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東北地方で初となる RFID やIoT 技術の体験型ラボラトリーを展開し、地域企業のデジタル化推進に取り組む企業(中小企業白書2021年度版より)
本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第2章 事業継続力と競争力を高めるデジタル化」の続きです。
「第4節 中小企業におけるデジタル化に向けた組織改革」より、今回は「東北地方で初となる RFID やIoT 技術の体験型ラボラトリーを展開し、地域企業のデジタル化推進に取り組む企業」の事例について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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東北地方で初となる RFID やIoT 技術の体験型ラボラトリーを展開し、地域企業のデジタル化推進に取り組む企業
所在地:宮城県仙台市
従業員数:209名
資本金:9,880万円
事業内容:情報サービス業
株式会社東北システムズ・サポート
東日本大震災をきっかけに、自社の経験を地元に還元したい
宮城県仙台市の株式会社東北システムズ・サポートは、ソフトウェアの受託開発や無線機器を使用したシステム導入のコンサルティング・販売を行う独立系の情報処理サービス企業である。1976年から大手企業の基幹システムの開発を手掛けたのを皮切りに、徐々に事業領域を拡大。我が国で早くからRFID(非接触ICタグ)技術の製品ソリューションを手掛け、2010年にはOEM生産により自社製品のRFID端末が完成し、低価格帯の製品を市場に投入。RFID導入のハードルを下げることに成功した。以降、ハードとソフト両方を開発・提案できる強みをいかし、大手メーカーの製造現場や倉庫の在庫、物品管理などのデジタル化を推進。同社は経済産業省「地域未来牽引企業」にも選定された。「2011年の震災がきっかけとなり、地元中小企業とのつながりの弱さに気付いた。自社の培ったノウハウを東北に還元したかった。」と同社の伊藤隆充社長は振り返る。
伊藤社長は顧客への提案を通じて得た成功体験や、陥りがちな失敗事例のフィードバックを地元の顧客に直接伝えて、各社に合ったデジタル化の提案をしたいと考えた。
しかし、従来の営業手法では顧客を増やすことに限界があった。
北東北の玄関口である盛岡市に体験型ラボを開設
そこで、同社は2015年に東北地域における事業拡大を目指し、最新情報を発信する体験型ラボ「RFID / IoT Mobile Solution Lab.」を岩手県盛岡市に開設した。
同社の技術と最新機器に触れることのできる情報発信拠点として、RFIDやNFC(近距離無線通信)、モバイル製品など常時50点以上を展示。単なる製品紹介だけでなく、RFIDの基本機能の活用方法から最新のセンシング技術まで紹介し、導入効果を実感してもらうためのデモンストレーションに力を入れた。体験型ラボは予約制で、顧客から訪問してもらうことで営業担当者の移動負担を軽減。その分、顧客が抱える業務効率化などの課題やデジタル化に対する潜在的なニーズについて時間を掛けてじっくり確認できるようになった。顧客側も実際に製品に触れることで、同社の提案やデジタル化に対する知識を深めることにつながり、初動の段階でミスマッチが起こらぬよう、課題解決に向けた理解を深めることが可能となった。その後、地道な営業と宣伝活動を続けたことで次第に地域の中小企業にも認知され、問合せが増加。特にRFID関連は「簡単かつスピーディーに備品を管理できる」などと好評で、従来接点がなかった地域の医療施設などからも相談があり、新規案件の受託にもつながった。こうした取組が評判を呼び、2019年度の問合せは毎週20件以上、毎月20~30社がラボに足を運んだ。1回2時間ほどの商談で、迅速なソリューション提案を行えるようになり、営業活動の効率化にもつながっている。
ラボからのリモートセールスが感染症流行下での営業の武器に
2020年度は感染症の影響もあり、ラボへの来場者は減ったが、他社との差別化を図る機会と捉え、ラボから発信したオンラインセミナーが好調であった。製品のデモと商談をオンライン会議システムで実施し、十数件の契約が成立したことで、ラボを活用したリモートセールスという営業の新手法の手応えをつかんだ。「感染症の影響が続いたとしても、リモートセールスに注力することで売上げは十分に巻き返せる。今後も東北の企業が抱える経営課題をRFIDで解決していきたい。」と佐々木正己取締役は語る。
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RFID やIoT 技術によって、地域企業のデジタル化推進に取り組んでいる東北地方の企業の事例です。
まさしく「地域未来牽引企業」にふさわしいビジネスモデルです。
伍魚福も2018年に「地域未来牽引企業」に選定いただきました。
我々も中期経営計画において「日本の食品業界の良いスパイラルの起点となる」ことを目指しています。
伍魚福との取り組みをきっかけに、全国の協力工場、原材料の生産者など、関わる全ての事業者において良いスパイラルが回るようにしたい。そういう思いで仕事に取り組んでいます。
RFIDやIoTなど、デジタル化、DXにチャレンジし、良いやり方を関係する企業に広めていくような流れも考えたいです。
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