外国人労働者に対する寄り添い支援(東京都豊島区)(令和3年版 厚生労働白書より)
本日は、「第1部 新型コロナウイルス感染症と社会保障」の「第1章 新型コロナウイルス感染症が国民生活に与えた影響と対応」、「第2節 特に大きな影響を受けた人々・活動への対応」よりコラム「外国人労働者に対する寄り添い支援(東京都豊島区)」を紹介します。
以下、「令和3年版 厚生労働白書」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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外国人労働者に対する寄り添い支援(東京都豊島区)
きめの細かい一体的な寄り添い支援体制の構築
東京都豊島区は、2015(平成27)年4月の生活困窮者自立支援法施行とほぼ同時に福祉関連部署を一箇所に集約配置し、生活に困窮している相談者にワンストップで対応できる体制を構築したことで、より多くの相談者が気軽に窓口を訪れるようになった。
豊島区では、相談者一人一人の状況を詳しく分析し、本人がどのような支援を望んでいるかを親身に聞き取り、ハローワークや民間派遣会社、NPO法人と連携しつつ、住宅・就労先の確保、家計改善や借金相談、就労に向けた準備(就労体験の場の提供、病院同行・栄養指導)など多角的な支援を一体的に継続して行っている。
新型コロナ感染拡大の影響によって、相談窓口には失業等で生活苦に陥った外国人相談者が急増*1したが、このきめの細かい一体的な寄り添い支援体制は外国人労働者への支援にも生かされている。
*1 豊島区相談窓口における2020年(令和元)年4月~11月の外国人相談件数は19件、2021(令和2)年同期はおよそ400件であった。
次にその一例を紹介する。
新型コロナ感染拡大のもとでの外国人労働者への支援の事例
インドネシア人の女性が、新型コロナ感染拡大の影響で就労先を解雇されたとして相談窓口を訪れた。所持金もほぼなく、すぐに家賃が支払えなくなり生活が立ち行かなくなる状況であったため、まず住居確保給付金を、その後に総合支援資金貸付を申請する手続きを行った。
また、家計チェックを行ったところ、計算が不得手で常に家計収支がマイナスになる状況で借金もあったため、収支バランスを確認して支出の見直しを行ったところ、ひと月およそ2割の支出を削減することができた。借金は弁護士相談へ同行し任意整理の手続きを進めた。
就労支援においては、日本語の読み書きがほぼできないことから履歴書の添削や面接対策を実施した。また、面接先の企業と就労条件の交渉(所持金がほぼなく緊急度が高いことから給与支給を日払いとする、体調不安により長時間の就労はできないことから時短シフトにするなど)を行った結果、再就労先を確保できた。
以上のように複数の支援を一体的に実施し、本人の不得手としている分野についても改善を行ったところ、生活再建に至った。
タブレット等を介した通訳を開始、一層のきめの細かい一体的な寄り添い支援を実現
豊島区では新型コロナ感染拡大による相談窓口への外国人相談者の急増を契機に、タブレットやスマートフォンを介した通訳を開始*2した。
*2 タブレットおよびスマートフォンを介した通訳は、15カ国語(英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、フィリピン語、タイ語、ネパール語、ヒンディー語、ベトナム語、クメール語、フランス語、ロシア語、インドネシア語、ミャンマー語)に対応している。
相談に訪れた外国人は、相談窓口で用意したタブレット等を介して母国語で通訳者と話すことにより、どのようなことで困っていて、どのような支援を望んでいるかをより詳しく相談できるようになった。
このように一層のきめの細かい一体的な寄り添い支援体制を実現しており、利用者からは満足のいく相談ができたなどの声が寄せられている。
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地方自治体の福祉窓口による外国人労働者への支援事例です。
きめ細かな寄り添い支援がなされていることに驚かされます。
働こうという意思がある人には、きちんと支援をして、働けるようにすることが日本の社会を良くすることにつながります。
日本人であるかどうかは関係なく、気軽に相談できて、自立することができるようなサポートが広がるといいですね。