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SOML⑤ Three 6 Mafia - Neighborhood Hoe

 みなさんは、人生をかけて聴き込んでいくような曲に出会ったことはあるでしょうか。音楽鑑賞を趣味としていると、度々そのような曲に出会うことがあると思います。出会い方はまちまちで、街中で流れている曲であったり、初めはそこまで好きではなかった曲がいつのまにか、かけがえのない曲になっていくこともあります。出会い方はどうであれ、その人の人生を象徴する曲、つまり「Songs of my life」(SOML)です。

 Three 6 Mafiaのこの曲は間違いなくSOMLのうちの一つです。みなさんは「Neighborhood Hoe」を聴いたとき、どのような印象を持つでしょうか。この曲を聴いて私がどんなことを考えたり感じたりするのか、この記事を読んでいただき伝わればうれしいです。

 この曲とは大学1年の冬に出会いました。日常生活で聴く音楽の大半がトラップだったのにも関わらず、トラップと地続きであるサザンラップを聴いていなかったことに気づき、スリーシックスマフィアやUGKを聴きはじました。当時、聴いているローテーションにマンネリを感じていた私にとってこの選択は正解でした。すぐに彼らの音楽性に魅了され、今にいたるまでサザンラップへの傾倒は続いています。サザンラップを聴き出してから真っ先にスリーシックスマフィアの全プロジェクトを聴いたのですが、この曲をひと聴きした時から、ラフで、煌びやかで、ダークはビートの虜になったことを覚えています。この曲の好きなところをあげたらキリがありませんが、以下の3つに絞ってご紹介したいと思います。

①滑らかでノリやすいラップ
②ピッチが低く。延ばされているフック
③ラフでキラキラしているダークなビート

①滑らかでノリやすいラップ
 スリーシックスマフィアの中で、Dj Paulのみがこの曲に参加しています。曲中の彼のラップは滑らかでリズミカルなパートと、一語一語間を置いている聴きなじみなパートがシームレスに繋がっており、思わず踊りたくなってしまいます。外出しているときや車を運転しているときにラップを聴くと、平静を装いながら心の中では踊ってしまうのは私だけでしょうか。この曲のビートとラップのコントラストはまさにこのギャップみたいで、外面と心の中の温度差をよく感じるバランスだと思います。コワモテな人の内面がすごくいい人、みたいな、冷たく暗い外側と暖かく親しみやすい内側のギャップが味わえる素晴らしいラップです。


②ピッチが低く。延ばされているフック
 メンフィスラップ特有のフックのエフェクトで、ピッチを低く加工しダークな雰囲気を出しています。また、Dj Paulのラップを挟む感じで配置されているので、曲のはじまりと終わりが分かりやすく、曲単位でリピートしがちな現代っぽい構成になっていると思います(曲の長さも2分弱と現代の基準に近いです)。
 ダークな加工がされているフックは、陸上でいう「アップ」と「ダウン」のはたらきのようで、本題のDj paulのバースを補助しているようです。 盛り上がりがフックやコーラスにある曲は多いですが、ヴァースをメインに据えてその補助としてフックを添えている構成が面白くて好きです。

③ラフでキラキラしているダークなビート
 最後に、この曲で一番大事だと言ってもいいビートについて書きたいと思います。皆さんはこのビートを聴いたときにどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。私はこの曲を聴くたびに夜の高速道路を走る車をイメージします。

出典:
https://minkara.carview.co.jp/smart/userid/1782593/blog/43728638/

 夜の道路を走る車のブレーキランプを写真で撮ってみると、赤い光が伸びてうつることがあると思います。ビート中で特徴的なブゥーンという音(何の音かわからない)は、このブレーキランプの赤い残像のようです。この音にはドライブのような疾走感や爽快感がある一方で、重苦しさ、ダークさ、夏の夜のようなもわっとした空気感があり、このビートを最も特徴づけている音の一つです。
 また、終始なっているベル(?)の音はキラキラしていて、ダークさだけでない深みを出してくれています。ベルのパターンには2種類あり、最初に流れるパターンは満点の星空のような、細かいキラキラ感があります。同時に流れるホワイトノイズのような雑音は、この曲にラフでタフなものにしています。次のパターンからは、流れ星のような音の「動き」を感じとれます。流れ星がいくつもあるキラキラしている星空に囲まれた夏の夜をドライブする、そんなイメージが湧いてくる素晴らしいビートです。

 いかかでしたか。長々と語ってきましたが私が勝手に感じ取ったものを勝手に表現しているので、音楽が詳しい方から怒られてしまうかもしれません。ですが、私のこの曲に対する愛情や情熱を少しでも感じ取っていただき、一人でも聴いていただく方が増えるのであれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

Yamanba

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