ギタリストのつめみがきVol.5
日本国内はもとより世界中のクラシックギタリストにその名を知られるクラシックギター製作家桜井正毅(さくらい まさき)氏が今年5月10日にめでたく喜寿を迎えられた。
1944年生まれの桜井氏は、本人と話をした内容をたどれば、大学を卒業した時点で一般的な会社に就職が決まっていたとのことだった。ところが入社前に叔父であり、当時の日本国内最高峰のクラシックギター製作家である河野賢(こうの まさる)氏から誘われて、会社への入社を断り、河野ギター製作所に入所する事になったそうだ。もし、桜井氏が河野氏からの申し入れを断っていれば、今現在これほどまで著名になる日本人製作家は誕生していなかった。
そう考えると、クラシックギター愛好家の一人として、現在も桜井氏が製作を続けていただいていることに、ただただ感謝を申し上げたい。
さておき、周囲の関係者と本人も含め、桜井氏の喜寿をお祝いして何かできないか?と考えられたものが、”記念モデルの発売”である。
ずばり”77th commemoration Model KIJU 喜寿”モデルである。
デザインは桜井氏ご本人の意向に沿っているもので、今現在用意できる限りの最高級の材料を使い製作されている。
2017年に製作50周年を記念して発売された作品を上回る内容!といわれている。山野楽器 銀座本店では表板松/横、裏板ハカランダと表板 杉/ 横、裏板ハカランダの2本のみ、桜井氏の代表作品”パリコンモデル”でオーダーした。
入荷はまもなくの予定、そしてお披露目の会を企画した。2021年7月11日(日)に銀座本店で行う予定。(定員30名先着応募で、すでに応募締め切り)当日はこちらも日本の誇る世界的クラシックギタリスト福田進一先生による喜寿モデル演奏が予定されている。
事前にイベントを盛り上げるために、桜井氏から独自にメッセージをいただいた。
桜井氏のギターの良さのポイントは多々あるが、個人的に"強く誇りに思うこと”はクラシックギターが日本で戦後定着してから70年以上を経過した現在、桜井氏の製作したギターを、海外の国際コンクールで賞を取るレベルのクラシックギタリストが使用している、ということだ。
20世紀最大のクラシックギタリスト アンドレス・セゴビア氏に桜井氏の師匠である河野賢氏は自身のギターを渡したそうだが、残念ながらコンサートなどで使ってはもらえなかったようだ。
日本人が国際舞台に立つことはどのジャンルでもそうだが、なかなか難しい。その意味でも桜井氏のギターは正に”日本が誇る世界の銘器”という名に相応しいものだ。
これからもお元気でさらなるご活躍を祈念したい。
(Arcangel アルカンヘル)