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新型コロナウイルス感染症で特に大きな影響を受けた人々・活動への対応 医療・福祉現場への影響② (令和3年版 厚生労働白書より)

本日は、「第1部 新型コロナウイルス感染症と社会保障」の「第1章 新型コロナウイルス感染症が国民生活に与えた影響と対応」、「第2節 特に大きな影響を受けた人々・活動への対応」より「5 医療・福祉現場への影響」の続きを紹介します。
以下、「令和3年版 厚生労働白書」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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5 医療・福祉現場への影響
(2)介護サービスの利用状況や介護サービス事業所の経営への影響
(介護サービスは特に通所系の事業所で一時的に大きな影響が見られた)

続いて、新型コロナウイルス感染症が介護サービスの利用や介護サービス事業所の経営に与えた影響について見てみたい。
介護保険サービス(居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス)の1事業所当たり利用者数で見ると、感染拡大とともに前年同月比で見た利用者数の減少幅が徐々に拡大し、2020(令和2)年5月には1.7%減となった。その後徐々に回復し、8月には0.6%増となった。
サービス種類別に見ると、居宅から事業所に出向いて利用するサービスにおいて影響が大きくなっており、1事業所当たり利用者数の落ち込みが最も大きくなった5月で見ると、通所介護が10.9%減、通所リハビリテーションが13.9%減、短期入所生活介護が20.0%減と大きく落ち込んでいる(図表1-2-5-11)。

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介護サービス事業所の1事業所当たり保険給付額の動向を見ると、利用者数が最も落ち込んだ5月の伸び率が最も低く、1.0%の増加にとどまっている。サービス種類別に見ると、5月時点の利用者数の落ち込みの大きかった通所介護が8.4%減、通所リハビリテーションが15.4%減、短期入所生活介護が2.6%減と、特に通所系の事業所で一時期大きな影響が生じたことがわかる。
通所介護事業所を対象に2020年7月末時点で行われた調査によれば、休業を行った事業所は7.3%、サービス利用人数の制限を行った事業所は8.1%と、こうした利用者数減少の要因の一部に供給側の事情も認められるが、大多数の事業者が厳しい環境下でもサービスを継続しており、利用者数の減少の要因としては、利用控えの影響が大きかったことがわかる*31。
*31 令和2年度老人保健健康増進等事業「通所介護における人材活用等の実態把握に関する調査研究事業」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)の調査によれば、感染拡大期において、通所に代えて訪問によるサービス(機能訓練、健康状態の確認等)を行った事業所は8.4%、電話等による安否確認を行った事業所は37.2%など、要介護者や介護者の支援のため、様々な取組みが行われている。一方、自主的に通所介護の利用を控えた利用者がいた事業所は81.7%に上っている。

また、2020年10月に民間シンクタンクが介護サービス事業所に対して行った経営への影響に関するアンケート調査(令和2年度老人保健健康増進等事業)の結果を見ると、衛生用品(マスク、消毒液等)の経費が増加したことなどから、新型コロナウイルス感染症の流行前と比較して支出が「増えている」とした事業所は、5月、10月とも5割強となっている。
以上のような利用者の減少、感染拡大防止のために要する経費の増加等により、介護サービス事業所の全体的な収支に関し、同アンケート調査で「悪くなった」と回答した事業所の割合が、5月で47.5%、10月で32.7%となっている。サービス別に見ると、「悪くなった」と回答した事業所は、通所系サービスで高い傾向にあり、5月では、通所介護で72.6%、通所リハビリテーションで80.9%などとなっている(図表1-2-5-12)。

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(新型コロナウイルス感染症対応として、介護報酬の特例等により、サービス提供継続を支援)
介護サービス事業所・施設が提供するサービスは、利用者やその家族の生活に欠かせないものであり、新型コロナウイルス感染症流行下でも感染拡大防止の徹底を図りつつ、継続的な提供を図っていくことが重要である。このため、介護報酬に関する特例、補正予算の活用、感染症対応力の向上に資する取組みを行うことにより、サービス提供継続の支援を行った。
具体的には、介護報酬に関する取扱いについては、一時的に人員や運営の基準を満たすことができない場合でも介護報酬を減額しないことを可能とし、また、通所系サービスにつき、利用者の希望に応じてサービス提供時間を短縮した場合や、居宅を訪問しできる限りのサービスを提供した場合であっても介護報酬の算定を可能とした。このほか、通所系サービスは、在宅で日々生活している利用者を日替わりで受け入れるものであること等から、より感染症対策を徹底してサービス提供を行う必要があり、「3密」の回避のための取組みや、施設や送迎車の設備の消毒等のため、通常生じない手間が発生していることを踏まえ、感染症対策に要する時間を介護報酬上評価する取扱いを可能とした。
2020年度補正予算の活用については、第1次補正予算及び第2次補正予算(新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金)を活用し、感染者等が発生した場合のサービス継続支援、感染症対策を徹底した上での介護サービス提供及び介護サービス事業者によるサービス利用再開に向けた支援に係る経費の補助を実施した(図表1-2-5-13)。

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感染症対応力の向上については、その底上げのため、「介護現場における感染対策の手引き」の作成や、感染症の専門家が実際に施設等を訪問し、実地で研修を行う等の取組みを行った。さらに、2021(令和3)年度の介護報酬改定では、全体の改定率が+0.70%となった中で、新型コロナウイルス感染症対応のため、かかり増しの経費が必要となることなどを考慮し、2021年9月末までの半年間は、前述の改定率のうち0.05%相当分で基本報酬を0.1%上乗せすることとした。このほか、通所系サービスの基本報酬について、
新型コロナウイルス感染症の影響により利用者が減少した場合でも状況に即した安定的なサービスが提供できるよう、事業所規模別の報酬区分の決定に係る特例*32や、前年度の平均利用延べ利用者数から5%以上利用者数が減少している場合の基本報酬への3%加算を設けることとした。
*32 事業所規模別の報酬区分の決定にあたって、より小さい規模区分がある大規模型について、前年度の平均延べ利用者数ではなく、感染症や災害の影響により延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎とすることができることとする。

(障害福祉サービス事業所でも、短期入所等で影響。報酬等で柔軟な取扱いが認められた)
障害福祉サービスでも、感染が拡大した2020年4月~5月にかけて利用者数の落ち込みが見られた。サービス種類別に見ると、1事業所当たりの短期入所の利用者数の減少が3割を超える水準となった。1事業所当たりの給付費で見ると、全体で感染が拡大した5月に0.2%の減となったが、6月以降はプラスに転じている。サービス種類別では短期入所で減少幅が大きい(図表1-2-5-14)。

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新型コロナ感染拡大により、障害福祉サービスにおいても、介護保険のサービスと同様に柔軟な取扱いを可能とすることとされた。例えば、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に人員や運営の基準を満たすことができない場合にも報酬の減額を行わないことや、休業等により、やむを得ず利用者の居宅等においてできる限りの支援を行ったと市町村が認める場合には、通常提供しているサービスと同等のサービスを提供しているものとして、報酬の対象とすることなどの特例が設けられた。
また、2021年度の報酬改定では、全体の改定率は+0.56%となった中で、介護保険のサービスと同様、2021年9月末までの半年間は、前述の改定率のうち0.05%相当分を活用し、基本報酬を0.1%上乗せすることとした。
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コロナ禍で、介護サービス事業者の経営にも影響を与えました。
事業所に利用者が通う「通所型」で2020年5月には1割減となっています。
入浴やリハビリなど控えることが難しいサービスであるため、利用者の戻り方は医療系と比べると早い印象があります。
ただし、コロナ対策経費がかさみ、経営的にはマイナスになっている事業者が多いため、いろいろな補助金等の施策が実施されています。
介護事業への従事者の賃金の問題もクローズアップされています。今後も高齢者は増えていきます。良いスパイラルが回せるように、仕組みの調整が必要となりそうです。

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