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一般質問原稿 令和6年第4回定例会2024年12月4日
通告内容
1 効率的な市政経営の展開に向けた今後の展望について
(1) 市長の認識について
ア 令和6年11月5日号市報ちょうふに掲載された「手をつなぐ樹」の内容について
2 公共投資、公共調達及び公共サービスの持続可能性について
(1) 公共投資、公共調達及び公共サービス改革の基本的な考え方について
(2) 持続可能性の確保に向けた取組の現状と課題について
(3) 公共サービスの質の向上に向けた条例制定の取組について
ア 都内他自治体における公契約条例の制定状況及び制定に向けた検討状況について
イ ILO第94号条約型公契約条例について
ウ 行政サービス提供の在り方の検討について
3 職員の人事制度について
(1) 等級制度について
ア 等級別基準職務表に規定する基準となる職務について
イ 6級及び7級職の考え方について
(2) 報酬制度について
ア 賃金カーブの考え方について
イ 60歳に達した職員の給与の考え方について
(3) 評価制度について
ア 人事評価結果の任免や給与への活用について
イ 評価者の研修について
(4) 定員管理について
ア 参考指標の活用の状況について
イ 社会情勢や行政需要の変化及び定年年齢引上げに伴う対応について
(5) 管理監督職勤務上限年齢制について
ア 上限年齢の例外と適用除外職について
イ 特例任用について
ウ 職員のモチベーション維持に向けた取組について
以下会議録
◆6番(山根洋平 議員) 皆様、こんにちは。チャレンジ調布、6番議員の山根洋平でございます。ただいま井上耕志議長より発言の許可を得ましたので、通告に従いまして、一問一答方式にて大きく3点、順次質問をしてまいります。よろしくお願いいたします。
今日は、公共投資、公共調達、公共サービスの持続可能性についてということで質問を予定しているんですけれども、私、この質問を考えているときに、調布市単体でこの公共サービスや公共調達、どのように持続可能なものをやっていくかということを、ずっと巡らせていたわけなんですけれども、その中で「市報ちょうふ」11月5日号の1776号、この府中市とのコラボ企画で、中の面を開いても、すごく見応えのある非常に充実した記事で、ああ、これはいい企画だなと思いながら見ていたわけなんですけど、このいつも載っている下の「手をつなぐ樹」、1面のところにあります長友市長のコラムの中なんですが、今日はこのコラムの中身をちょっと市長に御認識をお伺いしたいなと思いまして、議場にいらっしゃる方、それからオンラインで配信を御覧になっている方は画面のほうを御覧いただければと思います。
この「手をつなぐ樹」のところ、今回のコラボ企画の中身を受けて、こういった内容を書かれているのかなと思ったんですけれども、後半の部分が私は気になったので、読み上げさせていただきます。
「それならばいっそのこと、今後いつか一つのまちになれないだろうか。現在の首都圏では、一番効率のいい市政経営が展開できる人口規模は50万人程度とされるが、なんと現在、府中市26万人、調布市24万人。加えて、両市とも国からの財源補填を必要としない良好な財政状況だ。もし合併すれば多少老朽化した施設を廃止してもなお50万人市民が十分な公共サービスを受けることが可能だろうし、将来にわたり余分な施設をつくる必要が少なくなるなどのメリットも期待できそうだ。新市の名称は、たとえば武蔵市府中区と調布区。おっと、初夢を見るのがちと早すぎた。」
画面を終わります。こういうコラムを書かれていて、私、ちょっとびっくりしたんですね。この中で触れられているとおり、まさに合併というようなことを行えば、こういった公共施設ですとか本庁についても機能集約を図ることができますし、まさに行政経営を力強く進めていこうということにつながると思います。
また、さらに申し上げると、財政基盤の強化ですよね。ここで触れられているとおり、府中も調布も両市ともに不交付団体というようなところで、調布市、それから府中市においても基金残高、相応にあるというようなところで、財政基盤の強化というところにもつながるかと思います。
しかしながら、この合併ということは非常に議論する上でもハードルが高いというところがあるかと思います。平成の大合併の時期、いろいろな事例を見ましても、やはり合併協議会の中での議論を通じて、それぞれの市の独自性であったり、あるいは市民の様々な感情、歴史に対する思いというようなところから、なかなか協議がうまく調わない。例えば市の名称をどうするであったり、本庁の位置をどうするというようなところでつまずいて、協議が調わない事例もあったのではないかな、少なくなかったのではないかなというふうに私は理解をしております。
今回このような市報というところのコラムで、長友市長が府中市との合併というようなところを触れられましたので、このコラムに書かれた内容の真意を、長友市長、どのようなことをお考えなのかなということで、冒頭、お尋ねしたいと思います。御答弁をお願いいたします。
○井上耕志 議長 答弁を求めます。長友市長。
◎長友貴樹 市長 まずは、多少戯画的な問題提起でありましたけど、コラムから質問に取り上げていただいて、ありがとうございます。私は感謝本当に申し上げます。
お話の中でも、市政経営、それから行政経営の効率化と言われましたね。これは誠に同感です。今後とも議論の展開をよろしくお願いします。
改めてですけれども、地方自治法で我々は業務をやっているわけですが、憲法92条で地方自治の本旨があって、地方自治法がある。その第1条の目的のところに、民主的かつ能率的な行政の確保と、これを目的としているわけですから、やっぱりどこまでも能率化。今、安定財源の確保が難しくなっていますから、より効率化が望まれると、そういうことだと思っております。
明治の頃、7万あった基礎自治体が、今おっしゃったように、平成の合併でも3,200から1,500少なくなって1,700。近年で、東京都が23区の再編で50万ずつにやったらどうだというのを平成20年代にやりましたよね。あれなんかも非常に記憶に新しいと。
合併などというものが一朝一夕にできるわけがない。ないけれども、こういうふうな共同事業化はどこまでもやっぱり追求していかなきゃいかんと。そういうふうな思いであります。で、平成25年に近隣に語らって、多摩川流域連携会議をつくったんですけども、あれの成果が激甚災害のドローンの共通使用、それから、観光情報サイト多言語への共同加入、それから、今年できた企業のデータベース化、こういう実績があります。
ちなみに、コラムですけれども、反響は2つでした。かなりあったんですけれども、興味深くて面白かったねというのと、あの書きっぷりからして、そんなすぐに合併ということはないだろうけれども、共同事業化、それを模索するのはやってしかるべきだと。
今日、2分というお約束なんで、ここまでですけれども、ぜひ今後とも議論の展開をよろしくお願いします。
○井上耕志 議長 6番、山根洋平議員。
◆6番(山根洋平 議員) 御答弁ありがとうございました。まさにこの行政の効率化という点においては、私もこれまで自治体DX、そういったところの話の中でも触れさせていただいたとおり、やはり常にやっていかなければならない課題なんだなというふうに私も考えているところでございます。一方で、この合併のところについては、非常に困難な道のりを歩むことになるだろうというところについては認識は一致しているかなと思います。
どのように行政の効率化の実現を図っていくかというところについては、やはり様々な観点、いろいろな角度からの議論というものを展開していく必要があるかと思います。このたび、このコラムのところから1つきっかけということで、長友市長のお考えがあるのではないかということで、このたび一般質問で伺ったわけでございますが、今後もこのようなテーマに限らず、様々な角度から議論を引き続き続けていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
また、この市報に関連して、我が会派の阿部議員からもこの後、質問が控えておるというふうにお見受けしますので、詳細はそちらのほうにお任せをいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
2点目は、公共投資、公共調達、そして公共サービスの持続可能性についての質問です。
先ほど触れました、令和6年第1回定例会で自治体DXということで質問いたしましたが、まさにここ、2040年問題というところを触れまして、少子化の進展、生産年齢人口の減少といったものが進む中で、今後、団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者になっていくと。それによって自治体職員の数も減っていくということが確実視されていることから、人が関与する業務量を減らしていくことが喫緊の課題であるということを御指摘いたしました。
こうした社会情勢の変化というものを的確に捉えまして、住民サービスの向上を図りながら、効率的な行政経営を進めていく、こうした認識は長友市長も同じだと思いますけれども、その中で自治体DXの推進が非常に重要な取組であるということで申し上げたところ、市長からも非常に力強い御答弁をいただいたというところになっております。
今日は、このテーマをもう少し深掘りいたしまして、この公共投資や公共調達も含めました公共サービスの持続可能性ということについて、市の現状認識を確認しながら、今後の取組に向けた展望も含めてお伺いをいたします。
まず一般的な前提としまして、公共投資のフロー効果について述べておきたいと思います。
ここで画面を御覧ください。公共投資のフロー効果とは、道路や橋、上下水道などのインフラ整備によって建設業を中心に様々な産業の生産活動が活発になり、新たな雇用が生まれ、所得が増えることで消費が拡大するというような効果のことを意味しているとのことです。こうした経済の好循環が生まれることで、短期的な景気刺激効果が期待されまして、公共事業には地域経済を活性化する効果があると一般的に考えられております。画面を終わります。
しかし、過去の公共事業におきましては、価格競争の激化によるダンピング受注が問題となりまして、下請業者や労働者にしわ寄せが生じました。この結果、公共事業の品質が低下し、その後の維持管理費用が増大するという問題も発生してきました。この問題は工事関係だけではなく、ITの分野なんかでも見られることかと思います。初年度の導入経費を低価格で受注し、その後の維持管理において随意契約を行うことで収益を確保するという、ベンダーロックインというものをビジネスモデルとするような例も見られるところです。
公共事業や公共調達は市民の税金で賄われますので、公平性や競争性、透明性というものも重要になってまいります。しかし、特定の政策目的の達成のために、調達に条件をつけて推進するという取組も見られます。具体的には、公共工事の品質確保や女性活躍推進、地元業者やスタートアップ事業者からの調達機会の拡大というものが上げられます。これらを推進するために、総合評価方式における加点項目として契約事務の工夫が図られるという事例も見られます。
このような理解に立ちまして、まずは調布市の公共投資、公共調達及び公共サービス改革における基本的な考え方について認識を伺います。御答弁をお願いいたします。
○井上耕志 議長 答弁を求めます。野澤総務部長。
◎野澤薫 総務部長 公共投資、公共調達及び公共サービス改革の基本的な考え方についてお答えします。
市の公共投資、公共調達においては、公平性、競争性、透明性など適正な入札契約手続が求められることに加え、工事やサービスの質と従事する方々の賃金をはじめとした労働条件を適正に確保することが重要であると考えています。
あわせて、公共投資等が地域経済の活性化に寄与し、災害等有事の際も市と事業者が協力しながら対応できる体制づくりにも資することから、市内事業者に一定の配慮を行う必要があると認識しており、市が発注する工事などの入札においては、適切な地域要件の設定に努めています。
以上です。
○井上耕志 議長 6番、山根洋平議員。
◆6番(山根洋平 議員) 御答弁ありがとうございました。
続いて、次の項目に移りたいと思います。持続可能性の確保に向けた取組の現状と課題についてお尋ねします。
バブル崩壊後の長期不況の間、建設投資そのものが減ってきたということになります。この中で、公共工事の入札競争が激しくなり、受注をめぐる価格面での競争が激化し、ダンピング受注の例も見られ、その結果、下請業者や労働者にしわ寄せが生じ、公共工事に従事する者の賃金がなかなか上がらないという状況が続きました。
ここで画面を御覧ください。こうした中で、中長期的な担い手の確保や行き過ぎた価格競争の是正、地域のインフラメンテナンスや維持管理、発注者のマンパワー不足、受発注者の負担軽減などの課題が浮き彫りになったことを踏まえ、平成26年には国で公共工事の品質確保の促進に関する法律、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律、これら3つをいわゆる担い手3法というふうに言っておりますが、この担い手3法の一体的改正が平成26年に行われました。この改正では、適正な利潤を確保できるよう、予定価格を適正に設定することやダンピング受注対策を徹底することなど、建設業の担い手の中長期的な育成、確保を目指すものとなっております。
また、令和元年には、この担い手3法の改正が行われ、地域の守り手としての建設業への期待や、働き方改革による建設業の長時間労働の是正、さらにICTを導入することで建設生産やシステム全体の生産性向上を目指すアイ・コンストラクションの推進など、新たな課題への対応が図られました。
そして、今年の6月、この担い手3法がさらに改正されました。今回の改正の背景には、前回までの改正で一定の成果があった一方で、建設業界の就業者の減少が続く中、建設業がその役割を将来にわたって果たし続けるためには、現場の担い手の確保が急務であるという課題が浮き彫りになったことから、持続可能な建設業の実現と担い手の確保を目的とした改正となっていると私は理解をしています。画面を終わります。
この今年、令和6年における最新の担い手3法の改正内容と、それによって本市においてどのような対応が必要なのか、これまでの取組と今後の課題についても御答弁をお願いいたします。
○井上耕志 議長 答弁を求めます。野澤総務部長。
◎野澤薫 総務部長 持続可能性の確保に向けた取組の現状と課題についてです。
本年6月に、国において、いわゆる担い手3法の改正があり、労働者への適正な賃金の支払いを確保する仕組みづくりに向けた法整備が図られました。
市では、こうした法改正に伴う国や東京都の動向を注視しながら、最新の労務単価を反映した予定価格の設定や施工時期の平準化、適切な工期設定などの取組を継続して推進しております。
また、国が建設業界で働く方の能力や経験を適正な処遇改善につなげる建設キャリアアップシステムの活用を進めていることを受け、市でも昨年12月に、対象工事の発注に向けた取扱要領を定め、システムの活用促進に努めています。
今後も公共サービスの持続可能性の確保に資するよう、労働者の適正賃金確保に向けた取組を継続してまいります。
以上です。
○井上耕志 議長 6番、山根洋平議員。
◆6番(山根洋平 議員) 御答弁ありがとうございました。私は、今回の法改正において盛り込まれた内容というところが、この担い手の確保であったり労働者の処遇改善というところ、それから適正な労務費の確保、そして、それが十分に行き渡るというところ、それをしっかり担保するということが重要な課題であるかなと考えておりますが、これらの論点は、これまで公契約条例というものの議論の中で主張されてきたものであると言えます。
この流れで次の質問項目に移りまして、公共サービスの内容の向上に向けた取組についてお尋ねをします。ここでお尋ねしたいのが、今申し上げました公契約条例についてです。この件については、これまでも我が会派から長年にわたり毎年の予算要望の中で取り上げているテーマでございますし、また、この本会議の一般質問などの場においても諸先輩方からこの公契約条例について質問がなされてきた、非常に歴史のあるテーマかなというふうに理解をしております。
これまでの議論で出てきました公共事業の中長期的な持続可能性の確保に向けて、まずは建設業界において、公共工事に従事する者の一定額以上の賃金を確保する規定を盛り込んだ条例の制定を求める動きというものが活発になってきました。その後、公共サービスの民間委託の発展とともに、次第に建設業以外の分野にも広がりを見せたところです。
一般財団法人地方自治研究機構の資料によりますと、令和6年11月1日時点で、賃金条項を有する公契約条例は全国で32条例あるとされています。そこで、都内の他自治体における公契約条例の制定状況と併せて、現在制定に向けた検討を行っている自治体もあろうかと思いますが、その状況についてお答えください。
次に、ILO第94号条約型公契約条例についてお尋ねをします。
ここで画面を御覧ください。この形態の公契約条例を簡単に説明しますと、発注する自治体と受注者が、受注者及び受注関係者が第三者に対して、つまり受注関係者が直接使用する労働者や下請事業者が使用する労働者に対して、労働報酬下限額以上の賃金を支払う旨の契約をすること、専門的に言うと、これは民法第537条に規定する第三者のためにする契約をするということを指しますが、こういった条項を定める条例のことを指します。
具体的には、受注者及び受注関係者は、公契約に係る業務に従事する労働者等に対し、労働報酬下限額以上の報酬を支払うという賃金条項を設けた上で、かつ受注者は、受注関係者が労働者等に対して支払った報酬の額が、この労働報酬下限額未満のときは、当該労働者等に対して、連帯して当該報酬の額と労働報酬下限額との差額に相当する額を支払うという連帯責任条項を、契約の中に約定して設けるということになります。
令和に入ってから制定された公契約条例では、労働報酬下限額支払いの実効性の担保のための具体的な方策といたしまして、受注者や内容を確認する確認書の提出、いわゆるチェックシート方式というものを採用して、受注者や受注関係者による労働報酬支払い状況を確認するというものになっています。これによって事務の負担を軽減しながら、実効性の担保を図ることができることから、最近ではこの方式、こちらがチェックシートの例になりますけれども、「はい」や「いいえ」というようなところで記入できる、内容的には簡単なものになりますが、こういったもので確認をしているということが多く見られています。画面を終わります。
今紹介をしましたような公契約条例制定の中でも広がりを見せている、ILO第94号条約型公契約条例というものに対する市の認識をお聞かせください。御答弁をお願いいたします。
そして、行政サービスの提供の在り方について、検討の内容をお伺いします。
画面を御覧ください。こちら、紹介している図が、立川市のスライドになるんですけれども、私がまさに作ろうと思った図をそのまま作っておられたので御紹介、引用させていただいております。
公契約条例を定めることによる効果について、公共事業における入札、契約等の適正化並びにその業務に従事する労働者等の適正な労働環境の整備を推進し、地域経済の活性化、市民の福祉の増進に寄与するというふうに書いてあります。この公契約条例は、市の発注する公共工事や公共サービスの質の向上につながるものですと、下のほうに書いてあるわけですが、このような紹介が立川市のホームページでなされています。画面を終わります。
せっかく例で取り上げましたので、立川市の状況を御紹介しますと、今年9月に公契約条例制定に向けた検討委員会というものが開催をされまして、議論が進んでいるという状況かと理解しております。また、市のほうだけではなくて、立川市議会のほうでも、総務委員会において所管事務調査事項として、公契約条例について調査をされると伺っております。
また、冒頭、合併というような話で取り上げましたお隣、府中市でも、先月、11月7日に第1回府中市公契約条例の在り方等検討委員会が開催をされました。その委員には、学識経験者、労働者団体代表、事業者団体代表、それぞれの3者から任命をされまして、ここでも公契約条例の制定に向けた議論というものがスタートしているというわけです。
このように、多摩地域におきましても、近隣で制定に向けた検討というものが進んでおりますけれども、調布市においては、まだこうした動きは見られないという状況です。公契約条例については、賃金条項を設けたものが制定をされますと、労働報酬下限額という設定がされますので、労働者獲得競争、取り合いというところで、若干調布市は劣ってしまうのではないかなと懸念をするところです。
ここで画面を御覧ください。こちらは、ハローワーク府中における有効求人倍率の直近1年分を抜粋してグラフにまとめた内容となります。ハローワーク府中の管轄は府中市、稲城市、多摩市、狛江市、そして調布市の5市ということになります。職業計、全ての職種でいきますとおおむね1倍を下回る推移となっておりますが、職種別に見ますと、建設・採掘従事者では時期によっては6倍を超えるような状況で、直近2024年9月では5.58倍という高倍率で推移しています。このほか、サービス職業従事者や福祉関連の職業についても2倍から3倍台の中で推移をしているのかなという状況です。画面を終わります。
公契約条例を制定している自治体があるかと思うんですけれども、運用が丸2年を経過したような中野区においては、労働報酬下限額が設定されたということで、事務従事者の賃金の最低額が保証されたと。令和6年の委託業務の労働報酬下限額は1時間当たり1,310円というような金額になっております。その結果、中野区の仕事をしたいというような労働者の声が聞かれているなど、早速効果を上げているというような状況です。なお、先ほどチェックシートで御紹介したお隣、世田谷区においては、この委託業務の労働報酬下限額が1,330円という水準と伺っております。
調布市もこうした周辺の動きに対して、私はもう少し危機感を感じたほうがよいのではないかなと考えているところです。公契約条例の制定に向けて、府中市のように関係する方々を集めた検討委員会のようなもので議論を始めるところからスタートしてはいかがかと御提案するところですが、市の認識をお聞かせください。
以上、御答弁をお願いいたします。
○井上耕志 議長 答弁を求めます。野澤総務部長。
◎野澤薫 総務部長 公共サービスの質の向上に向けた条例制定の取組についてお答えします。
都内では3市14区が公契約条例を制定しており、このほかにも制定に向けた検討を進めている自治体があることは承知しています。
既に条例を制定している自治体の中には、従前の賃金台帳調査に代えて、事業者からチェックシートの提出を受け、賃金の支払い状況を確認する方式を取り入れている自治体が出始めており、このような手法についても導入の効果を注視してまいります。
現在、国が旗振り役となり、担い手3法の改正をはじめとした労働者の適正賃金確保など処遇改善に向けた取組を推進しています。中でも、労働者への適正な賃金の支払いを確保する取組として定められた標準労務費については、違反した場合の勧告措置などもあり、有効な手段の1つと考えられることから、まずはその実効性を確認していくことが必要であると考えています。
公共サービスの質の確保や持続可能性に向けては、最低制限価格の設定や最新労務単価による積算、スライド条項の適用など、市として労働者の処遇改善に資する取組を引き続き行うとともに、標準労務費の実効性や他自治体の条例制定に向けた動向を注視しながら、調査、検討を行ってまいります。
以上です。
○井上耕志 議長 6番、山根洋平議員。
◆6番(山根洋平 議員) 御答弁ありがとうございました。ただいまの御答弁、これまでこちらの議場のほうで御答弁された内容よりは大分趣の異なった、非常に前向きな御答弁というふうに私は理解、捉えております。
今、論点、様々議論したとおり、国の担い手3法の改正ということによって、労働者の処遇確保というものを建設業者に努力義務化するとともに、中央建設業審議会が標準労務費を作成し、それを勧告するという仕組みにこのたびの法改正によって変わったというところになります。適正な労務費を確保して、それが労働者に行き渡ることをもくろむとともに、原価割れ契約の禁止というものも受注者に導入することになっています。ようやく国の法律が、これまで公契約条例の中で議論してきた内容、この考え方に追いついてきたというところで、具体的かつ直接的に労務費の確保というものの実効性を担保するために、やっぱり個々の契約においてそれを行うことが重要だと私は考えております。
そうした労働報酬下限額の設定を義務づけ、そして支払われない場合に連帯責任条項を設けるということ、そしてそれを実効性あるものとしてチェックシート方式による確認をするという、こういった一連の契約事務の流れの根拠となる公契約条例というものが非常に重要になってくると考えておりますので、そこはしっかりと取り組んでいただくように要望を申し上げまして、次の大きな3点目の質問に移らせていただきます。
最後に、大きく3点目、職員の人事制度についてお尋ねをします。
これまで公共サービスの持続可能性の議論というところをしてきたところですが、これを支える職員の人事制度という点にも少し触れておきたいと思います。今日は、人事制度そのものに着目、注目をしながら、近年の定年延長と併せて、いわゆる役職定年制の部分について質問をしていきたいと思います。
一般的な理解としまして、人事制度は等級制度、報酬制度、評価制度というものから成り立っているというふうに言われております。よく図式に表しますと、分母と分子で分数にしたときに、分母の部分に等級制度、分子の部分に報酬制度、評価制度という形で乗っけるような形での説明も見られるところです。最近では、これにさらに研修、教育制度というものをさらに付け加えて、4つというような新しい論もあるんですけれども、私は今回、ここは伝統的な3つについてお尋ねをしたいと思います。このそれぞれの制度について確認しながら、職員定数、定員管理について認識を踏まえて、最後に役職定年についての認識をお尋ねします。
初めに、等級制度についてお尋ねします。等級別基準職務表に規定する基準となる職務についての概要と、その中でも6級及び7級職の考え方についてお尋ねします。御答弁をお願いいたします。
○井上耕志 議長 答弁を求めます。野澤総務部長。
◎野澤薫 総務部長 等級制度についてお答えします。
職員の職務は、その複雑性や困難性、責任の度合いに基づき、給与表に定める職務の級に分類しており、その分類の基準となるべき標準的な職務の内容を、調布市職員の給与に関する条例の別表第3及び第4の等級別基準職務表に定めています。
同表において、6級は次長の職務、7級は理事及び部長の職務とそれぞれ規定しています。
以上です。
○井上耕志 議長 6番、山根洋平議員。
◆6番(山根洋平 議員) 御答弁ありがとうございました。それでは、そのまま続いて、報酬制度について伺います。
今定例会では議案のほうで、この報酬関係の議案というものがあるんですけれども、今回はその細かい内容ではなくて、制度そのものの一般論として、制度設計の面から質問、お尋ねをしたいと思います。
まずは、画面を御覧ください。こちらは、厚生労働省が公表しております令和5年度の賃金構造基本統計調査から抜粋した賃金カーブというものを記載しております。年齢階層別に年収額が幾らになるかというものを示したもので、この図で申し上げますと、左が19歳まで、20歳代の前半、後半、30歳代の前半、後半と、だんだん右に進んでいくに従って年齢が上がってきて、そして、60歳の前でピークを迎えて、下がっていくというような図になっております。画面を終わります。
この賃金カーブについて、賃金というのは労働者側、お金をもらう側からの言い方になりまして、制度設計、支払う側から言うと、給与カーブというような言い方をします。市職員として採用されてから、このカーブがどのような線を描くように制度設計されているのか、そして、60歳に達した職員の給与の考え方についても併せてお尋ねします。御答弁をお願いいたします。
○井上耕志 議長 答弁を求めます。野澤総務部長。
◎野澤薫 総務部長 報酬制度についてお答えします。
市職員の給与体系は東京都に準拠しており、年齢や職責等とともに変化する給料月額の伸びをグラフで表した、いわゆる給与カーブについても、東京都と同様に60歳までは緩やかな右肩上がりの曲線となっています。
一方、60歳に達した職員の給料月額は、61歳年度の4月1日以後、60歳時点の7割の水準に引き下がりますが、60歳に達した職員の給与水準に関する措置は、定年延長に伴う経過期間の当面の措置として設定されています。
今後、60歳前後の給与水準について、人事院や東京都人事委員会において検討が進められていることから、引き続き、国や東京都の動向を注視してまいります。
以上です。
○井上耕志 議長 6番、山根洋平議員。
◆6番(山根洋平 議員) 御答弁ありがとうございました。では、そのまま続けて、評価制度について伺います。
人事評価結果の任免や給与への活用の状況と、その前提となる評価者の研修について、それぞれどのように行われているのかお尋ねします。御答弁をお願いいたします。
○井上耕志 議長 答弁を求めます。野澤総務部長。
◎野澤薫 総務部長 人事評価制度についてお答えします。
人事評価の結果については、昇任のほか、昇給や勤勉手当に反映させることで、職員の仕事へのやりがいや意欲を高めるための仕組みとして活用しています。
また、人事評価者の評価スキルの向上を図るため、毎年評価者向けの研修を実施しており、日常業務における職員個々の課題に対する改善指導法や、適正な評価を行うための評価の視点及び基準の統一化に努めています。
以上です。
○井上耕志 議長 6番、山根洋平議員。
◆6番(山根洋平 議員) 御答弁ありがとうございました。そのまま引き続き、定員管理について伺います。
総務省では、地方公共団体における適正な定員管理の推進を図る中で、人事行政の透明性を高め、住民の一層の理解と納得を得ることを目的として、定員と給与の状況について参考指標を用いて分かりやすく開示する方法の1つとして、参考指標による職員数等の現状・分析シートというものを公開しています。こうしたツールの活用の状況について伺います。あわせて、社会情勢や行政需要の変化及び定年年齢引上げに伴う対応を踏まえた定数の在り方についての認識を伺います。御答弁をお願いいたします。
○井上耕志 議長 答弁を求めます。今井副市長。
◎今井隆司 副市長 定員管理についてお答えします。
組織、職員体制整備については、行革プラン2023に基づき、常勤職員定数の抑制を基本としつつ、多様化、複雑化する市民ニーズや、法制度改正に伴う業務量の増加、重点事業の推進などに対応するため、各職場の状況を把握しながら、体制を強化する必要がある部署には所要の人員を配置しています。
毎年度の職員定数案の策定過程における国が示した定員管理の参考指標の活用については、地域の実情等によって行政需要が多様であることから、市においては、参考情報としての活用にとどめています。
また、段階的な定年年齢の引上げについては、各職場における業務量等に直接的な影響を及ぼすものではないことから、職員定数を管理する上で、特段の対応が必要な状況にはないと認識しています。
引き続き、各職場の状況を踏まえた必要な人員を配置する中で、簡素で効率的な組織体制整備に取り組んでまいります。
以上でございます。
○井上耕志 議長 6番、山根洋平議員。
◆6番(山根洋平 議員) 御答弁ありがとうございました。最後に、管理監督職勤務上限年齢制、いわゆる役職定年制についてお尋ねします。
これは、地方公務員の定年延長に関する地方公務員法改正の際に、様々議論された内容になるとは思いますが、改めて確認をさせていただきます。
まず、上限年齢の例外と適用除外職についてですが、国家公務員の定年延長に併せて、地方公務員においてもこれに相当する職について検討がなされたと思いますので、まずその内容をお答えください。
次に、特例任用についてですが、画面を御覧ください。職務の遂行上の特別の事情等がある場合や、特定管理職群の特例任用というものが地方公務員法で定められております。画面はここで終わります。
この特例任用について、調布市では、調布市職員の定年等に関する条例において、特例任用の事由について記載があります。その内容を見ますと、いずれも余人をもって代え難く、当該職務を担当する職員が交代することで、公務の運営に著しい支障が生ずることを事由として挙げておりますが、まだ調布市での運用は例がないと承知しております。この特例任用について、どういった状況でこれが発動されるのかということをお答えください。
そして、職員のモチベーションの維持についてですが、先ほど御答弁いただいたように、60歳に達した職員の給与カーブ、賃金カーブについて、60歳時点の7割というようなことですが、急にがくっと下がるということで、職務内容についても相応の変化というものがないと、やはりこれはモチベーションに対する影響というものが懸念をされるところです。
高齢層職員のモチベーションへの影響、そして組織活力の維持というところに向けた取組について、どのような対応をされているのかお答えください。御答弁をお願いいたします。
○井上耕志 議長 答弁を求めます。野澤総務部長。
◎野澤薫 総務部長 管理監督職勤務上限年齢制、いわゆる役職定年制についてお答えします。
役職定年制は、定年延長制度の導入に併せ、令和5年度から運用を開始しています。市では、法改正の趣旨を踏まえ、組織の新陳代謝を維持する観点から、60歳を上限年齢と定め、61歳に達する年度から管理監督職以外である係長職への異動を原則としています。
上限年齢の例外や適用除外職について、国は人事院規則に規定しており、例として、事務次官相当の官職や、制度導入以前から60歳以上の特例定年が設定されていた医師等の職などが規定されています。市においては、同等の職がないことから、現時点で配置ポストなどの想定はしていません。
次に、特例任用については、市は、職員の定年等に関する条例に定める事由に該当する場合に、引き続き管理監督職として任用することとしています。主な事由として、国のガイドラインにおいても、特別なプロジェクトの継続の必要がある場合や特殊な技能が必要な職務、僻地の職務などで、欠員を容易に補充できない場合、また年齢別人員構成の偏り等により後任の補充が困難など、特別の事情がある場合が挙げられています。
現状では、このような事由に該当する事案はありませんが、今後の職員構成の変化や他自治体の導入事例等を検証しながら、必要に応じた対応を検討していきたいと考えています。
職員のモチベーション維持を図る取組については、役職定年となる職員との面談を通じ、本人の意向に配慮した配置に努めています。また、50歳代の職員を対象とした意識醸成を図る取組として、今年度から新たな研修を実施します。
引き続き、職員のモチベーションと組織の活力の維持に資する取組を検討してまいります。
以上です。
○井上耕志 議長 6番、山根洋平議員。
◆6番(山根洋平 議員) 御答弁ありがとうございました。人事制度についてまとめさせていただきます。
役職定年制というところを中心に、今日は職員の人事制度というところで伺いました。主に特例任用のところですね。他市事例を検証しながら、必要に応じた対応を検討していくという御答弁でありました。文字どおり、特例任用と、特例というところですので、そもそも事前に明確な基準を設けるというのがなかなか難しいのかなというところが、私もこの人事の制度をいろいろ考える人だったので、そういうのを見ながら、非常に難しいんだろうなというのは想像に難くないところです。
ですが、これを制度として運用していく以上は、やはりある程度一定の基準、線引きというものは設けておいたほうがよいのではないかなと思います。それが組織的な意思決定ということで、なぜ特例任用ということで、その場所に引き続きいてもらうのかと。それが係長職になるのではなくて、引き続き管理監督職というところでとどまるのかというところの理由の説明ですね。やっぱり人事の中でも公平性というところを担保していくことが非常に重要になってくるかと思います。
どういった場合、どういった状況で特例任用が発動されるのかということについては、まさに調布市だけではなく、他市の事例を蓄積していきながら、いざ、この調布市でそういった必要に迫られたときに、すぐ備えることができるように、しっかりと蓄積をしていっていただきたいなと要望を申し上げます。
今日は大きく3点ということで御質問させていただきました。傍聴のほうにも多くの方がお越しいただきまして、また、今日は私の子どもも傍聴に来ております。家族の協力があって、こういった議員活動を続けていられるということで、改めて多くの方々に感謝を申し上げて、今日の私の一般質問を終えたいと思います。御清聴いただきましてありがとうございました。
(出典)調布市議会会議録検索
https://chofucity.gijiroku.com/voices/CGI/voiweb.exe?ACT=200&KENSAKU=0&SORT=0&KTYP=2,3,0&KGTP=1,2&TITL_SUBT=%97%DF%98a%82U%94N%81@%91%E6%82S%89%F1%81@%92%E8%97%E1%89%EF%81%7C12%8C%8E04%93%FA-02%8D%86&HUID=&KGNO=2451&FINO=3170&HATSUGENMODE=1&HYOUJIMODE=0&STYLE=0