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シダネルとマルタンに見る光の美しさの対称

こんにちは!今回は、山梨県立美術館の特別展「シダネルとマルタン展~最後の印象派~」を紹介させていただきます。

フランスの2人の画家、『アンリ・ル・シダネル』と『アンリ・マルタン』の画風を比べて、2人の違いや絵に使われている技術を見つけてみましょう!

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シダネルさんの「エタプル、砂地の上」です。
お花が華やかさと女の子の真っ白いドレスの清純さが神秘的ですね。

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あ、ここに注目してみて下さい!

光に照らされたお花の色が、白いドレスに反射して色づいています。
実はこのドレス、真っ白な所が全然無いんですよ。
影の色、草地・花の色、太陽の持つ光の色…様々な色がドレスに反射されています。

ちょっと皆さん身の回りの白い物を確認してみましょう!
それって本当に「白」でしょうか?何だかクリーム色ぽかったりくすんだ色をしているんじゃないでしょうか。私達の眼球も本当は周りの風景が映り込んでいて白ではなかったり…!

このドレスは真っ白なドレスを表しているのに、実際には真っ白じゃないなんて面白いですね。

それにこの絵の草の影…青色です!

影というと灰色とか黒色が浮かびますが、実は青色は影に使うのにとても良い色なんですよ。
何故かというと、空の青色が影に反射して青みが出るからです。
豆知識があると様々な物が面白く見えてきます!

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マルタンさんの「ガブリエルと無花果の木」です。
シダネルさんの画風と比べると、一つ一つの大きな点で構成されていて大胆ですね。

それに何だかとても強い印象を絵から受けます。
特に夕日に照らされオレンジ色となった草地と青色の影、思わず目を惹きつけられてしまいますね。

実はここに「補色」が使われています!

補色というのは、ある色の反対の位置に存在する色の組み合わせの事を言います。
例えば赤と緑、黄色と紫、そしてオレンジと青も補色です。
お互いに反する色が並んでいると絵がとてもクッキリ見えるんですよ。
だから私たちはこの絵から強い印象を受けるんですね!

因みにこの絵のタイトルの「無花果」は「いちじく」と読みます。
花の無い果実と書きますが、実際には花がないわけではなく、花は果肉の中にあるため分かりにくいんです。

ここで豆知識。皆さんは食べ物を美味しそうに見せるようにはどうすれば良いかご存じですか?TVやSNSで見る食べ物ってとても魅力的に見えちゃいますよね!

答えは「ハイライト」を入れること。真っ白に近い色の強い光の事です。これがあると食べ物は瑞々しく見えます!是非皆さんも写真を撮る時や絵を描く時は光を意識してやってみて下さい。

二人の絵、比べてみると違いが分かりますね…!
シダネルさんは強い色を使わず、日常の中にある光の美しさを繊細に描いていますが、
マルタンさんは光により色鮮やかになった一瞬の美しさを大胆に描いているように見えます。
両者とも違う画風で違った良さがあります!


一見して「ほー…成程ね…。」と通り去ってしまいがちな絵画、
細部まで観察すると面白い事に気づけたりします。
良かったら皆さんも日常の何てない事にレンズを当てて観察してみてください♪

ご清覧ありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコリ

文・写真:依田香穂(山梨県立大学国際政策学部1年)

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