2022MSI 日本代表DFMの相手を見てみようの会
全然関係ないんですけどnoteのフォロワーが1000人超えたと数字で出ています。が体感そんな感じゼロです。いつも通り進めていきます。
ということで間もなく5/10から始まるLOLの世界大会MSI、ここに出るのが我らが日本代表DFM。組み合わせも決まり、実際今年はどうなのよ、的な部分を例によって見ていきたいと思う。
簡単に個人的結論を言えば「決勝トーナメント行きは結構あるんちゃうか」「数字で言うと5割越えるくらいちゃうかな」となってくる。後ほど説明するが、日本はLOLプロリーグのある地域において人口的にも過去の実績的にもほぼ最低評価の位置にいるというのが客観的かつ全世界の共通認識であり、組み合わせ的に基本的には当たる相手全部格上、ということになっている、一応。ただ、その評価で昨年秋の世界大会Worldsで躍進したのがほかでもない日本代表DFMであり、それを加味すればそろそろ「もう一つ上のクラス」にぶち込まれてもおかしくない状況であったわけで、もしかしたら「公式超下克上」が楽しめる、最低評価のPool4扱いはこのMSIまで、このMSIでも活躍しちまったら今後の世界大会でPool3(上から3番目の地域)にぶちこまれるのはほぼ確実ってなわけで、見た目の下馬評は底の底だが、昨年秋の実績を考えれば贔屓目抜きに全然いけるはず、ってところ。
怖いのはあのAriaも昨年ハマった世界大会初出場組の緊張。LJLではソロキルキングで鳴らしたAriaが昨年MSI、世界大会初戦序盤の1on1で珍しくハンドスキル勝負に負けて(初めて見たレベル)ソロキルを献上し、歯車がずれたのかラテンアメリカに負けたのも記憶に新しいところ。その後のWorldsでの活躍を考えれば「緊張」以外に説明がつかないだろう。それくらいプレッシャーがかかる場面だという話で。大きな不安はそこらへんかと。
あと長くて読み切れないという人のために各チーム注目選手を。
まずベトナムのジャングラーBeanJ、今期あのLeviを抑えてベトナムリーグMVP回数No.1。この名前だけでも覚えてって。要注目のヤベー奴です。
LLAのやんべー奴筆頭は5kidです。ADCでKP8割叩き出してリーグ1位、そのうえチームのダメージ割合30%越えなんていたらこんなありがたい大砲いないでしょ、それが5kidです。
SKTは?全員だよ!!!!!!
ちなみに大会の場所も色々持ち回りとなっているが今年のMSIは韓国。時差が少なく見やすい、と思いきやあまりに近すぎることでDFM第一戦は5/10、平日18時スタート、と社会人は逆に少し見づらい時間帯。国際大会と言えば深夜にワイワイ、といった感があるが、今回いわゆるゴールデンタイム前後に行われることになる。まあ選手的には時差もほとんどなく、DFMのメンバーはブートキャンプとして何度も韓国に渡った経験もあり、3人韓国人もいる。状況的にはありがたいと言っていいだろう。
ということでざっと見ていきたいです。例によって敬称略。記事内のスタッツはGamesOfLegendsのもので主催者発表と異なる可能性もございます。
1.MSIってなに?
まず第一にここから。わかるひとは流し読みしていってね。LOLというゲームがあるのを知っているのを前提で話すと、そのLOLというゲームは国や地域別にプロリーグを作って戦わせている。日本にもあってそれが「LJL」になる。年2回、春リーグと夏リーグで試合があり、実際この春のLJLはすでに全試合終わっていて、DFMが優勝を果たしている。で、各地域の「春リーグ覇者」が一つの地に集って「どの地域の1位が一番か決めようじゃねえか」というのが「MSI」という大会になる。日本人的には高校野球の「春の甲子園」の世界バージョンみたいなイメージが分かりやすいと思う。日本地域の代表として春の世界甲子園に出るよー、みたいな話だ。
ちなみにこの春が終わると多少インターバルがあったのちに、各国代表が国に戻って「夏のリーグ戦」がはじまる。そして夏の各地の覇者が集まるのが「Worlds」になる。こちらはさしずめ「夏の甲子園」といったところか。
春は各地域の1位同士のみの戦いだが、夏のWorldsは「強い地域の2位って実質世界2位の可能性あるくね?」「地方大会決勝で東邦に負けたけど愛工大名電出てたら準優勝だっただろ」的な声にお応えして「つええ地域は2位3位くらいまで出てもええで」というルールで出場枠が拡大し、その分規模が大きくなっている。ちなみに日本は(まだ)弱い地域なので春も夏も1枠だけです。これでも進歩したほうで、昔はこの世界大会に出るために弱い地域同士の決勝に勝たないと世界大会に出してもらえない、という時期もあったんじゃよ……日本代表がトルコやメキシコあたりに行ってボコられて速攻帰ってくる、なんてこともあったのう……フォッフォッフォ……。
ついでに、このWorldsが終わるのがだいたい11月20日前後。するとほとんどの選手が「FA」となりチームの再編成が始まる。そして約2か月後、1月中旬くらいから世界的に「春シーズン」が始まり、というサイクルで1年が回っておるのじゃよ。このMSIを見て気になったあなたは、LJLのツイッターでもフォローして夏のLJLリーグを見るのもおススメじゃよ。
2.MSI組み合わせの仕組みとDFMの位置
MSIのシステムについては海外wiki的なサイトに詳しいので、ファンの方はブックマークをお勧めしておく。で、こちらの説明を引用する形で画像を使わせてもらうと、組み合わせ抽選の前に「各地域の代表」と「各地域の位置」というものがわかる画像がある。
まあ書いてある通りなのだがPool1に3チーム、2に3チーム、3に2チーム、4に3チームとなっている。簡単に言えば上ほど「強豪地域」になる。
Pool1には世界一候補、近年の世界大会で1位経験のある韓国、中国、そしてEU(欧州)地域が入っている。
Pool2には世界一はちょい遠そうだが、それでもLOLの歴史的にずっと強豪だった、Pool1の地域と合わせて「メジャー地域」と呼ばれる北米、台湾東南アジア、そしてベトナムが入っている。
Pool3にはトルコ、ラテンアメリカ、本来は空欄にロシアも入るのだが国際事情的に、という話だ。Pool3、4の地域を指して「マイナー地域」と言ったり「プレイイン地域」と言ったりもする。この壁、わりと厚い壁です。
そしてPool4、実績で足りない感のあるブラジル、日本、オセアニアが入る。ただここも団子で、昨年MSIではリーグ突破はならなかったものの、ブラジルはPool3のトルコに2戦して2勝、日本DFMもラテンアメリカ、北米と1勝1敗のイーブン、オセアニアに至ってははPool3ロシアとのプレーオフに競り勝ちリーグ突破、とPool4地域はどこもいいイメージを持って今年臨んでくることが想像できる。
簡単に言えばPool1と2の間に実力的なデカい壁、2と3の間に伝統的なデカい壁、そして3と4は割と流動的で近年ほぼ横並び感がある、といったところだろうか。
組み合わせについてだが、Pool1-4を1チームずつ選び、4チームを3グループつくる。そしてそのグループ4チームのうち2チームが決勝トーナメント(ベスト8)進出となる。で、どうなったか見てみよう。
DFMはAグループになり、相手は「韓国代表」T1、「ベトナム代表」Saigon Buffalo、「ラテンアメリカ代表」Team Azeと当たることになった。
ちなみにBは「中国代表」Royal Never Give Up、「台湾東南アジア代表」PSG Talon、「トルコ代表」İstanbul Wildcats、そして「ブラジル代表」には日本代表と過去戦って大きなインパクトを残したちーたんことTitanのいる「RED Canids」になる。
Cグループはロシアがいない都合3チームで2チーム抜けと「あたり」感は強い。「EU代表」G2 Esports、「北アメリカ代表」Evil Geniusesに「オセアニア代表」にして、LJL出身のCorporalがいる「ORDER」の3チーム。EUと北アメリカはLOL開始当初からライバル地域としてしのぎを削っており、近年EUばかりが実績を伸ばし水を開けられている感があるが、お互い「負けられない」と思っている一戦。そしてオセアニア代表だが、昨年もこの「3チーム枠」を引き、自力でリーグに混乱をもたらし、その混沌の中で見事に勝ち上がった実績がある。昨年の再現ができるか、といったところ。
ざっとした予想で行くと、Aは韓国「T1」がまず抜ける可能性オッズ1.0倍。その下に3チーム団子、といった形。ベトナムは近年コロナの都合で世界大会に出られなかったブランクがあること、そしてリーグ1位全勝チームが別大会のため出られなくなり2位のチームが来ていること、から「本調子」とはいかないと思われる。ラテンアメリカはリーグ1敗の最強チーム「Rainbow7」がプレーオフで落ち、団子の2位グループにいた「TeamAze」が上がってきたという都合がある。日本的には過去Pool2,3のチームに負けるときは「地域代表級のジャングラー」に荒らされるという負けパターンが多かった。ラテンアメリカのOddie、ロシアのAHaHaCiKがStealを狙い撃ちし、彼らのペースに持ち込まれて、Stealがずっとひもじい思いをしながらジャングリングという形を記憶している方も多いだろう。その点今回の相手はT1はもちろん、名ジャングラーの原産地ことベトナム、GAMのLeviはいなくてもベトナムリーグMVP回数でLeviを超えて1位の新星ジャングラーBEAN Jが出てきており注目かもしれない。ここらは後で見ることに。
Bは順当に中国、台湾のワンツーだと思われる。国際大会経験豊富な2チームが時差のない韓国大会となればマイナスの余地がないというのが1点。中国RNGは2位、PSGは1位と比較的強いチームが順当に上がってきた、というのもある。トルコは近年の成績があまりよろしくない。昨年MSIに上がってきたチームとメンバーが全く同じなのだが、その昨年MSIでブラジルにも2敗し結局1勝どまりだったのも厳しそうという前評判にせざるを得ない。ブラジルはリーグ3位、プレーオフ初戦負けから怒涛の連勝ではい上がってきた勢いのあるチームだが、その「勢い」もすでに数週間経過しており、おまけにこのなかで一番ハードな移動距離、ほぼ地球の裏、というハンデ、時差問題がさすがに相当キツいだろう。
Cは順当にEU/NAだろう。お互い負けられないだけに研究は凄そう。その隙を狙えるかORDERといったところ。オセアニアでも4位、プレーオフの底から上がってきただけにさすがに研究が薄い、舐められている可能性があるだけに一発をかます余地は残っているが。
3.日本の対戦相手 韓国 T1
まずはこのT1、LOLでもっとも有名なプロチーム、と言っても間違いない。世界大会Worldsを3回制覇、MSIも2度制覇、準優勝やベスト4は数知れず、と最も実績のあるチームがT1になる。そしてその中心人物がMIDのFaker、その人気と実力の突出度から「ゴルフのタイガーウッズ」「NBAのマイケルジョーダン」「サッカーのメッシ」のようなポジション、存在感だとも評されるほど。彼自身16歳でSeason3の世界大会WorldsにT1とともに初登場し初優勝、その後のT1栄光の歴史を文字通り牽引してきた人物になる。なろう小説でも怒られるくらいの設定モリモリなのだ。最近たまにあるeスポーツ漫画的なのではだいたいFakerモチーフだろ、みたいな最強キャラが出てくる。それはもう一昔前の将棋漫画にだいたいメガネかけた物静かな絶対王者、という羽生モチーフだろ、みたいなのが出てくるのと同じように。ちなみに僕は「光速の寄せ」谷川のファンです。以後お見知りおきを。
ただ、そのT1も実績的な全盛期は2015-17で、年2回の世界大会、Worldsは2016、MSIは2017を最後に優勝から遠ざかっている。世界一の名門チームというプレッシャー、超ビッグネームFakerとの相性、そして世界中から常にマークされる難しさ、常に結果が求められるが故のコーチ/選手の入れ替わりの激しさによるチーム作りの難しさ等々もあってか、世界大会はおろか、LCK(韓国国内リーグ)の1位からも2017以降遠ざかってたのが現状だった。もちろんプレーオフや世界大会では強さを発揮し上位に食い込んだり、国内プレーオフ1位になったりもしており「世界有数の強豪」であることは間違いないものの、当時の「盤石の強さ」といったものを感じづらくなっていたのもまた事実としてある。
そんなT1だったが、この22シーズンは韓国リーグから絶好調。毎年大シャッフルが起こっていたT1のオフシーズンだが、昨年秋のWorldsベスト4からのメンバー変更、コーチ変更を最低限のTOP1人(Canna→Zeus)交代に留め、チームワークが醸成されたためか、シーズン序盤から勝ちを重ね、終わってみれば18-0、全勝で2017春以来5年ぶりの韓国リーグ優勝を決めると、プレーオフでも盤石、3-0からの3-1でリーグ、プレーオフ両方の優勝をかっさらい、文句なしの韓国代表としてMSIの舞台へと上がってきた。
レベルの非常に高いLCKをリーグ全勝での突破、というのは世界大会を連覇していた時期ですらなかったことであり、状況的には「かつてないレベルの仕上がり」となっていると言ってもいいだろう。かつて世界大会を16歳で制した”若き天才”FakerもこのMSI開幕前に26歳となる。同年代のプレイヤーがどんどん引退しており、LOLプロゲーマー25歳限界説が未だにまことしやかに囁かれる中、26歳となった”大ベテラン”Fakerがどのような活躍を見せるか、世界中が注目している。
スタッツ面で言うと、リーグ戦で特筆すべきところとしてまず序盤の強さ。LCKという最高峰において、15分段階で相手と平均+1896G差をつけている。5000Gでかなり状況が傾いているとみられるLOLプロシーンで、序盤15分でこれだけの差をつけるのは相当なことになる。ちなみにプレーオフでは7試合しかしていないがこの数値が+3641に跳ね上がるから驚きだ。その序盤力を支えるのがT1のお家芸マクロ。LCKでファーストタワー獲得率は83.7%、ぶっちぎりの首位になっている。2位が62%、3位が54.8%なのだからどれだけ傑出しているか分かるだろう。そしてタワーを取るために重視しているのがヘラルド、1試合平均1.4ヘラルド、獲得率70.9%はいずれも首位だ。
チームでのファーストブラッド獲得率60.5%も首位。そのファーストブラッドを支えているのがSUPのKeriaとJGのOner、Keriaは3試合以上プレイしたLCKプレイヤーで最高のFB関与率46.5%、Onerも同率2位で44.2%。レーンから離れて動けるこの2人が最序盤から試合を動かしにかかり、成功していることがデータからも見えてくる。
また、特徴としてTOP/MID/BOTどこからも同じくらい火力を出せるし出している、というのがある。とくにTOPがMID並にダメージを出すのはなかなか難しい中、Zeusはやってのけており、このあたりは攻撃面でEviが存在感を出して削り、MIDがアサシンするDFMスタイルとよく似ている、ともいえる。
Faker以外にもメンバーは粒ぞろいで、LCKオールプロチーム(プロが選んだオールスター)ではJGを除いた4ポジションをT1で独占。JGも2位と決して悪くなかった、ただ1位のJGが凄まじすぎただけで。どのメンバーも評価が高いが、Redditなどを見ている限り、サポートのKeriaの評価が特に高いように見受けられる。どうしてもお金が集まらずキャリーしづらく、違いを作り出しにくいサポートのポジションで確実に「違い」を作り出す動きを常にしてくる、といった感じだろうか。マップを縦横無尽に動くので、彼の動きに注目してみるのもよいだろう。
予想:リーグ突破→優勝候補筆頭
レベルの高いLCKをこの成績で突破してきた以上、もはや世界でどこが止められるのか、止められるチームがあるのか、という話になってくる。MSIの結果いかん、一カ月後には「LOL史上最強チーム」の冠をゲットしている可能性すらある。
組み合わせ的なものにも触れていこう。T1にとってはほぼ確実に「ただの通過点」なのだが、DFM含む他のグループにとっては違う意味合いを持つ。グループ2位まで突破できる以上、逆に「1強」というのはやりやすくもある、というのはサッカーW杯などでもよくある話だ。短期間の勝負、お互い2試合ずつしか当たらない世界大会のリーグ戦は実力はもちろん、研究も大いに関係してくる。ハナから2位突破を狙って「T1対策を捨てる」のもある意味賢い選択で作戦となってくる。時間もリソースも有限なのだ。相手を絞って研究して、一度しか使えない奇襲の「一発ネタ」を使おうが、たった6試合、1強がいる場合実質4試合の中でひとつ白星が獲れる、というのは物凄いアドバンテージになる、というのはおわかりだろう。そう、昨年DFMがDWGのKhanがリバーで待つことを見越してセオリー外の一発ネタ、LV1で潰しに行ったあの時のように。
ただ、この点についてはDFMにとって逆風になる可能性もある。昨年のMSI、一昨年のWorldsチャンピオンDWGと対戦した時に、DFMはDWGの序盤の動きを確かに完全に読みきり、当時の世界王者を「あと一歩」まで追い詰め世界を驚かせた、という事実がある。ただ、昨年のMSI、結局追い詰めただけで勝ちきれず、結果勝ち星が足りずに2勝4敗でリーグ敗退となったのもまた事実であり。そう、ハタから見れば勝ちの目が薄いであろうDWGを相当対策、研究していたことが試合の端々から見て取れたわけで。ハナからDWG戦を捨ててその分ラテンアメリカ/北米の対策していれば……。というタラレバもなくはないといった後味、それが昨年MSIで感じた事であり。
おそらく今年のDFMも、相手はあのT1、あのFakerということでなんなら去年以上にT1対策をして臨むと予想しています。もちろんそれ自体は悪いことではないです。本気のT1、本気のFakerとガチれる機会なんてプロ人生でそう何度もないチャンスですし、Fakerと戦う事、勝つ事を目的にプレイしてもいいくらいのアイコンでありカリスマですので。もし勝とうものなら国際的にDFMの知名度は2ランクくらいグイッと上がるでしょう。ただ現実的な話をすれば、DFMは実質的に「ベトナム代表」と「ラテンアメリカ代表」という格上相手に狭き門、一つしかない椅子を取り合わなければならないわけで、そこで限られた研究リソースをT1に割くことのリスク、そしてもし他チームがT1研究を捨ててその分DFM対策に時間を費やしてきた場合のことを考えると……。これはT1に関連したDFMの不安要素、と言ってもいいでしょう。
4.日本の対戦相手 ベトナム Saigon Buffalo
ベトナムの競技シーンは世界的に特殊な立ち位置となっています。ベトナム独自のコロナ事情があり、19Worldsを最後に世界大会の出場が出来ていないためです。一応エキシビション的なものがありましたが、相当久しぶりに対外大会に出る、というのが彼らの状況で、そのため「外」との物差しが不足しているため実力が図りづらい状況になっています。
一度ここで近年のベトナムの流れを確認しておきましょう。まず、スーパージャングラーLeviとともに奇抜な戦法で一世を風靡したGAM旋風が吹き荒れたのが2017。ちなみに17のリフトライバルズで当時のGAMと日本のRAMPAGEが戦って1-1でしたが、かといって日本と実力が互角と見るのは怪しいところでしょう。
ともあれ17のブレイクを受けてLeviは18からNA挑戦を表明。屋台骨を失ったGAMは一気に混乱状態に。世界で活躍したチームが翌年国内でも勝てないという状況に陥る。そこで台頭してきたのが今回出てきたSaigon Buffaloの前身となる「Phong Vũ Buffalo」になる。TOPのZerosを中心にベトナムの覇権を握り、18-19の世界大会に出場し、メジャーリージョン相手に勝ち星を挙げるなどある程度の爪痕を残すがGAMほどの大ブレイクには至らなかった。
その後Leviが19夏にベトナムGAMに復帰、その際にZerosも加入しベトナムオールスターのようなチームになったGAMは国内で復活、Worlds19にも出たが1勝5敗、不完全燃焼の感が強かった。その後国際大会に出られない期間がベトナムは続き、その間国内で覇権を握り続けていたのがこのGAMになる。この22春もリーグ14勝0敗とぶっちぎりの1位、本来ならこのGAMが出てくるはずだが、あの「LOLがオリンピックになるならないみたいな話」でこの夏にアジアで国際戦をやるのだが、ベトナムはこの最強GAMをそのまま派遣するみたいな話で、そのため繰り上がりで来たのが2位のSaigon Buffaloになる。国際大会出場経験者もおらず、正直どう判断したらいいかわかりづらいのが実際のところだ。ちなみに途中で出てきたZerosだが、コロナにまつわる舌禍、発言トラブルでLOLのプロシーンから永久BANされました。
ということで結局よくわからない。困った時はスタッツを見てみよう、ということで数字を見ていく。まず目につくのが「ベトナムの風」とも呼ばれる超ハイペースのキルゲームというのは今も継続している、ということだ。リーグ戦のプレイ時間平均が28分で平均18.7キル15.6デスになっている。つまり1.5分1キルくらいの数字になる。もちろんリーグごとのレベル差があるため単純な優劣はつけにくいが、チームの傾向というものが見えてくるので今回のリーグ参加4チームで並べてみよう。
T1 平均33:34 16キル(125.8秒)10.5デス(191.8秒)KD(76秒)
DFM 平均27:43 17.9キル(92.9秒)6.5デス(255.8秒)KD(68.1秒)
AZE 平均32:44 13.1キル(149.9秒)11.1デス(176.9秒)KD(81.1秒)
SAB 平均28:24 18.7キル(91.1秒)15.6デス(109.2秒)KD(49.6秒)
見てわかる通り、キルデス交換のペースが段違い、1分以内に何かしらが起こり続ける、というペースで戦い続けるのがベトナム風なのだ。この数字だけ見ると「DFMのキルT1よりすごい」となるが、これはあくまで国内リーグ戦の話で、LCK1部という本気で戦う本物たち相手に戦っているT1の数字と、Pool4のLJLで0勝21敗”V1回でLJLに飽きたLJLをエコラウンドだと思ってる運営チーム(なおAPEXはフルバイの模様)”をなます斬りしてDFMが稼いだキルの数字では当然価値が違ってくるため同列には語れない。ただ基本的にはこの「リーグで戦ってきたペース」というのが各チームにとって「慣れているペース」「勝ちパターン」になっていると言ってもいいだろう。
実際に2017ベトナムGAMは、後の2018にソロプロ問わず暴れまわる「ファンネリング」の原型ともいえる「JGキャリーに全リソースを注ぎ、サポートがそれを補佐する」という手法を編み出し、実際に国際試合でも超ハイペースでキルデス交換を重ねるスタイルに活路を見出した。ただのキルデス交換なら金銭差はつかないが、ベトナム側は意図的にキャリーのJGにキルを寄せる一方、受け身に回る側は否応なしにキルが分散してしまい、その結果中盤には「ムキムキのキャリーJG」が出来上がり、そこを糸口に勝ちを重ねた。要は「超ハイペースの戦い方に慣れているベトナム」と「慣れていない他チーム」のギャップが生まれていたことになる。ちなみに同じ轍を踏むまいと、久々にLeviが世界の舞台に出てきた19Worldsだが、他チームが徹底して試合のペースを落とすことに注力した結果、ベトナムはその「味」を出しきれずに不完全燃焼に終わってもいる。
Saigon Buffaloの特色はベトナム色でもある「ハイペース」という事はお分かりいただいただろう。ただこのハイペースは国の色であってチームカラーと違うのでは?と思う方もいるかもしれない。しかしデータをさらに紐解くと、このSaigon Buffalo、ハイペースが得意なベトナムで一番ハイペースなチーム、と言ってもいいくらい大得意なのだ。特色の分かりやすいデータを見てみよう。
ハイペースなチームで欲しいのは先手を掴むファーストブラッド。Saigon Buffaloは、血の気の多いベトナムにおいてチームFB%は69.4%と1位になっている。T1よりさらに10%程度高い数字だ。そしてそれを支えているのがJGのBeanJ。FBに48.5%関わっており、この数字は3回以上出場したベトナムリーグ選手のうち1位だ。KPも10回以上出場した選手の中では全体4位と、とにかく鉄火場に顔を出して試合を動かしていく優秀な(敵にすると厄介な)ジャングラーという一面が見えてくる。いままでのベトナムチームの傾向として、やはりジャングラー中心、彼らが試合を動かせばリズムが出てきてベトナム寄りになるので、特に序盤、このBeanJを咎められるか、というのがDFMのポイントとなるかもしれない。
あとすべてに注目するのは無理なので多少という形で行くと、TOPのHasmedは、基本的に火力の出るチャンプ、ジェイス/グウェイン/ヴェイン等をピックし、バスケで言うところの「勝負」してくるタイプ。Eviが1on1ガチるか、耐えるか、どう対応するかというのも見どころかもしれない。小規模ダメトレを続けて決めるタイミングでStealとのコンビプレイ、という得意のスタイルに序盤からハメられればDFM的にはおいしいはず。
MIDのFroggyはそこまで攻撃的でなく、ガリオやベイガーのピックが多い、ピック傾向的に、試合の流れを見て多少サポーティブにも動くRJのリキャップ選手が近いかもしれない。1on1もガツガツいくベトナムでは多少異質のローム型に見受けられる。ヤハロンがフィジカルでドミネート、といかないまでもタワーに張り付かせて自由に動かせなければベストかもしれない。
BOTのShogunのDPM639はベトナムADC1位で全体でも3位。メタチャンプでしっかり火力を出してきている。Takiはどうしても目につくカミールサポやレナータ実戦投入等オフメタ感あるものの、実はちゃんと相手を見てピックしている根は真面目なタイプ。大事なプレーオフではタンキーサポを重用しており、恐らく本人の得意なスタイルが硬めのチャンプでフロントを張る、といった形だと思われる。とはいえ一発勝負、ネタのサポートが出てくる可能性もあると言えばある、ただ近年サポート自体が苦しく、遊びの余地は少ないと思われるが。
とまあレーンだけ見れば何とかなりそう感あるかもしれないが、問題はこれに加えてキル嗅覚に優れたJGのBeanJがどこを狙ってくるか、という話になってくる。となるとSteal、Harpの視界管理でどこまで動きを捕捉できるかというのもポイントであり、DFM戦ではDFMの視界から消えたときのBeanJのマップ上の動きに注目して観戦すると楽しいかもしれない。
予想:リーグ突破/敗退ボーダー
正直久々の世界大会でなかなか読めないし読みづらい。ただベトナム的にKR、日本と「近場」に当たってしまったことはマイナス評価と言っていいだろう。やはりベトナムの戦略と言うのは基本イレギュラーなので、慣れていない相手にこそ効果が十全に発揮される。しかしLJLは普段よりベトナムともスクリムを行っている、というのは過去のインタビューで明かされている。有名なのはV3が優勝した際のスワップは、ベトナムとのスクリムで学んだ、という話だ。つまり欧米諸国よりもベトナムの戦略にスクリムで慣れている日本、そしておそらく韓国もある程度対処の術が出来ているのではないか、と考えると、対DFMは苦しい、と見ることが出来そうだ。彼らは得意の奇襲という手札がひとつ場に出された状態で戦うことになる。
もちろん、ベトナムは日本の何倍のLOL人口を抱えており、人材の豊富さは折り紙付き、個々の実力レベルも高いはずだが、久々の国際大会、初国際大会の面子ばかり、手の内はバレているチームが多いAグループ、というデバフ要素を考えると少し厳しい、3番手という評価に置いておきたい。ただ、このベトナムにとって苦しいグループをデバフ食らってなおフィジカルで叩きのめして抜けるようなことがあれば、あとは慣れてない奴らだらけ、2017以来のベトナム大躍進はまた見えてくるかもしれない。
実際の星取り勘定として、T1には流石に苦しい。DFMも手の内がバレている可能性がある。彼ら的に必ず取りたいのはAze戦だろう。ここで2つ取り、DFM戦をフィジカルで一つとれば3勝、T1全勝ならば3つ取れば少なくともタイブレーク権は得られる。DFM次第と言ったところか。
5.日本の対戦相手 ラテンアメリカ TeamAze
一見かなり縁遠いように思えるが、実はLJLと人材的交流が結構あるのがこのLLA。世界的に見てTierがLJLとイコールに近いと見られているのか、日本人は言葉の壁もあって縁遠いが、LJL経由LLAという韓国選手やコーチがいる。今期で言えばLLAプレーオフ決勝まで来ていたEstral Esportsのコーチは前DFMのYangコーチだったり、5位のXTENには元V3のArcher、7位AKには元AXIZのHoglet、そしてTeamAzeが上がってきたLLA昇格プレーオフで地方リーグ落ちしたFurious Gamingには元V3のBugiがいたりと、あまり詳しくないがエージェントなり代理人なりがいるのかな、という感じを受ける。
また、日本は恐らく国際戦で最も当たっているのがこの地域では、というくらいLLAのメンバーを見ると「顔なじみ」がいる。昨年MSIで当たったINFINITYはリーグ戦でこのAzeと勝敗数同じの3位、あのAriaをソロキルしたcodyも元気でやっているようで。SolidSnakeやAckermanを覚えている人も多いだろう。その前、2020WorldsでV3と当たったR7のMIDは実はこのAzeの現MIDで、彼的には久々の日本との再戦となっている。19WorldsでDFMがEUのSplyceから1勝取りながら次に進めなかった要因、DFMに2連勝して止めたISURUSにいたOddie、Seiya、Warangelus、SlowはいずれもLLAチームでバリバリやっている。Warangelusに至っては当時ADCだったのにMIDを経由して今はジャングラーらしい。あとは古くは2016IWCQで当たって、以後何度か世界大会に出てきたPlugoも現役再復帰している。
対戦成績を見てみると
21MSI DFM 1-1 INF(リーグ2位)
20Worlds V3 1-0 R7(リーグ3位)
19Worlds DFM 0-2 ISU(リーグ1位)
16IWCQ RPG 1-0 KLG
RPG 0-1 LYON
16IWCI DFM 1-0 ISU
DFM 0-1 LYON
15IWCI DFM 1-0 KLG
10戦して5勝5敗と実は完全五分になっている。昔の記録を足切りするとむしろ2勝3敗と負け越している。しかもDFMとISURUSの2戦目は近年少なくなった60分ゲームという実力の均衡ぶり。LJLの実質的なライバルを考えるとLLAが最も適切かもしれないといったところ。おそらく日本のファンはLLAは通過点、と思っている方も多いかもしれませんが、決して舐めてかかって勝てる相手でないことは確かです。
実力が拮抗してる以上、プレーオフでどのレベルが上がってきているかも追記して見てみると一応法則性が見られる。LLAリーグ1位、プレーオフ1位で上がっていたISURUSには0-2、2位には五分、3位には勝利。で今回のAzeはリーグ2位抜け。今回も簡単にはいかなそうです。
また、TeamAzeの特色として、LLA地域は地元、地域選手で固めるチームが多い中、日本同様2枚の韓国人枠をフルに使っているのがこのAzeになる。それもTOPのLonelyはLCK経験もあり、昨年はGenGの2部で活動、そこにいたのがDiceとflawless、今年BCを押し上げた2人と遜色ない、と考えても良いでしょう。ADCの5kidもLCK経験があり、いたチームはなんとKT。そう、DFMのHarpと組んで試合にも出ていたりするくらい旧知の仲です。21Wroldsでは、元世界一を獲ったRulerとCoreJJがGenGとTLに分かれて試合をしたり、元GriffinのTarzanとChovyがLNGとHLEに分かれて試合をしたりと旧知コンビが見どころとしてありましたが、今回日本のファン的には元KT、5kidとHarpの直接対決にも注目したいところです。あとMIDのAlonedはV3と戦った試合があるので改めて見返しましたが、当時メタ感のあったMIDトリスをピックし、TOPのもめごとに首突っ込んで2キル獲得したものの、あとはそこまで大きな存在感を出せていなかったという印象です。ていうかこの試合のV3が良すぎた。あの初戦から残り0勝になるとは……といった感じで。まああの年のV3は王様Bugiと補佐4人みたいな構成でBugiがノったら行けるしこけたら終わる感があるバクチダンサーだったわけだが。
また、国際大会の経験が少ないメンバーだが注意すべき点はもう一点。コーチのYatiはWorlds2019でDFMを止めたISGのコーチでもあったわけで。2019はCerosMID時代で、あの頃から戦術的な部分は結構変わっているため当時の研究が活かされる、という可能性は高くないものの、一つ気がかりなところといえる。まあ19は相手うんぬんよりエコーJGが結局機能しなかったり、たまにやるDFMのEviケイルが大抵うまくいかないみたいな話で相手うんぬんでなかった感はあるのだけど。
チームスタッツ的な部分で言うと、リーグ2位とはいえあまり尖った数字が出てこない。LLAでいちばんドラゴンを取るチームであり、そしてFB率が40%で、15分段階の金銭差が+150、こう見るとベトナムとは逆のスローテンポなチームだという点が見えてくる。序盤トントンでドラゴンを重ねてバフ込みで勝負、といった形が得意なのだろう、たぶん。ただ、試合数が少ないもののプレーオフでは15分金銭差+1014、FB率63%、ファーストタワー率72%という序盤からの勝負にも対応して勝ってきており油断は禁物だ。このデータで特に気をつけたいのがドラゴン周り、DFMは伝統的にドラゴンギブの傾向がある。彼らの勝ち筋的にドラゴンゲットは結構大事そうで、序盤から気持ちよくホイホイ渡してしまうと相手のペースになりかねない。簡単に取らせない手を講じるか、それともギブギブしてしまうのか、ここらへんはDFMコーチ陣の采配だと思うので注目ポイントだと思います。
チームのダメージ傾向としてはBOT>TOP>MIDという多少いびつな形になっている、あともうひとつ特徴として、LLAで1番のKP、リーグで80.6%を叩き出しているのがADCの5KIDになる。逆に攻撃の中心となりそうなJGは59.7%。要はキルはADC周りで起こる傾向があまりに強い、ということになってくる。プレーオフでは恐らく意図的にJG中心に動きJGがKP70パー越えしていたものの、リーグのスタイル、戦いやすいスタイルとしてはBOT中心というのが見えてくる。序盤からBOTを制圧していきドラゴンスタックを溜め、その間ペースを落とし、大事な集団戦でスタック分を開放する形で火力勝ちしていく、というのがスタッツから見えてくるAzeの形になってくる。
予想:リーグ敗退寄り
まず一つ大きな不利として、移動のストレスと時差がある。韓国での試合、リーグの相手は韓国日本ベトナム。彼らだけ10時間超えるレベルのフライトと時差というハンデを背負うことになってしまった。おまけに彼らは昨年までメキシコ地方リーグにいた比較的小さいeスポーツチーム、フォロワーも1.2万と少ない。つまりスタッフもあまり多くないだろう。となると慣れない旅路、時差のほかに快適性みたいなものも絡んでくるかもしれない。旅慣れしているチームとしていないチームではやはり違ってくる。100%のポテンシャルを発揮、とはいかない可能性がある。
もう一つ、この組み合わせではLLAにとって「ベトナム」が壁というか相性が悪い可能性が高い。なんせ初見にはめっぽう強いのがベトナムスタイルだ。実際2017Worldsでは、少なくともMSIでお披露目していたにもかかわらず、Fnatic、IMTと欧州北米のビッグチームが30分以内にやられている。Azeの場合国際大会の経験がない中、ここ数年出てきてなかったベトナムと当たることになる。それも当たるのは12日のあと15日。中二日で対策が出来るのか、というところもある。まあ厳しいところといえるだろう。
こうなってくると、成績的には五分の対日本で2本取りたい、と思うだろうが、21MSIでの1敗は実力差というより「Ariaの緊張」があった。言ってみれば19WorldsもStealが珍しくテンパっててそれが相手と噛み合いまくってたというのがある。JGエコーでエズULT避けようとフラッシュしたら何もないのに壁擦ったくらいの距離しか飛ばずに結局ULT吐いたらドラゴンピットの中で待ってたOddieに狩られるやつとか。さすがに「3度目」はないと思われるし、なんならHarpの顔なじみがいるわけだし、流石にケアできるはず、というDFM応援側の意見を採用すると、デバフなしDFMに長距離移動デバフ持ちで戦うのも苦しい。
星勘定として現実的なラインは、キツいのは承知のうえでなんとか日本とベトナムから1本ずつ取る。そうすればタイブレークの可能性はそこそこ高くなる。タイブレークになればもう何が起こってもおかしくないのは過去のLOL大会が見せてきた通り。彼らにとって幸いなのは最終日に3戦するというスケジュール。基本的に日が増すごとに長距離移動や時差の問題は解決していくわけで、15日までかけて100%を取り戻せれば勝負になる、かもしれない。逆にDFM的には、国際大会の緊張、長距離移動のダメージがまだ残っているAzeの初日初戦、ここはもう必勝が条件といってもいいだろう。まずまだ完全体でない相手を叩いて勢いをつけるのは勝負事で非常に大事。完全体になるのを余裕ぶっこいて「待ってやる」とキメ顔作って言ってるとどうなるか、知らない人はドラゴンボールのセル編を読んでください。あれ「くそー完全体になれば…」って言ってるセルを超ベジータがガチればそこで終わりだったからねあれ。超ベジータの舐めプのせいで世界滅びかけたからね。
6.予想屋”キャプテン北岡崎”の一点予想!
ゴタゴタ言ってねえでどう思うか書いておけよ、というのはあると思うので書いておきましょう。
1位 T1(韓国) 6-0
2位 DFM(日本) 4-2
3位 SGB(ベトナム) 2-4
4位 Aze(ラテンアメリカ)0-6
T1はもう仕方ない、これ以外ない。日本DFMもこれだけ好条件が揃っているんだから勝たなきゃダメ。両地域ともぶっちぎりのリーグ1位が落ちてるラッキーなんだから。言うて厳しい戦いにはなるだろうが、これで厳しい言うてたらどうすんねんって話でもある。SGBも久々に出て「GAMだったらなー」と思って帰るのがええんちゃいますかね。こんなんMSIスケジュール調整側の不備なんだから。4位はAze。やっぱ韓国で試合して4チーム中3チーム時差なしのなか多分10時間くらいある時差の中にぶち込まれるのは相当実力差ないとキツいはず。実力的には団子。この大会がラテンアメリカでやるのであれば2位でもおかしくない。
7.日本代表DFMについて
ここまで書いてDFMに触れていないので最後に。もちろん期待しているし応援もしているのだが、落とし穴的な部分がいくつかあると思う。
1.コーチ陣の不安が露呈したプレーオフ
今年からKazu-Ceros体制になってYangコーチを放逐したが、その結果どうなったか、実力的に大抜けしているLJLリーグは盤石だったものの、マークされたプレーオフでは実力差がかなりあるといってもいい戦国相手に2-2まで追い込まれている。それもこのnoteでも書いていたレベルの穴「試合長引かせて4ドラ取ってそのパワーかエルダーも獲っちゃうよプレッシャーで勝つ」にまんまとハマって2つ落としている。まるで森保サッカー(※現日本代表サッカー監督 ”選手が考えるサッカー”と称し、給水タイムにスペイン代表監督がガンガン指示を出している一方、森保監督は余裕の腕組み、など)を見ているような気分で、言ったらプレーオフ決勝はコーチ力、研究力の差に見えてしまった。5年日本でやってるOnceに今更手を焼いていたチームが大会でSGBのBeanJ止めれる?と聞かれたら不安になってしまうのも確かだ。
見ているとどうにもプランBがないのかな、という感がある。DFMのインタビューで時々聞く「自分たちのやることやったら勝てる」っていうのはすごいキャッチコピーとして美しいんだけど、DFMが負け始めたときのドラゴン前って「まあまあ今は分悪いし」で2を譲り3を譲り、で泡食って4で無理するか4も譲って泡食ってエルダーで無理するか、で無理してそのままエンドイット、みたいな感があり、かなり不安を感じたわけで。まあこれは現コーチ以前からずっとだし、逆転が難しいゲームなのも確かなのだが。
実際に去年とかの内部のコーチの割合とか知らないからアレだけど、勝ちに徹してるDFMながら、コーチのところは温情采配だな、と。もちろんそれで勝てればいいことだと思う。名選手が名コーチになるために自分のチームで育てる、それも美しい。でも結局Kazuコーチが世界レベルのチームを率いるうえで最高の選択肢か、というのはずっと内輪にいるので、まだ結論が出せないのではと思う。自分のとこしかやってないのだから。他の海外、本気でLOL勝ちたいチームでこんな天下りみたいなことやってるチームある?そらLJLのなかには勝つ気あるんか的なチームもあるし、そこが天下りでコーチばっかりどんどん増えて、”勝ち星よりコーチの数のほうが多い”なんてのは最悪好きにして、って話だけど”DFM”はそれでいいのかって話。”DFM”は世界と”本気で”戦うチームなんだよな!なあウメちゃん!いやウメ!人材の宝庫T1だって一瞬kkomaの下にBengiプーマン体制あったけど結果出なくての今よ。FA流出止めるために監督手形コーチ手形切りまくったと言われるかつての広島やないねんから。
野球でも名選手が名監督でない場合も多々ある。自分の好きな西武ライオンズ、長年チームを支えたチームの頭脳、キャッチャー伊東が引退し満を持して監督になったが、優勝も経験したとはいえ「名監督か」と言われれば怪しいところだった。西武引退後ロッテで声がかかったがそこでの結果はそこそこ級で、以来他から監督として声は掛かっていない。西武の名選手だから直で西武の監督をやらせてもらえただけで、もし普通の選手のように2軍監督のポジションから監督適性を確かめられていたら、もしかしたら1軍監督として声が掛からなかったのでは、という感もある。ヤクルトの古田監督も同じようなことを言われたりしている。いかにも監督向きに見えたがいざ任せると弱みが露呈し、結局他から声が掛からない、そういう人をエスカレーター式に一軍監督にしていたのだ、と。古田監督の場合タイミングが悪かった部分もあるが……。「名将」と呼ばれる選手は自分の古巣以外にも呼ばれて活躍するものであって。星野監督しかり、野村監督しかり、ベンゲル監督しかり。
要はKazuコーチがいまDFMを出たとして他で采配を振るってもその采配を評価されるか、コーチ力が世界レベルかどうかというのはまだ未知数という話で。そういう意味では今回結構な試金石なのではないだろうか。勘違いして欲しくないのは「足りない」と言っているわけでなく「今年のプレーオフを見るに未知数感、不安感が増した」という話で。だからもちろんこのMSIで結果を残そうものなら「Kazuコーチは日本の宝!ジャパニーズkkoma!」と大拍手する準備も出来ている。
少しKazuコーチに厳しい意見になってしまっているが、別にKazuアンチだからではないというのだけ言い訳させてほしい。個人的に選手としては好きだったし、弱小だったScarzやV3、個の力が厳しそうなチームに移籍しては「マクロで勝ちを拾おう」とする姿勢をチームに植え付けて、実際Kazu選手がサポで入ったチームはローテーションが目に見えてよくなった、というのも見てきているからだ。ただどうしても、これは自分側の問題なのだが、クラブの元選手が他でコーチとして評価されてるわけでもないのに自分の元チームのトップコーチになった悪い例というのを見ているのでアレルギーのようなものが出てしまっているのもある。
知ってますかね、「小倉」っていうんですけど。
2.「研究」されやすいチームカラー
ヤハロン獲得の際にこのnoteでも触れたのだが、ヤハロンのスタッツ的特徴(ソロキルが多い/ゾーイルブラン使える)がAriaのそれとなかなか似ており、要は「Ariaの後釜」を探してきて丁度ヤハロンがハマった感が見てとれた。もちろんDFMに来てくれるなら申し分ないレベルでもあったのだが、Ariaと同じような運用、という面で考えると、相手側からしたら「研究」のしやすいチームがDFMになってしまっているのではないか、という危惧がある。Evi、Yutapon、Stealはもう何年も世界大会にDFMで出ており、EviとStealのセットプレイはもういくらでもデータがある。ヤハロンのデータはまだ少ないかもしれないが、Ariaと運用が近いと気づけば、Aria時代のデータも足してある程度の研究は可能だと思われる。
特にStealの、DFMが視界を重視するチームカラーのためか、ワードジャンプにワードを必要とする「JGの必修科目」リーシンをほぼ使わない、という縛りは、おそらくデータを少し眺めていればどんな節穴メンでもすぐに気づくはずだ。キャリーといううよりコントロールを極端に重視するため攻撃一辺倒のチャンプも使わない、となれば相当Stealのピックは絞れてくる。本気で研究されたとき、この分かりやすいチームカラーは一つ問題となってくるかもしれない。そして近年活躍が増えてきたDFM、研究される側としての対策もそろそろ必要になってくるのでは、今はそこに対して無策であるように見えてしまっている。もし自分がLJLのコーチだったらStealとEviのピックごとにおけるジャングルルートとガンク頻度とか割り出したいけどね、まあ、やってるかさすがにプロなんだから、ね?
3.なんだかんだで国際大会経験値は桁違い
不安要素を並べたが、これらの不安要素、今までの国際大会の前になかったか、と言われればそうでもない。研究云々に関してはここ数年ずっと持っている爆弾のようなものだ。それでもDFMが近年世界大会で出してきた結果は常に世界を驚かしつづけている。EviのサムズアップはもはやLOLの世界大会に欠かせないある種のミームとなっており、ここ数年で世界に「DFMファン」を増やし続けている。結構な年齢であること、英語があまりなこと、等あって叶っていないが、もし若くて英語が出来ていれば、各々に海外チームからオファーがあってもおかしくないほどの実績を近年叩き出している。下馬評をひっくり返してきた経験ならMSI出場チームの中でもダントツだろう。その点、なんやかんやでなんとかしちまう力については非常に期待している。やっちゃって!
まとめ
DFMが決勝トーナメント行くと思ってるならほかのチームも紹介しないとダメでしょ、というご意見、ごもっともだと思います。突破したら急いで書きます。日本ファン的にはブラジルのTitan、見ものだと思いますので。Titanについては過去に書いたこの記事もどうぞ。
書いていて楽しみすぎて2万字を超えてしまった。ウマ娘の育成に支障が出ているのでとりあえずこれくらいで。