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中小企業の投資の動向(中小企業白書2021年度版より)

本日も、「第1部 令和2年度(2020 年度)の中小企業の動向」の続きです。
中小企業の投資の動向について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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3.設備投資・ソフトウェア投資・研究開発投資・能力開発投資
次に、中小企業の投資の動向について見ていく。

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まず、中小企業の設備投資は、2016 年以降はほぼ横ばいで推移してきたが、2020 年に入ると減少傾向で推移している(第 1-1-19 図)。

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また、中小企業の設備投資実施割合の推移を確認すると、リーマン・ショック以降、緩やかに上昇傾向で推移してきたが、足元では低下から横ばい傾向で推移している(第 1-1-20 図)。

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また、この設備投資実施割合を業種別に見ると、製造業において割合が相対的に大きく低下していることが分かる(第 1-1-21 図)。

続いて、設備の過不足感について生産・営業用設備判断 DI の推移を確認する。

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全体的に、2009 年をピークに設備の過剰感が徐々に解消され、非製造業では 2013 年半ば、製造業では 2017 年前半に生産・営業用設備判断 DI はマイナスに転じた。その後、製造業は 2018 年後半から不足感が弱まる傾向で推移していたが、2020 年に入ると急速に過剰感が強まった。この過剰感が第 1-1-21 図で見た製造業の設備投資実施割合の低下につながっていると考えられる。足元では、製造業の設備の過剰感は弱まる傾向で推移している。また、非製造業においても 2020 年は設備の不足感が弱まっている(第 1-1-22 図)。

第 1-1-23 図は、中小企業の設備投資計画(注)について見たものである。
(注)中小企業では、年度計画を事前に策定していない企業が多く、案件が実際に実施されるごとに、設備投資額に計上される傾向があるため、3月調査から実績調査(翌年6月調査)まで、ほぼ一貫して上方修正されるパターンとなっている。画像5

2020 年度の設備投資計画は、例年よりも低い水準で推移しており、第 1-1-22 図で見た設備の過剰感や感染症による先行きの見通しづらさなどにより、中小企業が設備投資に対して慎重姿勢を取っていることが見て取れる。

次に、IT 関連指標としてソフトウェア投資の推移について確認する。

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中小企業のソフトウェア投資は、長期にわたって横ばい傾向で推移してきた。2020 年に入っても、この傾向は変わらず、中小企業のソフトウェア投資は横ばいで推移した(第 1-1-24図)。

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また、中小企業のソフトウェア投資比率について見ると、設備投資が減少傾向となった一方で、ソフトウェア投資は横ばいを維持したため、足元で上昇傾向に転じている(第 1-1-25 図)。

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続いて、中小企業のソフトウェア投資計画を見ると、2020 年度の実績見込みは前年度をやや下回る水準となっている(第 1-1-26 図)。設備投資は前年度比 10%以上の減少が見込まれる一方で、ソフトウェア投資は前年度比約4%の減少にとどまる見込みであり、感染症流行を契機としてソフトウェア投資の重要性は高まっていることがうかがえる。

次に、新たな付加価値を生み出すための研究開発活動について見ていく。
第 1-1-27図は、売上高に占める研究開発費の割合の推移である。

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これを見ると、中小企業の売上高に占める研究開発費の割合は、業種にかかわらず、ほぼ横ばいで推移しており、同業種の大企業に比べて低水準にあることが分かる。

また、研究開発を実施している中小企業の割合を示したのが第 1-1-28 図である。

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これを見ると、業種によって実施割合の水準は異なるものの、従業者規模が大きくなるほど実施割合が高い傾向にあることが見て取れる。研究開発を行うためには、十分な設備・人材・資金などの経営資源が必要であり、企業規模の小さな企業にとって、研究開発に取り組むことは必ずしも容易でないことが示唆される。

企業が新たな付加価値を生み出すための投資については、設備やソフトウェアへの投資や研究開発などに加えて、知的財産やブランド、人的資本など無形資産への投資の重要性が指摘されている。ここではそのうち人的資本への投資について現状を確認する。
第 1-1-29 図は、能力開発を実施した企業の割合の推移である。

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中小企業における能力開発を実施した企業の割合は、製造業、非製造業共に上昇傾向で推移している。

続いて、能力開発を実施している中小企業の割合を業種別・従業者規模別に示したものが第 1-1-30 図である。

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研究開発投資と同様に、従業者規模が大きくなるにつれて実施割合が高くなる傾向が見て取れる。また、業種ごとに水準は異なるものの、研究開発投資と比べて業種の偏りが少なく、様々な業種で能力開発投資が実施されていることが分かる。

事業活動において資金の使途は様々であり、自社の経営戦略に応じて資金を投じることになる。ここからは、(株)帝国データバンクが「令和2年度取引条件改善に向けた施策のあり方に関する研究分析等事業」において実施したアンケート(以下、「取引条件改善状況調査」という。)(注)の結果から、中小企業における資金の使途を確認する。
(注)(株)帝国データバンク「取引条件改善状況調査」
(株)帝国データバンクが 2020 年9月に、全国 66,600 社(うち発注側事業者 6,400 社、受注側事業者 60,200 社)の企業を対象にアンケート調査を実施(有効回答 26,737 件(うち発注側事業者 2,467 件、受注側事業者 24,270 件)、回収率 40.1%(うち発注側事業者 38.5%、受注側事業者 40.3%))。

第 1-1-31 図は、今後3年間で最も資金を投じたい分野について業種別(注)に確認したものである。
(注)業種別の分析に当たっては、アンケート調査において事業者が選択した業種を以下のようにグルーピングして分析を実施している。
・「製造業」:食料品製造業、繊維産業、紙・紙加工品産業、印刷業、石油・化学産業、鉄鋼産業、素形材産業、建設機械産業、産業機械産業、工作機械産業、半導体・半導体製造装置産業、電機・情報通信機器産業、自動車産業、その他製造業
・「サービス業」:放送コンテンツ産業、アニメーション制作業、情報サービス産業、トラック運送業・倉庫業、広告産業、技術サービス産業、警備業、その他サービス業
・「その他」:建設業、卸売業、小売業、金融業、その他

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これを見ると、いずれの業種においても「国内の設備・施設等への投資の増加」の割合が最も高い。
また、サービス業では「従業員の賃金の引き上げ」や「新規雇用の拡大」といった雇用に対して資金を最も投じたい企業の割合が、相対的に高いことが見て取れる。

第 1-1-32 図は、今後3年間で各分野に資金を投じるために必要な利益や余剰金の確保状況について、業種別・従業員規模別に確認したものである。

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これを見ると、いずれの業種においても「確保できていない」と回答する企業の割合は、従業員規模が小さいほど高い傾向にある。

この利益や余剰金の確保状況別に、今後3年間で最も資金を投じたい分野を見たものが第 1-1-33 図である。

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これを見ると、「十分に確保できている」、「ある程度確保できている」と回答した企業では、「国内の設備・施設等への投資の増加」、「国内の研究開発投資の増加」、「新規雇用の拡大」といった、成長に向けた投資を実施したいと考えている企業の割合が相対的に高い。
これに対して、「確保できていない」と回答した企業では、「現預金の増加」、「有利子負債の削減」といった回答の割合が高く、成長に向けた投資が難しい状況にあることが見て取れる。
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設備投資・ソフトウェア投資・研究開発投資・能力開発投資それぞれの動向です。
設備投資:横ばいから低下傾向
ソフトウェア投資:横ばいだが、相対的には重要度高まっている
研究開発投資:横ばいかつ低水準
能力開発投資:上昇傾向

新型コロナウイルスの蔓延で、先行き不透明なのを受けて、ソフトウェア投資や能力開発投資が相対的にウエイトが高くなっているようです。
伍魚福はファブレスメーカーですので、自然とシステム投資や能力開発投資に注力していく傾向にあります。
これにより生産性を高め、さらに投資する力を蓄える、よいスパイラルが回せるよう、努力を続けていきたいと考えています。

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山中勧/伍魚福社長
最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan