(6) Deep3がメインオプションにならない理由(富永選手:シューターの強みとは?)
バスケットにおいて
ディフェンスの脅威となる動きは
基本的に、「リング方向へ向かう動き」です。
(ドライブでもカッティングでもパスでも、リングへ向かう「縦の動き」は
DFにとって脅威になりやすい=得点につながりやすい動きです)
それとは反対に、
「リングから遠ざかる動き」はディフェンスの脅威に普通なりません。
(むしろ、DFがスティールを狙うチャンスにもなります。)
というわけで、
ガードや、フォワードや、センターは、
普通、リング方向へアタックしていくものなのですが、
例外的に、シューターだけは
リングから遠ざかる動きが脅威となりえます。
(バスケットにおいて、シューターは
特殊な存在と個人的には思います。)
リングから遠ざかる動きに
DFがついていこうとすると、
どうしても重心が前になります。
その瞬間を狙って、
リングへ向かう「バックカット」をかますと
DFはついていけなくなります。
リングから遠ざかる動き(スリー)と、
リングの方へ向かう動き(バックカット)という、
「二つの相反する動き」を、1人のDFがケアし切るのは非常に困難です。
ですので、
シューターのアドバンテージというのは
「スリー」と「バックカット」の両方を狙えることにあると思います。
バックカットを狙わない
スリーだけのシューターは
自分の強みを最大限、発揮できてないとも言えます。
以上のように考えると、
ディープスリーは、メインオプションになりえません。
(ディープスリーの位置からではバックカットをしかけづらいからです。)
いいOFとは、複数の選択肢をもち、DFを迷わせることのできるOFです。
(DFに楽をさせないのがいいOF。)
スリーとバックカットの両方を狙える位置に、シューターは居て欲しいです。
なぜこんな記事を書いたのかというと
富永選手が「自分の武器はディープスリー」であり
「ワールドカップでもディープスリーをアピールしたい」
と述べていたのがちょっと気になったからです。
(単なるリップサービスならいいのですが。)
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ネブラスカ大では、
バックカットからの得点もたくさんしていたように思いますが、
強化試合では、あまりバックカットが
見られなかったような気がします。
むしろ、ディープな位置からスリーを多く打ってる印象でした。
(本番に備えて、カッティングプレーを隠してたのかもですが)
スリーを打つことに固執し、
ディープな位置からでも打ってかまわないと思い込むと、
バックカットで相手のDFをゆさぶることができなくなります。
(単調な攻撃、相手にとっては楽な攻撃になってしまいます、)
ミドルレンジやレイアップでの得点も非常に巧みな富永選手が、
ディープスリーにこだわりすぎるのは、はっきり言って良くありません。
スリーとバックカットの両方を駆使し、
DFを縦方向に(DFの重心を前後に)ゆさぶっていくのが、
シューターならではのメインオプションであり、
ディープスリーは奥の手というか、
ここぞと言う場面でつかう、切り札的なものとして
とっておくのが望ましく思えます。
ワールドカップ本番では、
富永選手のディープスリーよりも
ネブラスカ大で見せていた
すばらしいカッティングプレーに期待したいと思います。
(ホーバスHCの暁ジャパンも、
スリーを多用するスタイルですが、
その裏の意味は、「カッティングゲーム(パッシングゲーム)」が
理想ということだと思います。
スリーの裏はバックカットです。)
ディープスリーを打つタイミングについては、
チームOFで、DFの陣形をうまく崩せず、
時間がなくなったときの最終手段として、
通常のセーフティー位置から放つなどが考えられます。
(ふつうの選手ならやけくそシュートになっちゃいますが、富永選手ならふつうにチャンスでもあり、そこで決めれば相手のダメージはデカいし、外してもそれほど痛くないから、楽に打てると思います。力むとシュートは固くなるので、のびのびと柔らかく打ってほしい。フランス戦は楽しそうでしたし、あのような感じがたぶん理想。)
ホーバスさんのバスケ(「ペイントアタック」+「スリー」でした)
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余談
(インサイドプレーヤーの場合だと、
ハイポストから、ガードにピックをかけに上がるふりをして、
そこからバックカットで相手のDFの裏を取りにいくプレーがあります。)
フィンランド青 vs エストニア白
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このあとピックをかけにいく(ふりをする)
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こうゆう、インサイドプレーヤーのバックカットを、
ホーキンソン選手や、川真田選手も
狙っていいんじゃないかと思います。
(ピックだけだとOFが単調になるので、バックカット、裏取りを混ぜる。)
(ただやはり、インサイドプレーヤーのピックにあがる動きよりも、
シューターの上にあがる動きのほうが、脅威なように思います。)
バスケはボールを持たない時間の方が長いスポーツなので、
オフボールで良い動きかできることはとても重要です。
追記;「縦の動き」が脅威になるのは
DFのスタンスに関係します。
DFはふつう、横に足を広げるので、
横には動きやすくとも、前後には動きにくいという話です。
それゆえ、パスでサイドチェンジをするさい、
単純に横にボールを動かすだけでは、DFはあまり困りません。
対角線(斜め方向)にパスをぶん投げると
DFは前後の動きや体の反転を強いられるので、隙(死角)ができやすくなります。そこをカッティングやドライブで狙うとフリーになりやすいです。
フィンランド(白)のDFを崩す、リトアニア(緑)の対角線パス
(W杯、日本の二戦目の相手がフィンランドなので、こうゆう攻め方も有効。
渡邊選手やホーキンソン選手が対角線パスをだせそう。
富樫選手や河村選手は身長的に困難だろうか。)
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