UXリサーチとユーザビリティテストについて
どうも、こんにちは😁
福岡のデザイン会社、gaz, incでデザイナーをしているヤマトです。
今回は、アドベントカレンダーというイベントに乗っかり、UXリサーチの中でもUIのカイゼンを主目的としたユーザビリティテストについて、実践してきた体験の気づき・学びをまとめていきます。
UXリサーチの目的に立ち返る
前提として、自分はUXリサーチを下記のように解釈しています。
「プロダクトやサービスに触れる人々はどんな価値観を持つか、サービスに対してどんな反応をするのかを理解すること」
その上で、UXリサーチを行う目的としては、
新規サービスの成功確率を高めること、既存サービスを成長させることの2つです。
①新規サービスの成功確率を高めるではユーザーインタビュー・ユーザビリティテスト等を通して、サービス開発を行う全員がどんな人がどんな状況で使うかを想定できるようになることで、ユーザーの目と心を持って、コンセプトが刺さるかを判断したり、プロダクトの改善を推し進めたりすることができます。
②既存サービスを成長では、トラフィックを取得し、現状の課題を把握したり、ユーザビリティテストを通じて定量データの課題原因を探ったりすることで、サービスをさらに成長させることができます。
ユーザーインタビューとユーザビリティテスト
リサーチ手法は目的に応じて、手段として使う必要があります。
ユーザーインタビューはユーザー理解を深めるためにあり、その名の通り、対面やオンラインで質問形式で進めていくリサーチ手法です。リサーチが走る状況としては、新規サービスのコンセプト企画時や、サービスリニューアル時などです。
対して、ユーザビリティテストは、ユーザーがサービスを使えるか・ 使いやすいか・ もっと使いたいと思うかを調査するリサーチ手法です。リサーチが走るタイミングとしては、新規サービスのリリース前やリリース中のプロダクトの品質改善が要求される場合などがあります。
ユーザビリティテストの実践フロー
今回はユーザビリティテストに焦点を当てて、リサーチの企画から改善までのフローをまとめてみます。
①リサーチの企画
UXリサーチを何のために行うのか,どんなリサーチ手法でデータを取得するのか、どんな分析手法でデータを使えるようにするのかなどをまとめた調査計画書を作成します。調査計画書を作成し、ステークホルダーやチームでの認識齟齬がないよう進めていきます。リサーチの企画をする際に決定しておく項目は下記になります。
調査計画書に記載する項目
・実施目的
・実施手法
・分析手法
・ 協力者(条件を含む)
・当日のスケジュール
・実施費用
②ユーザビリティテスト設計
ユーザビリティテストを実施する場合は、Figmaなどのプロトタイプツールや実装ベースのプロダクトを用いて、テストを実行していきます。また、あらかじめユーザーの利用状況であるシナリオとシナリオに基づいたタスクを決めることで、よりリアルに近いテストを実施することができます。
もし、事前にシナリオとタスクを決めていない場合、ユーザーは何のために行動に移したらいいかがわからず、主体的に行動ができなくなるため、プロダクトの課題点が出にくくなります。
仮説をもとにしたテスト箇所がない場合は、全ての機能や画面の遷移等のテストは現実的に難しいため、基本的にはユーザー体験に直結する主要な機能のシナリオとタスクに絞って設計していきます。
③リサーチの準備
協力者に対してのリサーチ日程の調整を進めながら、リサーチの流れや確認項目をまとめたリサーチガイドを作成することで、項目を確認しながら落ち着いてリサーチを実施できます。
また、リサーチで知り得た情報に対する秘密保持の同意書を準備します。
さらに、事前にチーム内で行うリハーサルは欠かせません。テスト項目の修正や進め方の修正を行い、リサーチ1人目から、充実したリサーチを実施できるように準備していきます。
④リサーチの実施
モデレータ(案内人)は事前に準備したリサーチガイドに従い、リサーチを実施していきます。
テストを実施する場合は、使用している際に思ったことや感じたことを発言していただくよう事前に依頼し、アプリの欠陥が発言でも特定できるようにします。
⑤リサーチの分析
全てのリサーチが実施完了したら、リサーチ分析を始めていきます。
また、タスクを記録する際は、事実と発話内容をまとめ、問題点が発言や事実から確認できるようにしていきます。(下記参考例)
タスク記録が完了したら、事実と発話や録画内容をもとに、問題点を洗い出していきます。
次に問題点に解決の優先度をつけていきます。最初の方で話したようにユーザビリティテストはユーザーがサービスを使えるか・ 使いやすいか・ もっと使いたいと思うかを調査するリサーチ手法になります。
解決の優先度をつける際は、下記のような優先順位を参考に決めていきます。
使えるか > 使いやすいか > もっと使いたいと思うか
⑥分析をもとに改善案を
問題点がリストアップされ、解決の優先度が決まったら、問題点をどう解決するかを考えていきます。ここからは課題を解決しうるUIのレイアウトや表現方法を再構築していく段階になります。
また、実際はユーザビリティテストを1回したら終了ではなく、反復してテストを行い、改善を繰り返すことで、より質の高いプロダクトを開発できます。
テスト設計や分析手法に関しての詳細については下記がかなり参考になります。改めて下記を読んでみるとリサーチは奥が深いなと感じます。
最後に
最近ユーザビリティテストを実践していて思っていることは、想定していない部分でユーザーがつまづいたり、メイン機能の課題点が明らかになることで、プロダクトを改善できている手触り感があるということです。
HIGやGMDにおけるデザイン原則だけでは見えてこない、生のユーザーの利用状況を明らかにすることで、プロダクトの成功確率が高まると感じています。
今後も、理想のユーザー体験を実現しうるプロダクトを生み出していくために、UXリサーチ、ユーザビリティテストの学びを続けていきます。
最後まで、お読みいただきありがとうございました😁