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かき氷に救われた話

自分には、突然何かに駆り立てられるように、衝動を執行しないと気が済まない時がある。突然行き先も決めず、早朝に一人ドライブに出掛けてみたりだとか、落ち葉と自分を撮りたい!と思い立って一人で写真を撮ったりとか、福祉学科の、映画を見る授業で、ポップコーンとコーラを準備して映画館の雰囲気を演出してみたりとか。

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そんな衝動の執行の一つに、「学校でかき氷をしてみたいな」があった。

きっかけとしては、2021年の夏、学生自治会でかき氷機が部室にあるのをみたこと。どうやら、過去に縁日を学生自治会のイベントで実行したときに使ったものらしい。それから授業中に、どうしたらかき氷が学校でできるかな〜と、具体的アイデアを練った。

そのアイデアに基づき準備。氷やシロップや練乳を買ってきて、1回の試作を経て、学校の休み時間、教室の後ろでかき氷を作ることを達成した。

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こういうものって、アイデアの時はどんどん膨らんで、ワクワクして、めちゃくちゃ楽しいのだけど、実際にやってみると、コップの準備とか、教室を濡らさないためのタオルの準備だとか、結構面倒臭い部分があった。そんなこともあって、終わったときにはもう学校でかき氷をしたい熱は冷めていた。かき氷の衝動を終え、自分に残ったのは達成感ではなく、何かちょっとした虚しさと、シロップと練乳だった。

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時は流れ2021年秋、いつものように、B@SEという、南アルプス市の学習支援ボランティアに行ったときの出来事。そこに来ている子どもの学生から、「極激辛麻婆ペヤング」をもらった。自分は辛いものがどちらかというと苦手だった。でも、プレゼントされたものは何としても食べたい。ここでも衝動の執行が働き、「激辛ペヤング早食いチャレンジ」が始まった。

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激辛ペヤング早食いチャレンジ!

自分には、何かゲームっぽくしまえば、激辛とか、早食いとか、勢いでできるだろ!!みたいな思い込みがあった。

でもそれはやっぱり思い込みだった。

無理。

めちゃくちゃ辛い。熱い。

もう、辛いというか痛い。

唇は真っ赤に腫れ、舌はいくら水を飲んでもヒリヒリして、体からは汗が吹き出していた。

涙も出ていた。

本当に辛かった。

こんなん二度とやらない。絶対に。

何とか、根性と勢いで泣きながら完食した。残さなかったえらい。本当にえらい。記録は3分40秒だった。

ふぅ。

ところで、私には計画性がないという短所がある。辛さの痛みの後処理のことを特に考えていなかった。やばい。激辛ペヤングを食べ終えて初めて、痛みを緩和してくれるものを調べた。スマホにすがりついた。だが、ネット記事が教えてくれた、辛さを打ち消す乳製品や卵は、冷蔵庫の中になかった。

うちには牛乳もヨーグルトも卵もない。絶望して、悲しみに打ちひしがれ、涙を浮かべながら視線を冷蔵庫の奥にやると、そこにはあの、かき氷の練乳がいた。

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自分は、喜びと共に練乳を口に流し込んだ。腫れた唇と口内に、練乳の甘さが染み渡った。涙も拭き、冷静になってきた。過去の自分の衝動と、練乳への深い感謝を、しみじみと感じた。

この経験を通じて、人生、何か予想も予測もできない偶然で繋がっているのだなぁ。ということを改めて実感した。あの日のかき氷の衝動が、自分を救ってくれることなど、虚しさを感じた時の自分はまだ知らない。

スティーブ・ジョブズがつないだ点はこれだったんだなぁ。

好奇心、衝動、根源は何であれ、行動することは自分の点となり、未来の自分を救う伏線になる。

何か、無駄なことに思えても直感からくるものは何かに繋がっていて、人生を豊かに、面白くしていくものだと私は信じている。

そんな、多くの無駄が、余白が、歓迎される社会であることを、私は望んでいるし、山梨県立大学がそうあってほしいと、これからも行動をしていくのである。

文・写真:稗田竜也(人間福祉学部福祉コミュニティ学科3年・学生広報委員)