『GINZA Classics~山野楽器 クラシック・プレミアム・セレクション』
はじめまして。山野楽器の商品部でマーチャンダイザー(MD)としてクラシックを担当している峯岡と申します。MDは音楽ソフトの販売に関するすべてのことに関わるので、仕事は多岐にわたるのですが、オリジナル商品の企画/開発もその一つです。
そこで今回は、『GINZA Classics~山野楽器 クラシック・プレミアム・セレクション』(2019/04/26発売)というCDの選曲にまつわるお話しを。
思い起こせば、このCDの企画をスタートさせたのは2018年7月。
発売の9ヶ月前でした。実はこのCDを作るまで、
『GINZA Classics~山野楽器 クラシック名曲セレクション~』、
『GINZA Café Classics~名曲喫茶のクラシック 銀座編』
というクラシック音楽の敷居を下げた、山野楽器がおすすめするクラシック名曲アルバムとして気軽に聴いていただけるアルバムを出していまして、実際好調に売れていました。ただクラシック音楽の本質的な魅力とは何なのかを考えると、「哀愁漂う美しい旋律が感動を呼ぶ」こともその魅力の一つなのではないか、と思い、ひとつ感動を呼ぶ本格的な名曲集を考えてみよう、ということで音源探しを始めたのでした。
テーマとしては、「静かな時間にじっくり耳を傾けたい、美しい旋律にあふれた本格的なクラシック・アルバム」。製作にご協力いただいたレコード会社に、イメージを伝えてできるだけ多くの音源を聴きました。お借りした音源も入れてCDにして20枚はあったでしょうか・・これが一番楽しくも悩む作業です。浅い音楽鑑賞歴の自分でも、何度聴いても感動する、繰り返し聴いてきた以下の曲を最初に選びました。
■メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」第1楽章
しみじみとした出だし。チェロの郷愁あふれるメロディーがいいですよね。落ち着いた深い響きが心に迫る、かつてメンデルスゾーンも指揮をしていた、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏(クルト・マズア指揮)で。
■ショパン:バラード第4番
4つあるショパンのバラードでは第1番が有名で人気があり、名曲だと思いますが、第4番も素晴らしいですよね。繰り返し奏でられる主題と、そのあとに転がるような旋律から盛り上がる部分はショパンの魅力が満載です。ニコライ・ルガンスキーのクールな演奏が曲の特徴を際立たせています。
■ブラームス:交響曲第3番から第3楽章
ブラームスの交響曲もどこかで入れたかったのですが、単独で選ぶ楽章といえばこれでしょう。サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルの、スキのないアンサンブルが素晴らしいです。
■モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
まさに「天にも昇る究極の癒しの音楽」ですね。人間が作った音楽とは思えない崇高さと純粋さが多くの人の心を揺さぶってきました。世界最高の合唱団との呼び声高いスウェーデン放送合唱団とリッカルド・ムーティ指揮ベルリン・フィルの感動的な演奏で。
ここで収録からもれた曲をいくつかご紹介。
■ダウランド:流れよ、わが涙
■J.S.バッハ:管弦楽組曲
■J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲
■J.S.バッハ:マタイ受難曲
音源探しをしているうち、これらのバロックの名曲も入れたかったのですが、バロック名曲アルバムとして別に企画しよう、ということになり(後に『GINZA Baroque Favorites~山野楽器 バロック名曲セレクション~』として別途発売することになります)、この時はお蔵入りとなりました。
ワーグナー、シベリウス、ラフマニノフも外すわけにはいきません。
■ワーグナー:歌劇『ローエングリン』第1幕への前奏曲
本当は第3幕の前奏曲から有名な結婚行進曲までの音楽も入れたかったのですが、この曲のほうがこのアルバムにふさわしいと思い、1枚目の最後に入れました。
■シベリウス:悲しきワルツ
ピアノ編曲版もありましたが、やはりオーケストラによる弦楽合奏版がいいですよね。
■ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番から第1楽章(抜粋)
この曲は外せないでしょう。印象的な静かなピアノのソロから始まり、力強いオーケストラに包まれながら盛り上がっていく、人気の音楽です。フィギュアスケートで浅田真央のフリープログラムで使われ、多くの人が涙したのではないでしょうか。
こんな感じでCD2枚組全26曲、この他にもモーツァルト、ベートーヴェン、ドヴォルザーク、クライスラー、マーラーなど、メランコリックでちょっとクールな本格派クラシックを集めたアルバムとなりました。
CDジャケットも夜の銀座をイメージし、特に静かな夜に鑑賞していただきたい雰囲気に仕上げました。
実は音源を数多く紹介していただいたレコード会社のベテラン担当者が、選曲が済んだ後に退職され、故郷へ帰られましたので、その方の最後のお仕事の一つにもなりましたので、個人的にも思い出に残るアルバムになりました。
(峯岡)