【システム屋考】LINEヤフーの出社回帰から考えるリモートワーク
LINEヤフー、ついに出社回帰
完全リモートで複数の案件を抱える私の視点から、LINEヤフーが2025年4月から新たな勤務形態を導入すると発表した件について考察してみたい。
個人の経験から見えるリモートワークの複雑さ
私自身は、自宅で快適に業務を進める日々。複数クライアントのIT関連業務を担当させてもらっているが、今のところ定期的に出社してくれという要請はない。
(もちろん業務の性質によって例外的にオンサイトへ行くことはある。頻度的にはたまには気分転換になってよいと思える程度ではあるが。)
しかし、これが全員にとって最適解だとは到底思えない。むしろ、個人のスキル、キャリアステージ、そして職種によって、最適な働き方は大きく異なる。
リモートワークは、自己管理能力やスキルの高いビジネスパーソンには向いているが、経験の浅い人には、質問のしにくさやチームとの一体感の欠如といった課題が出てくる。若手社員や新しい環境に飛び込む人々にとっては、対面でのコミュニケーションが不可欠な場面も多い。
新たな働き方の設計
LINEヤフーの新制度は割と明快だ。事業部門は原則週1回、開発部門やコーポレート部門は月1回の出社を求める。これは単なる後退ではなく、コミュニケーションの質的向上と新しいプロダクト創出を目指す、慎重に練られた戦略でのように見える。
しかしながら、もう少し複雑さもはらんでいるような気もする。
いくつかの記事を読んでいると、雇用の最適化が一因にあるとの指摘も見られる。
こちらの記事は、2015年~2022年のエンジニアバブルで過剰になった人員を「リモートを前提にしない環境に不満を持つ者は辞めても構わない」という強気なスタンスで事実上のレイオフに導いているのでは?と考察している。
ある種マイルドな出社回帰のLINEヤフーと対照的なのが、イーロン・マスクによるTwitter(現X)での強硬な出社政策。マスクが「オフィスに戻れ、さもなければ辞めろ」と迫ったのに対し、LINEヤフーは柔軟性を保ちながら、対面コミュニケーションの価値を再定義しようとしている。
まあ日本の会社ですしね。ある意味「まとも」だとは思う。イーロン・マスクと比べると大抵の会社は「まとも」になってしまうというね…
人類全体を考えると、マスクのような「ぶっ飛んだ」人間も必要なんだと思うが、ちょっと一緒に働くのはしんどいと思うw
話がそれた。
個人的に持っておきたいリモートワーク選択の際の重要な視点
ここまでで語ったような、社会・業界全体のトレンドは踏まえつつ、それでも個人としてリモートワークにこだわるのは全然構わないと思う。
私も引き続きこだわっていきたい。
ただ、そのためには意識しておいた方が良い点がいくつかある。
自分の専門性とリモートの相性 クラウド系システム開発・運用、インサイドセールスなど、職種特性を冷静に分析すること。これらはリモートワークに向いている職種だ。逆にどうしても向いていない職種もある。
長期的なリスク管理 フルリモート前提で地方に家を買うといった大きな決断は慎重に。東京都心まで2時間程度なら、月1回くらいの出社は耐えられるだろう。週1回だと1時間半くらい?毎日2時間かけて千葉の太平洋寄りの駅から都内に通っていた猛者も知っているが…
市場価値の維持 常に自分の選択肢を広げられるスキルを磨き続けること。結局市場価値が高いスキルがあれば、多少のわがままも通るというもの。
最適な働き方に普遍的な正解は存在しない。個人と組織の文脈の中で、常に再定義され、進化し続けるもの。重要なのは、流れに身を任せるのではなく、自分自身のキャリアとライフスタイルに合った選択肢を、主体的に見極める力を持つこと。
組織も個人も働き方は試行錯誤を繰り返す。その実験場とも言えるIT業界に関わる一人のビジネスパーソンとして、この課題には常に向き合っていきたい。