これに沿って求めていくことになります。

先ほどの例(200万円の車を4年で償却)の場合、償却率は「0.625」となり、資産価額について、償却率を毎年乗じて、減価償却額を求めます。実際に求めたものが下記の通りです。

1年目:200万円 × 0.625 = 125万円

車の残りの帳簿価額 = 200万円 – 125万円 = 75万円

2年目:75万円 × 0.625 = 468,750円

車の残りの帳簿価額 = 75万円 – 468,750円 = 281,250円

3年目:281,250円 × 0.625 ≒ 175,781円(円未満は切り捨てます)

車の残りの帳簿価額 = 281,250円 – 175,781円 = 105,469円

4年目:残りの105,469円を償却

これを見てもわかるように、定率法は、初年度の償却額を定額法よりも多めに計上される、という特徴があります。


その他の減価償却方法もある


上記2通りが減価償却計算の主流ですが、他にも、「級数法」や「生産高比例法」などがあります。あまり一般的ではないため、ここでは説明は割愛します。

計上のしかた(直接法と間接法)
次に、実際に計算した減価償却費を仕訳として計上する際に、どのような仕訳になるのか、その方法について解説します。
ここでは、先程の例に従って、購入年度(1年目)に定額法で50万円の減価償却費を計上する際の仕訳を行っていきます。

①直接法

直接法は、資産減少額(=減価償却費の価額)を、直接減少したものとして仕訳する方法です。仕訳例は下記の通りです。

借方科目 金額 貸方項目 金額
減価償却費 500,000 車両運搬具 500,000


資産価値減少額を、減価償却費で直接減少させるため、直接法と呼ばれます。

②間接法

これに対し、間接法は、資産価額を直接減少させず、一時的に「減価償却累計額」という科目を使って減価償却費を計上することになります。仕訳例は下記の通りです。

借方科目 金額 貸方項目 金額
減価償却費 500,000 減価償却累計額 500,000


貸借対照表には、資産価値減少額の合計が、「減価償却累計額」という科目によって明示され、車両運搬具自体の帳簿価額は減少しません。したがって、間接的に減価償却を認識することになり、このことから、間接法と呼ばれます。


おわりに


減価償却費の計算で最初に理解しておくべき2点について解説しました。実務における減価償却計算時には、残存価額(備忘価額)や特例の適用(少額減価償却資産・一括償却資産、特別償却等)など、他にも減価償却の計算を惑わせる様々な問題があります。しかし、今回解説した基礎的部分を抑えておくことが、応用的部分の理解に繋がってきますので、ぜひ、今回解説したところは理解してほしいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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