JICA草の根技術協力事業でベトナムを訪問して印象的だった3つのこと
みなさん、こんにちは。山梨県立大学国際政策学部3年の吉田龍です。先日私は『JICA草の根技術協力事業 農村体験型ツーリズム推進のための青少年教育プログラム構築』の一環として、ベトナムのランソン省バクソン郡バククイン村を訪問しました。今回のランソン省訪問にはプロジェクトマネージャーで山梨県立大学の安藤勝洋先生、現地コーディネーターのNguyễn Quang Diệuさん、山梨県立大学生5名、ベトナム国家大学(Vietnam National University, Hanoi)の人文社会大学( Hanoi University of Social Sciences and Humanities 以下USSH)の学生10名の計17名が参加しました。
訪問の主な目的は、観光教育の導入に向けて、ベトナムの行政関係者と協議を行うことです。観光教育プログラムを従来の教育システムに導入する際、「誰が何を担当するのか」「プログラムの障害となる部分はどこか」「どのような協力体制で実施していくのか」などを、試験実施したプログラムの成果報告とともに協議しました。(私はほとんどメモをとることしかできませんでした。汗)このほかにも、ベトナム国家大学の学生さん達と一緒にバククイン村の観光資源調査と調査結果のアウトプットとしてPR動画の作成もしました(動画はTikTokへの投稿を想定して作成しました)。
これらの活動を通じて最も印象的だったのは以下の3つでした。
まず1つ目は、日本とベトナムにおける地方社会の違いです。日本と比較すると、ベトナムでは村レベルのコミュニティでも強い活気がありました。たとえば、村の中で消費するものを村の中で生産・加工したり、村の中の市場で販売したりしています。伝統の踊りや楽器を世代間で残すための取り組みも見受けられました。これらのコミュニティ内に存在する住民間の強いつながりは地域が自立して発展していくために欠かせないものだと思います。同じ観光開発でも、日本の地方都市とは全く違った性質の問題解決が課題となるのはとても印象深かったです。
次に印象的だった点は、USSH(ベトナム国家大学人文社会大学)の学生の優秀さです。USSHの学生は非常に高いリーダーシップとコミュニケーション能力を兼ね備えています。そのため目標の達成に向けて高いレベルでのチームワークを発揮することができます。彼らはネイティブレベルの英語力で自分の意見を主張することもできます。意見の中身も自分の属性や経験などを基盤としたものであり、独自性が高かったです。その一方で、私は彼らの話す言葉を聞くことに集中するので精一杯でした。自分の意見を十分に表現することもできませんでした。自分自身における当面の課題は、自分の専攻分野で十分な議論ができるだけの英語力を身に着けることだと強く思いました。
最後に最も印象的だった点は、JICA草の根技術協力の重要性です。一般的な国際協力と異なり、JICA草の根技術協力の「人を介した技術協力であること」「日本の市民の国際協力への理解・参加を促す機会となること」の二点は大きな特徴かと思います。今回の訪問では他の日本人学生と現地から国際協力事業に参加させていただき、現地の子供たちとふれあい、この二点を強く実感することができました。日本の国際関係上の観点のみならず、参加した学生達の価値観が大きく変わるという意味でもこのプロジェクトは非常に価値があると思います。他の日本人学生にもこのような活動が広く認知されると嬉しいと思いました。
まとめると、今回の現地訪問で最も印象的だったのは「地方社会の違い」「ベトナム人学生の優秀さ」「JICA草の根技術協力の重要性」の3つでした。私は2023年7月までUSSH留学生としてベトナムに滞在し続けます。今はプロジェクトの片隅で観察していることしかできませんが、今後は日本と全く違う社会制度の中で、自分はプロジェクトに対してどのように貢献できるのか模索し続けていきたいと思います。
最後に、ベトナムと比べて日本は経済的に豊かですが、解決されるべき問題は山のようにあります。これからも社会はどうあるべきなのか議論され続けなければならないと思います。私を含め日本の若者にはその議論がどれほどできるのか、疑問に感じました。
記事を最後まで読んでくださりありがとうございました。もしよろしければ、こちらもご覧ください。グループワークで作成した動画です(ナレーションはベトナム語です)。