〈〇〇って、ナニ?〉という問いを、徹底的に考える
橋爪大輝 人間福祉学部福祉コミュニティ学科 講師
哲学って、聞いたことありますか? あるある! と、答えが返ってきそうです。じゃあ、哲学ってなんですか、と聞いたら、どんな答えが返ってくるでしょう。
私は大学で哲学を教えたり研究したりしています。そんな私にとっても、この問いはじつは答えにくい問いです。哲学には本当にいろいろな形の哲学があります。だから、〈哲学って、ナニ?〉という疑問にひとことで答えるのは難しいのです。
でもこう考えていくとき、この問い自体がある意味で哲学的な問いだ、ということにだんだんと気づいてきます。なぜなら、哲学とはまさしく〈〇〇って、ナニ?〉と問うことだ、と言えるからです。
私が担当している授業に、「生と幸福」という授業があります。この授業の核にあるのは、〈幸福って、ナニ?〉という問いです。幸福にはいろいろな形があるけれど、私たちはそれを同じ〈幸福〉という名前で呼びます。ある人は仕事をすることが幸福かもしれない。べつの人は友人と過ごすことが、あるいは健康であることが……。
でも、私たちはどうして、それだけ多くの物事を〈幸福〉というひとつの名前で呼ぶのでしょう? それは、いろいろな幸福の形をつらぬく、幸福の〈本質〉があるからだ、といえます。じつはこの本質こそ、〈〇〇って、ナニ?〉という問いにたいする答えにもなるのです。
みなさんも大学生活のなかで、こんなふうに物事の本質を見つけようとする哲学の営みに、ちょっと加わってみませんか?