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「自粛警察」という現象をどのように解釈し生きるのか
川元 克秀 看護学部 教授
社会学的に思考するとは、ある「問い」にまつわり絡まった思考の『糸』を1つずつほぐし、紡ぎ直すような意識の過程です。なので私は高校生の皆さんに向け、2つ『問い』を投げ掛けようと思います。その第一として提示するのは、ヴァーツラフ・ハヴェルの「力なき者たちの力」に関連した視点です。
皆さんは日頃どれくらい、「私は自己の判断により生きている」と感覚しているでしょうか。ちょっと固い言い方に換えれば、皆さんは自己の日常について『構造(社会の装置性)』と『個性(行為の主体性)』のどちらが優位に働き、生活が形作られている、と認識しているのか。即ちこれは、「私たちには、世間の波と流れに乗って(仕組まれて)生きている側面がどれくらいあるのか」、という疑問の提起。
この点に関連しハヴェルは、「オートマティズム(自動運動化)」という観点を示しています。即ちこれは、人々の『自動運動化』した『習慣』が、社会の現状保全機能を強化しやすい、という指摘。
だからこそ、皆さんへの第二の『問い』は、コロナウィルス感染拡大時に世間で確認された「自粛警察」という現象を、どのように解釈し位置付けますか、という投げ掛け。看護学部で学ぼうとする皆さんは、自主的に「自粛警察」を始める人々の内に、どのような『動機』を見い出すのか。そしてその『動機』は、皆さんが医療者を目指す理由と、どこが異なっているはず、なのか。
社会が「スッキリ」している時、そこはもう、一つの『色』しか許さない世界になっているのかもしれない。だからこそ県立大では、あなたならではの『豊かな色』を、心から待っているのです。