アトラクサはオムニテル(モンスターショー)に”完成化”をもたらした
偉大なる統一者、アトラクサ
偉大なる統一者、アトラクサは”ファイレクシア:完全なる統一”で収録された神話レアのカードだ。
カッコイイからオイルスリック版のイラストを載せてみた。
ちなみに私はコンプリートバンドルから引けなかった者のだ。
さて、”バトル”という新しいカードタイプが示唆されて話題となったアトラクサだが、この強さについては正直半信半疑だった。
「一応1枚買ってみようか?」「でもそこまで強いかな?」
あのときの私、何故買っていなかったのか。お前の目は節穴だ。
未来からなら何とでも言える。
実際にデッキに入れて試してみたところ、まさかの事態が起こった。
それは、『グリセルブランドを全てデッキから抜く』という事件だ。
購入したエッチングフォイルグリセルブランドが泣いている。
”グリセルブランド”はスニーク、オムニに代表されるショーテル系デッキ、リアニメイト系のデッキで一線を張り続けてたカードだ。
昨今、”残虐の執政官”という対抗馬は出てきたものの、その役割には明確な差があり、どちらもバランスよく使うのが正解だと思われた。
しかし、この新たなる対抗馬、”偉大なる統一者、アトラクサ”の役割はグリセルブランドにかなり近く、プレイした結果から総合的見ると『オムニテルにおいては完全に上位互換』であると断言できるに至った。
語弊がないように言うが、”グリセルブランド”は依然として強力なカードだ。スニークショー、リアニメイトにおいても”偉大なる統一者、アトラクサ”はやや優位な位置にあるように感じるが、かの強力なドロー効果は輝きを失ってはいない。
ではなぜ、『オムニテルにおいては完全に上位互換』であるか。
これを語っていこう。
オムニテルはミッドレンジ?
というのは流石に言い過ぎだろうが、リアニメイトやスニークに比べるとオムニテルはややゆっくりとしたデッキだ。
コアトル、ウーロ、忍耐、森の知恵、といったコントロールデッキ寄りのカードが採用されていることから、それが分かるだろう。
粘り強い戦いができ、様々なデッキに対して向き合っていける良さは持っているが、その分URデルバーや赤単に対してはライフが思いの他削られてしまっている場面も多々ある。
”グリセルブランド”は7ペイを要求してくる以上、相手にはよるものの実際に起動できるのは『ライフが11点以上のとき』に限られる。
ライフが3になった瞬間、いつでも”稲妻”が飛んでくるからだ。
これに対して”偉大なる統一者、アトラクサ”はETBでライフの要求はない。誘発スタックはあるものの、7ペイ→起動スタックで稲妻 といった事態は起こらないということだ。ライフが削られがちなオムニテルにおいてはこれは非常に優れた点だ。
加えて、”絆魂” ”警戒”を持つアトラクサは、攻守に優れた性能を持つ。
だが、アトラクサのETBの優秀さはこれだけに止まらない。
アトラクサは良質なカードを提供してくれる
アトラクサのETBはトップ10枚からそれぞれ異なったカードタイプのカードを手札に入れることができる。
一見、手に入る枚数が少ないようにも感じるかもしれないが、多くのカードタイプがデッキに入っていればそんなことはない。
”モンスター・マニュアル”を採用しているオムニテル(モンスターショー)では最大6枚ものカードを手に入れることが出来る。
・クリーチャー(エムラ、ウーロ、コアトル、執政官、アトラクサ)
・インスタント(ブレスト、ウィル、サマー、ウィッシュ)
・ソーサリー(思案、ショーテル)
・アーティファクト(モンスター・マニュアル)
・エンチャント(全知)
・土地
といった具合に、モンスターショーという型においては非常にバリューの大きいETBだ。平均しても5枚程度のカードを手札にいれることができるだろう。
こう見ると、「おや? グリセルは7枚引けるぞ?」と思うかもしれないが、”グリセルブランド”のドローはあくまで玉石混淆、つまり良いカードもあれば悪いカードもある、ということだ。土地ばかり3枚も4枚も引かされても困ってしまう。
この点、アトラクサは(よほどの不運がなければ)確実に使えるカードを手に入れることが出来る。実際のバリューは”グリセルブランド”の1回の起動よりも高いと言えるだろう。
また、”船殻破り”や”覆いを割く者、ナーセット”のドロー縛り、レガシーでは珍しいが”黙示録、シェオルドレッド”に咎められないことも無視出来ない魅力だろう。
あらゆるピッチコストになる
4色のカードというのは、実はそれだけでも魅力である。
青いデッキでれば”意志の力””否定の力”のピッチコストに
緑のデッキであれば”忍耐””活性の力”のピッチコストに
白いデッキであれば”孤独”のピッチコストに
黒いデッキでれば”暴露””悲嘆”のピッチコストに
レガシーで使われている錚々たるピッチスペル達。その全ての弾にアトラクサはなれる。
ここも”グリセルブランド”との大きな違いだ。
オムニテルの構造的な欠陥として、フィニッシャーは重ね引くと手札で腐ってしまう。しかし、ピッチコストに使える”偉大なる統一者、アトラクサ”であれば、この点も気にならない。フィニッシャーがウィルの弾になるのだから、スキが少なくなるのは自明のことだ。
おまけで触れておくが、最近採用率が上がってきた”殺し”に対しても黒い故に耐性を持っていることは、地味ながら美点だ。
モンスター・マニュアルと最高の相性
以前の記事で紹介したように「モンスター・マニュアル」というカードは、それ1枚でゲームに勝つカードだ。
https://note.com/yamanekorei/n/na7322945a044
・出来事でのサーチ効果
・当事者での踏み倒し効果
打ち消しやハンデスによって互いに消耗しあった先に使う”動物学的研究”から”偉大なる統一者、アトラクサ”を手に入れ、次のターンには”モンスター・マニュアル”をキャスト。
踏み倒して出てきたアトラクサは失ったアドバンテージを回復し、たちまちにゲームの天秤を勝利へと大きく傾けてくれる。
アトラクサはライフを払わない構造上、”カラカス”に対しても強い。苦し紛れにバウンスしてくれれば、さらなるアドバンテージを得ることが出来る。
この相性の良さは他に類を見ない。
総評
・ドロー縛りに影響されず、ライフペイを要求しない莫大なアドバンテージ源
・攻守隙の無い4つの常磐木能力
・4色のピッチコストになる
この3点から、『”偉大なる統一者、アトラクサ”はオムニテルにおいては”グリセルブランド”の完全に上位互換』と言える。
”グリセルブランド”にはない無視出来ない欠点としては、”紅蓮破”や”赤霊破”に当たることだろうが、上述のメリットに比べれば些細なものだ。
最後に、筆者が先日、22人参加のレガシー杯で優勝したリストを紹介しておこう。
※最終戦はスプリットしたので、形上の優勝
https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/493754/show/
戦績は以下の通りだ。
ボロスイニチアシブ 2-1
4Cコントロール 2-0
青ペインター 1-2
デスシャドウ 2-0
id
3位通過
SE
黒単 2-1
スニークショー 2-0
青ペインター スプリット ※形式上優勝
運の巡りが良かったのは事実だろうが、”偉大なる統一者、アトラクサ”の導入によってデッキのパワーが増したことは疑いようがない。
そう、まさに”完成化”したのである。
今後のアトラクサの採用枚数についてだが、私は3枚採用してもいいと思っている。
そうなると、フィニッシャーを、エムラクール1,残虐の執政官2,アトラクサ3,という構成になるかと思う。
これについて検討の余地はあるが、それくらいの強さがアトラクサにあると感じている。
まだまだ”モンスター・マニュアル”を採用したオムニテルは私ばかりがリストを更新している状況であるが、この記事を執筆している2023/3/16時点で某有名店での”モンスター・マニュアル”の通販在庫がゼロになっていることを目撃した。
これは、筆者としては大変喜ばしいことである。実際にはEDHでの需要が大半ではないかと思っているが、幾ばくかでもレガシーのオムニテル使いが”モンスター・マニュアル”に目を向けてくれているのであれば、幸いである。
今後とも、モンスター・マニュアルと採用したオムニテル、
”モンスターショー”の調整を続けていきたいと思う。
よりよい知見が得られた際には改めてnoteにまとめたい。
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