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隣室に書よむ子らの声きけば心に沁みて生きたかりけり 島木赤彦、歌集『柿陰集』より(『日…
あしたより日かげさしいる枕べの福寿草の花皆開きけり 島木赤彦、歌集『柿陰集』より(『日…
あからひく光は満てりわたつみの海をくぼめてわが船とほる 島木赤彦、歌集『太虚集』より(…
ひと平らに氷とぢたる湖に降り積める雪は山につづけり 島木赤彦、歌集『氷魚』より(『日本…
遠近の烟に空や濁るらし五日を経つつなほ燃ゆるもの 島木赤彦、歌集『太虚集』より(『日本…
枕べの障子一日曇りたり眼をあげてをりをり見るも 島木赤彦、歌集『氷魚』より(『日本の詩…
夕まぐれ音をひそめて帰り来し子どもは雨に濡(ぬ)れてをるかも 島木赤彦、歌集『切日』より(『日本の詩歌 第6巻』中央公論社 p20』)。 「赤罌粟の花」中の一首。罌粟が咲くのは初夏という。なぜ子どもが音をひそめて帰ってきたのかは分からないが、子どもは濡れている。情景は明白だが、すべてが明らかではないという魅力がある。子供は雨に濡れてしょんぼりしているのか、あるいは何かに夢中で雨に濡れることを気にしていないのか、はっきりしない。写真のように景色をそのまま切り取っていて、受