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横浜DeNAベイスターズ公式ドキュメンタリー映像作品「勝ち切る覚悟 〜日本一までの79日〜」レビュー

 当記事に興味をお持ち頂いてありがとうございます。筆者のやまのげんしです。
 先日、記事タイトルの映像を観に行ったので、レビューを残しておきます。
筆者はオリックスファンであるため、その前提で読んでいただけるとご理解頂けると思います。

作品概要

(リンクは横浜DeNAベイスターズの公式HP特設ページ)

レビュー

ここからは筆者の一人称視点になります。
今回、オリックスファンの自分から見た横浜DeNAは「長年周りから舐められ続けたチーム」であると言う点で、優勝前の"かつてのオリックス"と重ねて見てしまう部分があり、その観点から印象的なシーンがあったのでいくつか取り上げます。

#79大原 慎司(一軍チーフ投手コーチ)

CS finalの円陣、大原投手チーフが声出し。
「腹が立っていることがある。」と言って懐から取り出した紙には"横浜は打ち勝つしかない"と印刷されている。

「様々なところで『横浜は打ち勝つしかない』と言われてる。"しかない?"ふざけるな!!俺たちは(ここまでCSを)守り勝ってきた!!さあ行こう!」

そう言い放ち、取り出した紙をグシャグシャにして地面に叩きつけた。

投手コーチのトップとしての「舐めるな!」という気持ち、投手陣へのアツい鼓舞でめちゃくちゃカッコよかったシーンです。
オリックスではコーチがこういう声出しパフォーマンスで士気を上げるのは見た事がないので、とても新鮮にみえました。

#20 坂本 裕哉(投手)

同じくCSで坂本は「横浜はブルペンが弱点とずっと言われてきた。俺たちはやれるんだという所をみせる」という内容を言っている。

冒頭では森原がとても参考になったと言っており、ブルペン陣が同じモチベーション持って"1つになる"パターンのひとつを観れたように感じた。

坂本が言うには「横浜のブルペン陣が舐められている」という内容でした。
実際、CSに入ってから横浜DeNAの投手陣は凄まじいブルペンワークをみせて見事に守り勝っており、坂本も大きく貢献していました。有言実行しててカッコよかったです。

#25 筒香嘉智(外野手)

日本シリーズ第1戦、有原航平の投球をみた筒香はロッカーで「舐めたような配球だな。笑 遊ばれてますわ…」と言って席を立ち、カメラに背を向ける。
ため息混じりの言い方と背中が、怒気を孕んでいたようにみえた。

第1戦の有原航平の投球は、横浜DeNAの主軸打者に対して同じボールを4球ほど続けるというものであり、筒香嘉智はそれがとても気に障った様子でした。
筒香嘉智は牧秀悟からかつてのキャプテンであり、日本シリーズ経験者として非常に頼りにされている様子が多数写されていました。この映像作品の概要に「牧秀悟を中心に〜」と記述されていますが、その牧を支えた最重要人物としてチームに多大な影響を与えていた事は、映像の中のチームの雰囲気から、言葉を発するたびにビリビリ伝わりました。これぞ精神的支柱と言った感じで、彼がみせた闘う顔(背中)にチームが燃えないわけがないなと思いました。
投手の山本由伸がNPB一年目に筒香嘉智と自主トレしたかったのはこういう面もあるのかな、と思うなどもしました。

再び有原航平と相見える第6戦での先制ホームランのカッコよさは周知の事と思います。

ここからは"熱量"という観点からのレビューです。

#50 山本 祐大(捕手)

CS前の無念の骨折。「もう来シーズンかな…」という話ぶりだった。しかし日本Sに登録された時、「TVで観ていて、(チームのみんなが)カッコよかった」「戻らないとと思った」と言っていた。

男の子にとって、「カッコいい」以上に大事なことはありません。筆者はそう思っているので、祐大がチームに戻りたいと思った理由にとてもシンパシーを感じたし、アツい気持ちになりました。
もちろん予定よりすごく前倒しの復帰であり、万全でありませんが「戻らないと」という気持ちは、この映画で何度も、複数の選手の口から語られた「みんなの気持ちを一つにしないと勝ちきれない(優勝はできない)」を体現していたと思います。


#牧秀悟(内野手)

シーズン終盤にしたミーティングで「こいつ何言ってんだと思われてもいい、言わなきゃと思った」と語ってたシーン。
このスタンスだから意地にならずに素直に筒香や先輩に相談出来たし、筒香も意気に感じて牧をキャプテンとして立ててくれた。

日本シリーズ第3戦の前に、選手全体ミーティングをして2017日本シリーズ経験者に言葉を貰うシーンも印象的。

この映像作品の中心人物であり、観ていて1番つらい表情をしていたのがキャプテン・牧秀悟です。
観ていてキャプテンの在り方や方法にかなり悩んでいて、正解が見つかってないように感じましたが、その中でもやれる事は一つも惜しまずやっていく姿勢はまさに「勝ち切る覚悟」の現れだったと思います。
自分がキャプテンだから自分がやらないと!という意地があると、2017日本シリーズ経験者から言葉をもらうミーティングはなかったと思いますし、「自分はどう思われてもいい(からチームが勝てるように最善を尽くす)」必死の姿勢は満身創痍のチームのみんなの魂の燃料となり、身体を動かしたと思います。

地味かもしれませんが、第6戦が雨で1日流れた時にチームのモチベーションが切れないように、牧がここまでの日本シリーズの総集編を映像スタッフに作ってもらうようにお願いして、練習前からビジョンに流したのは本当に素晴らしいアイデアだったと思いました。
自分はここから追い詰められたソフトバンクが1日の雨で気持ち作り直してシリーズの流れを取り戻す事はかなりの確率で或ると思っていたからです。

#81 三浦大輔(監督)

CSから日本一まで指揮官としてどんな状況でも顔色ひとつ変えない。唯一、日本シリーズの試合前ミーティングでオースティンが出られないと言われた時だけ一瞬、顔が変わったが…、ボスを全うした。

シーズン終盤からCSを経過して日本一の瞬間まで常に顔色を変えなかった頼れるボスです。(冒頭にマウンドで交代を嫌がるウィックに歩み寄り喝を入れるシーンはありましたが。)
これはとても難しい事で、比較対象に挙げて申し訳ないですが、日本ハムの新庄監督はCS 1stの大逆転劇の後で少しホッとしたように見えていました。あくまで主観ですが。正直パリーグCS finalでソフトバンクに全く歯が立たないと言う事は予想外で、日本ハムのチームの若さが悪い方に出たと思いました。

日本一の瞬間は何度も見ても深い味わいのある表情で、眉間にシワを寄せているのに眉尻は下がり、それでいて喜びを感じる不思議な表情で、26年の重さが現れていたと思います。
オリックスは2022年に25年ぶりの日本一を達成しましたが、中嶋監督の表現と近しいものを感じました。

総評

概要には牧秀悟を中心にと書いてありますが、全体の所感として、「全員がフラットに扱われている」点がとても良かったと思います。
編集にそういう意図があるのかもしれませんが、誰か1人のヒーローがチームを救ってという映像ではなく、ワンチーム精神をとても感じる作品でした。

1番最後も、三浦監督の「今回の日本一で、ファン含めた全員の一体感が得られた感覚がある」という話で終わります。

この映画をみて自分が考えた事があります。

昨今ではプロ野球を推し活になぞらえ、「我々ファンは勝手に推させて頂いてるだけで、我々の行動はチームの勝敗に何一つ関与しない」というなんとも冷めた風潮が流行りつつありますが、こうやって「ファンも一緒に闘っている」という趣旨の発信をチームがしてくれると、ファンの魂の燃料になりますし、チーム状況が辛い時にこれを励みに球場に足を向かせるエネルギーに変わると思います。それはきっと紙一重の戦いを続けるプロ野球において、チームの"最後のひと押し"になると、一ファンとして信じています。

横浜DeNAベイスターズはこの発信がとても魅力的で、根強いファンが根付く遠因だと思います。こう言った部分は贔屓チームであるオリックスも見習ってほしいと思いますし、新監督である岸田護監督は選手の熱量を重視するような発言もありますから、早くも来年の開幕が待ち遠しいなと思いました。

映画館に行こう!

ここまで読んで頂いてありがとうございます。
観に行こう!となった方は上映期間のチェックです。!
最長でも1/16までと書いてあるので、年明け早々にも観ないと上映が終わってしまうかも。最寄りの映画館のスケジュールを確認しましょう!

以上になります。
長文読んで頂いてありがとうございます。
これからも記事を執筆する予定です。
どうぞよしなに。


文・やまのげんし

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