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岡麓の歌(「私の好きな短歌」より)

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2021年7月の記事一覧

私の好きな短歌、その16

逝く人はかへり来らず月も日も留まれる者のうへにつもりて

 岡麓歌集、『雪間草』より(『日本の詩歌 第6巻』中央公論社 p393)。

 「老を嘆く」中の一首。誰しもある程度年齢を重ねれば何人かの知人の死を知ることになる。老境に入った人はなおさらだ。上二句は自然に口をついた嗟嘆そのままで、三句以下は詩的な表現になっている。詩的だが実感がこもった表現だ。「月も日も」という表現に工夫が感じられる。月日

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私の好きな短歌、その15

生のままセロリきざみて粕にあへかをり高しと粥すすりつつ

 岡麓、歌集『雪間草』より(『日本の詩歌 第6巻』中央公論社 p392)。

 「七面鳥」中の一首。下三句すべてが「か」で始まっている。それによってセロリの歯ごたえ、また独特な爽やかな香りが強調されているようだ。セロリは当時どのくらい普及していたのだろうか。定かではないが、おそらく歌の素材としては新しいのではないだろうか。作者はこの時73歳

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