スゴイ! CROSS TREC S:PHEV試乗記
2024年12月中旬のこと 愛車:森林太くん(=FORESTER)の修理が完了したので受け取りにいくと、なんと試乗車の準備をしてくれていた。
試乗をさせていただいたので感じたことを記事にしたいと思う。
結論から言おう
『このクルマ マジ 凄いです!』
開いた口がふさがらないほどビックリして、感想を求めれてもすぐに声が出なかった。なかなか動悸が収まらない。
落ち着け落ち着け
エンジンルーム?を見せてもらって落ち着いてから
しばらく営業の勝又さんと話をした。
1)驚くほどなめらか
クルマというものは滑らかに仕上げることがとても難しい機械である。
いろんなところの『ガタ』『バネ』『遅れ』との闘いになるから。
『エンジン』『モーター』『減速システム』『デフギヤ』『ドライブシャフト』『サスペンション』『タイヤ』『路面状況』『ステアリングシステム』『ブレーキシステム』『車体』などの『異種格闘技』なのだ。しかも、『相互干渉』する。さらにタイミングも勝手気ままなのだ。複雑怪奇、めんどくさい暴れん坊達をまとめることは大変なことである。高性能を狙うとなおさらである。
校舎の裏で喧嘩しちゃうヤツもいたでしょ…。
パワートレインだけでこんなにたくさんのヤンチャな奴らの集合体。
こいつらを上手く操ることって凄いことだと思いませんか?
2)思うがまま、けれど安心
近くに屈曲しているうえに路面に凸凹加工された道があり
クルマの特性が良くわかるのでそこを試乗コースとした。
アクセルをちょっと強く踏み込むと
あの水平対向4気筒の咆哮!
踏み込むとあのサウンドと加速感
モーターががっつり加速に寄与しているのにかかわらず。
ハンドルシフト機構でシフトダウン 2つ一気に落とす
シフトダウンのショックがない
コーナー入り口でブレーキを軽く踏み
フロントに荷重をかけてステアリングを切り
持つ手の力をぬいて(指紋でもつ感じ)
ステアリングとクルマの挙動を感じる。
ステアリングをスッと切ると、滑らかに頭がインに向く。すなおだなあ。
コーナー部の路面は凸凹加工されていて
普通のクルマなら、駆動力と路面の凸凹で一生懸命なサスペンションと
協調することが出来ず ジタバタする。
全く暴れない
バタバタパタタとタイヤから音はするが凸凹路面でも駆動力の変化と反動は感じられない。
『シンメトリカルAWD』の低重心効果と、バッテリ含めた重量配分とちゃんと仕事をしているサスペンションと、駆動力制御などが絶妙に協調。
ここまでマッチングを追い込んだ実験&開発の方たちのこだわりには脱帽。
※)車体の横に大きく試乗車のステッカーが貼ってあってとても目立つので
きっちり法定速度を守り、安全に充分配慮して試乗しました。
3)安心できるインフォメーション
お家芸のアイサイトシステムも大きく進化し
さらにボタンを押すと様々なカメラやセンサーにより
後ろだけでなくクルマのまわりの様子が大きなモニターに映る。
4)しっくりとくるシートや操作系
私の森林太くん(2016年7月登録)のシートは体に合わなかったため、某日本メーカーのシートに換装している。
一方 今回試乗したこのクルマのシートはとても座りやすい。
腰の負担がすくなくて、長距離、長時間にも疲労が少なそう。
さらにペダルレイアウトやステアリングの中心と臍の位置のズレなども違和感なくしっくりとくる。
齢をとると股関節まわりが固くなり、骨盤底筋類の衰えにより、ガニ股になりがちで真っ直ぐに足を引いてまっすぐ踏み込むことが思いのほか難しくなるのだ。さらに、クルマ側の事情(居室を広げるため人の位置を前に出すレイアウトにすると結果的にタイヤハウスが手前に出っ張ってきてしまう)でブレーキペダルとアクセルペダルの位置が車両中央部に極端に寄ったり、両ペダルの高さが極端に違っていると、先ほどの理由でうまくブレーキペダルを踏めない可能性があるのだ。
このペダル位置のちぐはぐ感が『踏み間違い』が起きやすい要因の一つではないかと思っている。運転時の疲労の蓄積にも影響を与える。
シフト系も近頃EV系やプリウスのような操作に慣れが必要な『目新しいスイッチ的』ものではなく『シフトレバータイプ』で好ましい。
特に とっさの時には慣れ親しんだ操作系の方が安心安全である。大きなモニターも老眼には助かる。歳をとるとピントの移動に時間がかかるので見にくいモニターだと前方、周囲の認知が遅れる可能性があるから。
5)美しいエンジンルーム
フロントフードを開けてみる。
『美しい』
どういう意味かというと
・各ユニットがあるべきところに配置されている
・エンジン系、高電圧系、低電圧系、油圧系、吸気系、その他の配管、配線
が合理的で流れるようにレイアウトされている
・メンテナンス時、補充が必要なキャップ類のアクセスが良さそう
・工具や手が入りやすそうで、整備性がよさそう
・ごちゃごちゃしてない=故障が少ないだろう
6)気になること
・エンジン+PHEVユニットの修理、部品交換は大変そうだ。
(例 : 水平対向エンジンのヘッドガスケット交換など)
・専用バッテリの寿命と交換費用はどのくらいかかるの?
・実走行時の燃費はどのくらいになるのか?
・静かすぎる(EV、HEV共通)
・慣れると他のクルマに乗り換えると怖くなりそう。
7)試乗車の仕様
CROSSTREK Premium S:HEV
〇メーカーオプション アクセサリーコンセント(AC100V+1500W)
〇ボディカラー マグネタイトグレーメタリック
〇ディーラーオプション
ベースキット(ACTIVEトノバイザー)内容ナンバープレートベース、
ナンバープレートロックボルト、ホイールロックセット、
フロアカーペットアクティブ、トノカバー、ドアバイザー
ETC車載器
8)EVかHEVかPHEVか問題
ごく大雑把に特徴を述べてみる。
・EV
エネルギー補填は充電のみでどこでどう充電するかがキモ。特に遠距離、見知らぬ場所への移動時には不安が付きまとう。充電器の仕様も現状まちまちで急速充電設備でもいつでもフルパワーで充電できるとは限らない。短距離、走る範囲が特定されている公共交通やタクシー送迎バス、LRTなど鉄道車両など向けだと思う。必ず利用できる充電拠点が確保されていると安心。また、一番 電気を使うのは空調で渋滞時など電池残量が目に見えて減っていくのが結構心理的にキツイ。また 充電時は 暑い時は温度保護に引っ掛かる時があり、寒いときは電池を温めないと満タンに充電できない。また、急速充電を常用すると電池寿命が短くなる。ゆっくり自宅で充電(200V)し、短距離での利用が中心なら軽自動車EVを選ぶのは正解だと思う。
発電設備を持った住宅とセットで用意できると合理的ではあるのだが…。
高価で重たいバッテリ量を少なくするには小型軽量車両が合理的だが、現在の交通事情では大型車と混走せざるを得ないので衝突安全性を確保できないクルマは安全上好ましくない。高速領域はモーターの効率が悪くなり電力消費量が増えるので残存容量が急に減るのも気を付けなければいけない。
・HEV
エンジンで車輪を駆動しながら、発電機を回しさらにモーターも駆動力を賄うクルマ。エネルギー保管手段として『適量のバッテリー』を搭載している。バッテリーの量と、モーターの出力と使い方により性格が変わる。エネルギーは今のところガソリンか軽油が主体。
・PHEV
外部電源から充電できるように、充電器を搭載し、電池量も多くしてEVでの走行距離を確保したクルマ。ガソリンでも電気でも走行できるのが特徴『わたしって中途半端?』という自虐ネタCMが放送されているがどこで どうバランスを取るかがキモとなる。電池をHVEよりたくさん積むのでガソリンタンク容量は少なくなる。充電できて、短距離ならEV走行できる。
注)昔EV開発(黎明期)に従事していたこともあってEVに関する内容が細かすぎかつ辛口にかたよっている傾向がありそうです。
9)まとめ
モーターを制御するレスポンスはエンジンの200倍の速さです。
モーターはほぼ0回転から最大トルクを出す一方、エンジンはアイドリングさせねば停止するし、高速回転領域で効率が最も優れる特性。
これらを減速、変速、(AWD前後動力配分)で良いとこどりで享受できるのが、このクルマの最大の特徴です。また、高齢者にとっても扱いやすく仕上がっているのには感心しました。HEVであるから、過酷な状況(暑くても寒くても山間部でも)での電池切れの不安から解放されることも重要なコト。さらにガソリンタンクの容量を可能な限り増やして無給油走行距離を増やそうとしていることも合理的。額面だけを見ると相当高額。でも 価格以上の価値はあると感じました。今の技術の集大成はこんな感じということを体感できるので是非、実車を見て、乗ってみてほしいです。たとえ新車購入の予定が無くても。他メーカーのクルマがお気に入りでも。
★試乗させていただいたところ
神奈川スバル 厚木・伊勢原店
お世話になっている営業の方 勝又 渉 さん
近い将来に『フォレスター S:Hev』が発売されるとのことなので、また試乗させていただこうと思っています。