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ハッピーエンドにしなきゃいけない。~阿部雅龍 蔵出し生ドキュメンタリーVOL.11~

プロ冒険家阿部雅龍氏との居酒屋での雑談インタビューは早7本目。
いつまで飲んどんじゃい!って声もいい加減出てきそうですが、酒を酌み交わしつつ時折でてくる、なかなか普段本音が垣間見れます。

「ハッピーエンドにしなきゃいけないんですよ」

「誠実になりたいとは思ってますよ」

「ぼく、まっとうなことしか言わないでしょ」


実は彼の映画の企画段階にはじまり、クランクインしてからもずっと悩んでいたことがあります。

それは、彼の発言や態度、生き様があまりにもまっとうだということでした。

正直でまじめで、誠実すぎて面白味がない。
恐れだったり悩みだったり沈んでいたりといった後ろ向きな部分が微塵も感じられなかったんです。

ドキュメンタリーも劇映画と同じで見る人の心を揺さぶりたい。
主人公は、成功するまでに苦悩に満ちた体験をすることが重要な要素だったりします。
しかし、彼の発言、インタビューではそういったことがほとんどない。
明るく前向き。いつも。

だから、なんとかして質問で引き出そうとか、彼にふりかかる出来事で事件がないか、あったら即撮影!とか七転八倒してました。
当初、撮影、編集、監督をしてくれていた野澤氏ともケンケンガクガク、あーじゃないこーじゃないと議論を繰り返す。

でも、この居酒屋インタビューの前あたりから、そのモヤモヤした状態から少し抜け出せた気がしたんです。

そして切望していた南極遠征の中止がほぼ決まった日にも明るく前向きな彼を見て確信しました。


そのままでいい。


ぼくから見た彼をそのまま残していこう。
至極まっとうな彼の生き方や態度をそのまま捉えよう。
普段の彼から遠征中の彼まで。丁寧に記録することで深い奥底に潜む彼の憂いや不安などの揺らぎが、言葉ではなく映像から染み出してくるはずだ。

腹に落ちたんです。もう迷いません。


最初は1本の冒険ドキュメンタリー映画を創ろうというのが出発点でした。
でも、今は阿部雅龍という人間の人生をぼくの視点でひたすら記録していこうと考えています。

一人の冒険家の稀有な人生を記録してアーカイブし公開していく表現活動だ。
その中のひとつの作品としてドキュメンタリー映画を創る。もっというとひとつだけに止まらないかもしれません。映画やオンラインでの公開だけでなく、展示やインスタレーションのようなものにしていくかもしれません。

この「蔵出し生ドキュメンタリー」マガジンはこのようなプロジェクトの実験場。これからもひとつ、おつきあいのほどおねがいします。

今回も蔵出し映像は、10分程です。
それでは毎度有料で恐縮ですが、ぜひご覧ください。

※この有料記事と「蔵出し生ドキュメンタリー」の定期購読マガジンの収益はこの映画プロジェクトの制作費の一部と阿部さんの活動の一部に大切に使わせていただきます。
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