働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など・成長分野などでの人材育成の推進(令和3年版 厚生労働白書より)
本日は、「第2部 現下の政策課題への対応」の「第2章 働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など」、「第2節 人材確保対策の推進や労働生産性の向上等による労働環境の整備」、「5 成長分野などでの人材育成の推進」を紹介します。
以下、「令和3年版 厚生労働白書」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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第2章 働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など
第2節 人材確保対策の推進や労働生産性の向上等による労働環境の整備
5 成長分野などでの人材育成の推進
(1)成長分野・ものづくり分野での離職者訓練や在職者訓練の推進
離職者を対象としたハロートレーニング(公的職業訓練)として、①(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構と都道府県の運営する公共職業能力開発施設を実施主体として、主に雇用保険受給者を対象に職業に必要な知識や技能を習得させることによって再就職を容易にするための「公共職業訓練」のほか、②民間教育訓練機関を実施主体として、雇用保険を受給できない求職者の早期就職を支援するため、厚生労働大臣が認定する「求職者支援訓練」を実施している。介護、医療、情報通信など今後成長が見込まれる分野を中心
に、専修学校、大学・大学院、企業や特定非営利活動法人を含む民間教育訓練機関を積極的に活用し、多様な人材ニーズに応じた訓練機会を提供するとともに、公共職業能力開発施設では、主にものづくり分野における公共職業訓練を実施している。また、公共職業能力開発施設において、在職中の労働者を対象に、技術革新、産業構造の変化などに対応する高度な技能や知識を習得させるための在職者訓練を実施している。
2019(令和元)年度においては、離職者訓練については、公共職業訓練で約10.4万人、求職者支援訓練で約2.1万人に対して訓練を実施したところである(2020(令和2)年3月末時点)。2021年度は、公共職業訓練で約17.1万人、求職者支援訓練で約5.1万人が訓練を受講できるように措置している。
なお、2016(平成28)年11月に公的職業訓練の愛称・キャッチフレーズを公募により「ハロートレーニング ~急がば学べ~」に決定し、2017(平成27)年10月にハロートレーニングのロゴマークを決定した。決定した愛
称・キャッチフレーズ等の定着や、制度の更なる活用の促進に取り組むこととしている。
(2)ものづくり立国の推進
1 熟練技能者を活用した技能継承、技能尊重気運の醸成等
若者のものづくり離れ・技能離れが見られる中、業界団体等を活用した技能継承に取り組んできたところであるが、2013(平成25)年度から若年技能者人材育成支援等事業を創設し、若年技能者が技能を向上させる、あるいは、若者が進んで技能者を目指す環境の整備等に取り組んでいる。
若年技能者人材育成支援等事業においては、ものづくりに関して優れた技能・経験を有する「ものづくりマイスター」*16が企業、業界団体、教育訓練機関において、若年技能者への実技指導を行い、効果的な技能向上及び後継者の育成を行っている。
*16 「ものづくりマイスター」を紹介したホームページ
また、将来のIT人材育成に向けて、IT技術を活用した生産性向上等に関する知識・技能をもつ技能者である「テックマイスター」が中小企業等において、従業員等に生産性向上等に係る実技指導を行っているほか、情報技術関連の優れた技能をもつ技能者である「ITマスター」が学校等において、情報技術に関する興味を喚起する講習等を行っている。
さらに、技能者を活用した技能習得のための情報の提供等を行うとともに、地域における技能尊重気運の醸成を図るため、各種技能振興イベントの開催、優れた技能士が作成した商品等に表示するロゴマーク(グッドスキルマーク)の認定・普及及び地域で行われている技能振興に資する地域独自の取組みや制度を「地域発!いいもの」として選定し広く国民へ周知するなど、地域関係者の創意工夫による取組みを推進している。
なお、2020(令和2)年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、これらの多くの取組みが中止となったが、感染防止対策を徹底した上での実施や、リモートによる実技指導が行われた。
2 各種技能競技大会等の推進*17
*17 各種技能競技大会を紹介したホームページ
①若年者ものづくり競技大会
②技能五輪全国大会
③技能五輪国際大会
④技能グランプリ
技能者に技能向上の目標を与えることにより、効果的な技能習得意欲の向上、ものづくり分野の裾野の拡大や技能者の社会的評価の向上を図るとともに、若年者を始めとした国民各層に技能の素晴らしさ、重要性をより深く浸透させることにより技能尊重気運の醸成を図るため、以下の技能競技大会について、実施及び参加を行っている。
①若年者ものづくり競技大会
職業能力開発施設、工業高等学校等において技能を習得中の若年者(原則20歳以下)で、企業等に就職していない者を対象に、技能競技を通じ、これらの若年者に目標を付与し、技能を向上させることにより就業促進を図り、併せて若年技能者の裾野の拡大を図ることを目的として実施する大会である。
2005(平成17)年から実施しており、2008(平成20)年からは毎年開催している。
2020年は、広島県で第15回若年者ものづくり競技大会を全15職種の競技により開催する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、中止となった。
②技能五輪全国大会
国内の青年技能者(原則23歳以下)を対象に技能競技を通じ、青年技能者に努力目標を与えるとともに、技能に身近に触れる機会を提供するなど、広く国民一般に対して技能の重要性、必要性をアピールし、技能尊重気運の醸成を図ることを目的として実施する大会である。1963(昭和38)年から毎年実施している。
2020年11月に、愛知県の愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)を主会場として、第58回技能五輪全国大会を開催し、全40職種の競技に全国から944人の選手が参加した。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、無観客での開催となったが、開閉会式及び競技についてライブ配信を行った。
③技能五輪国際大会
青年技能者(原則22歳以下)対象に、技能競技を通じ、参加国・地域の職業訓練の振興及び技能水準の向上を図るとともに、国際交流と親善を目的として開催される大会である。1950(昭和25)年に第1回が開催され、1973(昭和48)年から原則2年に1回開催されており、我が国は1962(昭和37)年の第11回大会から参加している。
直近では、2019(令和元)年8月にロシア連邦・カザンで第45回技能五輪国際大会が開催された。日本選手は、42職種の競技に参加し、「情報ネットワーク施工」、「産業機械組立て」の2職種で金メダルを獲得したほか、銀メダル3個、銅メダル6個、敢闘賞17個の成績を収めた。金メダル獲得数の国・地域別順位は、第7位であった(第1位中国(16個)、第2位ロシア(14個)、第3位韓国(7個))。
次回は2021(令和3)年9月に中国・上海での開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により1年程度の延期が決定された。
④技能グランプリ
特に優れた技能を有する1級技能士等を対象に、技能競技を通じ、技能の一層の向上を図るとともに、その熟練した技能を広く国民に披露することにより、その地位の向上と技能の振興を図ることを目的として実施する大会である。1981(昭和56)年度から実施しており、2002(平成14)年度からは2年に1回開催している。
2021年2月に、愛知県の愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)を主会場として第31回技能グランプリを開催し、全28職種の競技に全国から344人の選手が参加した。なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、無観客での開催となったが、開閉会式及び競技についてライブ配信を行った。
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離職者に対して、再就職のための職業訓練の仕組みがあります。
「ものづくり」人材の不足を背景に、工業系の訓練が多い印象です。
工業系の訓練は、在職者向けにも設けられています。
工業系の技能競技大会は古くから開催されており、日本のものづくり技術の向上に役立っています。
今後はIT系などについてもこのような取り組みが広がるといいですね。