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あゝ同期の桜

(ヘッダーは娘が小5の時に描いた絵です)

5月6日(日)まで、舞台「あゝ同期の桜」(原作:榎本滋民、脚本:上田浩寛、演出:錦織一清)が配信されています。

イープラス『Streaming+』
https://eplus.jp/sf/detail/1598810003-P0030007?P6=001&P1=0402&P59=1
楽天TV
https://live.tv.rakuten.co.jp/content/474462/

私は東京三越劇場に行く予定でチケットも取っていたのですが、急な家庭の事情で泣く泣く観劇を断念したんですよね。
他日程で行くのは無理だったし(ましてや多ステなんて論外)、配信が決まった時は本当に有り難かったです。

前置きが長くなりましたが、配信で「あゝ同期の桜」を観た感想をつらつらと書いていこうと思います。

まずはこちらのリンク。

原作者の榎本滋民氏の、執筆に至った思いや、本作のあらすじを、本編を見る前に頭に入れておいた方が、初見の理解が早かったと思います。

とはいえ、予備知識ゼロで見ても、特攻隊員役の役者さん達の、まだあどけなさの残る少年と凛々しい青年の間の空気感はそのまま、ほぼ同世代であった実在の特攻隊員ご本人達の姿とも重なり。
特に最後の、爆発的なエネルギーの発露といってもいい演出は、鮮烈な印象を残しました。
私が劇場にいたら多分号泣してたわ。
文句なしに素晴らしい演出だったと思います。

学徒として志願ではなく初めて召集された14期の彼らは、それぞれに出自も抱える思いも違うゆえにぶつかったりもするのですが、修羅場を潜ってきたベテラン整備兵の庄司さん(通称アブラショージ)が、文字通り潤滑油になったり滑ったりしつつ、同期としての絆が深まっていく様は、まさに青春群像劇で。
しかし彼らを待ち受ける未来は、国に、戦争に、そしてその時代によって、既に定められたものでもあるわけです。
隊員のひとり、お寺の僧侶でもある塚本くんが、色々あって自らの体も心も深く傷付けられ、ヤケになるんですが、屈託なく無邪気に接してくれた令子ちゃんとの邂逅により、人々が健やかに暮らす美しくも愛しき風景、それを支える国土と国を守ることこそがその意味であると悟るんですよね。

2人の出会いが、あとほんの数ヶ月でも後だったら、もしかしたら違う未来があったのかもしれないけれど。


同じく特攻隊がテーマの別の作品の主題歌で、B'zの「永遠の翼」という曲があるのですが、

“僕らがいつも目ざすのは 愛しいものたちの幸せ
絶望の先に必ずある 一筋の希望の光"

という歌詞が、いかに深く重い意味を持つか。
改めて考えさせられました。

なんならあの曲よりも余程クライマックスのBGMとして相応しいわ(暴言)

で、あとは好き放題書かせていただきますが(もう充分書いてるけど)、豊島中佐。

天笑さんが上役を演じるのは今まであまり見たことなくて(私が知らないだけかもしれませんが)、それだけでもう目を見張るんですけど、錦織さん演出作品における天笑さんの定番「私が来たらもう大丈夫」というセリフが、初めて説得力を持ったというか、舞台に現れるだけで画が締まるというか、とにかく存在感がすごくて。

めっちゃかっこいい

あまりにもかっこよくてびっくりした。(失言)

とはいえ、岡澤参謀とのやりとりでの間の取り方は、さすがでした。ほんとに。

本作品は間違いなく「若い人にこそ見てもらいたい」と思うのですが、その若い人や、もっと広い層に見てもらうにあたって、脚本か演出のどっちによるものなのかわからないけど引っかかる点もありまして。
まず、特攻隊員の文語調で書かれた日記(手記)をそのまま読み上げるのは、声だけだと伝わりにくいかなと思います。
通常時の会話が(諸木くんを除き)ほぼほぼ口語なので、読み上げる時だけ急に言葉遣いが難しくなると私の脳の理解が追いつかない、というのもある(これは私がアホなだけですけど)。
劇中で時間経過を示すナレーションがあまりに早口なのも気になりました。
手記の読み上げもナレーションも、セリフの物量と情報量が凄まじいので、役者さん達が頑張ってるのはよくわかるんですよ。
それだけに、「一生懸命喋ってるけど、何を言ってるのかよくわからない」と観客に思われてしまうのは、お互いに残念なんじゃないかなあ。
まあ、セリフの意味がわかるまで何回もリピート観劇してほしいという商業戦略的な意味でやってるんだったら、野暮なこと言ってごめんなさいねって話ですが、この作品は、推しを見るための娯楽としての舞台作品とは違うと思うので。
この先、誰が演出して誰が出演するにしても、作品を戦後80年よりも先の未来に残していくためにも、ちょっと考えてほしいかなと思ったりします。

あと、三浦さんは千葉繁さんの後継になってほしいと思いました(唐突)


いろいろ書きましたが、良作です。
期間限定の有料配信ですが、良かったらGW後半にどうぞご覧ください。

イープラス『Streaming+』
https://eplus.jp/sf/detail/1598810003-P0030007?P6=001&P1=0402&P59=1
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参考資料

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