idea sound product IDEA-RTXver.1について
こんにちは。
今回は自分のお勧めの歪みペダルであるIDEA-RTXについてお話ししようと思います。
どういったペダルか
「長きに渡り評価され続けているVintage RATのサウンドをidea sound productの解釈により大幅に改造。ギターのボリュームに対する追従性は、普段アンプで音作りをするギタリストの感覚にベストマッチ。ギターのボリュームがフルテン時にはBogner Ecstasyを、絞るとMarshall JCM800を彷彿とさせるサウンドを得ることができます。」(公式HPより引用)
メーカーによると、RATを現代的にリファインしたペダルで、ハイゲイン時にはBogner、ローゲイン時にはJCM800に近いサウンドが得られるペダルということです。
サウンドについて
まずは各モードのサウンドレビューです。
本機は筐体正面のトグルスイッチで歪みの幅が大幅に切り替えられるため、各モードごとに所感をお話しします。
ローゲインモードではほとんど歪まず、ほぼクリーンブースターといっていいほどのゲイン量です。しかし付与される歪みの質が他のどのエフェクターとも違います。トランスペアレント系に分類されるような歪みなのでしょうが、janrayやBB系のような「ざらついた歪み」とも違い、形容するのが難しいのですが「歪み」というよりもサチュレーションに近いような歪み方で、原音の上にキラキラした倍音が乗ってくる、みたいなイメージでしょうか。アンプのブライトスイッチをオンにしたようなプレゼンスが加わります。試したことはないですが、y.o.s工房のSmoggy Driveあたりがおそらく近いキャラクターなんだと思います。
ミドルゲインモードでは、いわゆるジャキジャキ系のオーバードライブです。感覚としてはOCDをより鋭くして、ミドルがすっきりさせたイメージでしょうか。このトーンがJCM800っぽいというメーカーの説明に一番合致する部分だと思います。シングルコイルのミックスポジションでコードを鳴らすとナンバーガール的な鉄鉄しいサウンドになります。かなりオルタナティブでお勧めです。
ハイゲインモードではかなりゲインの高いディストーションサウンドが得られます。歪み量としてはゲイン12時より前で頭打ちといった感じで、それ以降はゲインを上げていくほど歪みが飽和していくイメージで、ローミッドが分厚くなっていきます。このあたりの挙動がアンプ的だと感じます。
メーカーの触れ込みとの違い
かれこれこのペダルを2年以上メイン級の歪みとして使用していますが、リハスタ、ライブハウスで使用する中で、メーカーの説明と実際に感じる印象で同じだと感じる部分、そうでない部分がわかってきたのでその点に絞ってお話しします。
相違点 RATの音ではない
結論から言えば、RATを現代的にしたペダルという印象はほとんど感じませんでした。いわゆる1981 DRVのようなRATの解釈の仕方ではないようです。
RATとの一番の違いはそのレンジの広さにあると思います。
RATのサウンドは、「(良くも悪くも)エフェクター 臭いナローレンジ」な点に特徴があると思っています。昨今のアンプライク系ペダルにおいて主流の「ローからハイまで拾い再生レンジ」とは真逆のサウンドです。しかしIdea RTXは、メーカーが謳っているように明らかに「アンプ」を意識したワイドレンジなサウンドだと思います。一般的なRATの評価である「ローが出ない」「ゲインをあげるとファズっぽくなる」といった特徴はないと言えると思います。
確かに、似たような歪みのキャラクターが感じられるポイントは随所にあります(特にクランチサウンド)。しかし、全体的にドンシャリ傾向があるため、RAT特有のややファズっぽい太いサウンドは出ません。そのため、RATの音像を壊さない「ブライトめなRAT」を求めている方は少しがっかりすると思います。
共通点 ギター本体のボリュームへの追従性が良い
RATも手元のボリュームコントロールへの反応がいいペダルとしての評価を散見しますが、Idea RTXも同じく敏感に反応してくれます。ですがそこはさすが現代のペダルということでしょうか。Idea RTXはRATとは別格の反応性を誇ります。近年の歪みペダルらしく格段に良いです。
一番ゲインの高いモードからでもボリューム操作だけでクリーンまで持っていくことができます(この点も近年のアンプライク系ペダルと似た特徴を持っていると思います)。特に素晴らしいと感じるのが、Idea RTXの前段にブースターを置いた状態でも手元だけで完璧なクリーンまで落ちる点です。
お勧めの使い方
先述の通り、Idea RTXは非常にアンプライクなペダルです。そのため、もちろん単体で使用してもいい音がしますが、そのレンジの広さゆえにバンド内で鳴らすと音が散らかったように感じることもあります。
そのため、Idea RTXをクランチしたアンプに見立てて、その前段からブースターを踏むことでレンジをコントロールする使い方がおすすめです。
例えばIdea RTXをミドルゲインorハイゲインモードに設定し、TS9、SD-1あたりと組み合わせて使うと、簡単に倍音豊かな80sハードロックトーンが得られます。
RTXのレンジの広さゆえに得られるマーシャル系らしいプレゼンスのギラギラ感と、レンジが広いが故の低域のボワつきを抑えるローカット気味のブースターは相性が良く、近年のトレンド(と各種メーカーが謳っている)であるバイト感たっぷりの、ジャンルを選ばない王道なロックサウンドが得られます。まず嫌いな人はいないでしょう。
個人的に特に注目しているのはローゲインモードでの使用です。
プロアーティストの方々がjanrayのようなトランスペアレント系の歪みを最前段につないでバッファ的に使用している様子をよく見かけますが、同様に歪みペダルの前段に置き、クリーンブースター的な使い方をすることで、全体的にハイファイなサウンドに仕上げることができます。
また歪みペダルの最後段に置くことで、JC120のような歪まないアンプに真空管的なサチュレーション、コンプレッションを加えることができます。TS系、ケンタ系といった、どクリーンのアンプに繋ぐとパコパコしてしまうエフェクターの「食いつき」をよくするための使用も可能です。個人的にはこのサウンドに衝撃を受けました。
結論
以上がidea sound product IDEA-RTX ver.1のサウンドに関して、実際に使用してみての感想、サウンドレビューになります。
このペダルを個人的に総括すると、
・「RAT系」というよりは「マーシャル系のアンプライクペダル」
・モード切り替えによる幅広いゲインレンジ
・このペダルをアンプに見立てて他のペダルと組み合わせての使用がおすすめ
といったところでしょうか。
良質なマーシャル系のアンプライクなエフェクターを探している方、TS系などのオーバードライブペダルをJCでうまく鳴らせないとお悩みの方などにおすすめです。
この投稿が皆さまのより良い機材ライフにつながることを切に願っております。