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労働者にとって働きやすい職場とは(令和元年版「労働経済の分析」より)
昨日まで、ワーク・エンゲージメントについての説明をしてきましたが、本日からは、その前段である、「働きやすさ」について紹介します。
「働きやすさ」は「ワーク・ライフ・バランス」(伍魚福では、ライフ・ワーク・バランス)の観点で、女性の働きやすさ、という視点でとらえられることが多かったようです。
伍魚福でもこの数年ライフ・ワーク・バランスの向上に取り組み、兵庫県では表彰をいただくことができました。
令和元年版労働経済の分析・第2章第1節からスタートします。
以下、特記するものを除き、令和元年版労働経済の分析からの引用またはキャプチャーです。
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●正社員では、働きやすいと感じている方が、働きにくいと感じている方よりも多く、特に65歳以上で多い
女性や高齢者を中心に労働市場への参加が進み、労働者の就業意識は多様化している、労働者自身は「働きやすさ」をどのように捉えているのだろうか。ここでは、(独)労働政策研究・研修機構が2019年に行った「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査」の正社員調査票の集計結果を元に考察していく。
まず、正社員が働きやすさに対して満足感をどの程度感じているのかをみていく。
第2-(2)-1図により、男女別・年齢階級別に働きやすさに対する認識をみると、男女ともにいずれの年齢階級においても、働きやすさに対して満足感を「いつも感じる」又は「よく感じる」者(以下、「働きやすいと感じている者」という。)が「全く感じない」又は「めったに感じない」者(以下、「働きにくいと感じている者」という。)を上回っており、働きやすいと感じている者の方が多いことが分かる。働きやすいと感じている者の構成比をみると、男性は「35~44歳」「45~54歳」「55~64歳」、女性は「45~54歳」「55~64歳」において働きやすいと感じている者が他の年齢階級に比べて少ない一方で、男女ともに「65歳以上」において働きやすいと感じている者が多くなっている。
●労働者は、働きやすさの向上のために重要な雇用管理として、職場の人間関係の円滑化、有給休暇の取得促進、労働時間の短縮、働き方の柔軟化などの取組を重視
次に、正社員が働きやすさの向上のために重要と考えている企業側の雇用管理についてみていく。
第2-(2)-2図により、男女別・年齢階級別に働きやすさの向上のために重要と考える企業による雇用管理をみると、男女ともにいずれの年齢階級においても「職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化」が最も多く、次いで「有給休暇の取得促進」、「労働時間の短縮や働き方の柔軟化」が高くなっている。
また、「15~34歳」「35~44歳」の女性は、「仕事と育児との両立支援」も重要と考えている。この傾向は、女性ほどではないものの、「15~34歳」「35~44歳」の男性においてもみられる。年齢が上がると、「仕事と介護の両立支援」「仕事と病気治療との両立支援」なども重要と考える者が多くなっている。
次に第2-(2)-1図でみたように男性の「35~44歳」「45~54歳」「55~64歳」と女性の「45~54歳」「55~64歳」において、働きやすいと感じている者の割合が他の年齢階級よりも低くなっている要因を考察するため、働く人が働きやすさの向上のために重要と考える企業側の雇用管理について、働きやすいと感じている者と働きにくいと感じている者との違いをみていく。
第2-(2)-3図は、働く人が働きやすさの向上のために重要だと考えている企業側の雇用管理について、働きやすいと感じている者と働きにくいと感じている者の差分を示しているものである。
差分がマイナスになりグラフが下に伸びているものは、働きにくいと感じている者がより重視している取組であり、差分のマイナス幅が大きいほど、働きにくいと感じている者の不満が大きいといえる。同図によると、働きにくいと感じている者の方が重視している取組として、35~64歳の男性及び45~64歳の女性に共通しているものとしては、「人事評価に関する公正性・納得性の向上」があり、人事評価に対する公平性・納得性への不満感が働きにくさを感じさせる一つとなっていると考えられる。その他の働きにくいと感じている者がより重視している取組について、性別・年齢別にみると、35~54歳の男性については、「長時間労働対策やメンタルヘルス対策」、45~64歳の男性では「従業員間の不合理な待遇格差の解消(男女間、正規・非正規間)」「経営戦略情報、部門・職場での目標の共有化、浸透促進」、45~54歳の女性では「いわゆる正社員と限定正社員との間での相互転換の柔軟化」、55~64歳の女性では「副業・兼業の推進」「仕事の介護との両立支援」等となっており、これらの取組の不十分さが、多くの人に働きにくさを感じさせる要因となっているものと考えられる。なお、45~64歳の男性で、従業員間の待遇格差や企業内の経営戦略や部門別目標の社内共有の不徹底が、働きにくさを感じる要因となっている背景としては、勤務年数を経て職場での責任が高まるのに伴い、職場全体の職場環境への関心が高まっていること推察される。
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働きやすさの向上のために重要だと回答した方が多い項目を順にあげると、
「職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化」
「有給休暇の取得促進」
「労働時間の短縮や働き方の柔軟化」
「本人の希望を踏まえた配属、配置転換」
「仕事と育児との両立支援」
となっています。
女性への問いかけでは、「仕事と育児の両立支援」が4番目ぐらいに位置していますが、概ね男女共通となっています。
現在、世間で言われている、ワークライフバランス向上のための取り組みとほぼ共通と言えますね。
配属や配置転換については、本人の希望だけでは決められないところがありますので、どのようなキャリア展望の中での配置なのかをきちんと説明するしかありませんね。
働きにくい、と認識している方がより重視している取り組みが、次のとおりです。
「人事評価に関する公正性・納得性の向上」
「長時間労働対策やメンタルヘルス対策」
「従業員間の不合理な待遇格差の解消(男女間、正規・非正規間)」
「経営戦略情報、部門・職場での目標の共有化、浸透促進」
「いわゆる正社員と限定正社員との間での相互転換の柔軟化」
「副業・兼業の推進」
「仕事の介護との両立支援」
年代や性別によっても異なりますが、このような点を重視されていることを我々も認識しておかねばなりません。
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