フィリピン開発組織を成長させるための取り組み
もう少し早く何か書こうかと思っていましたが、年が明けてしばらく経ってしまいました。
YNSは今は日本法人も採用強化を行い徐々に人が増え、オフショア開発でありつつもDXサポートや新規事業立ち上げ支援といったコンサルティング的なことや、小規模ながらもSIer的なことも出来るようになってきました。
これはフィリピン組織の成長無くしては成しえないことだったと思いますが、まだまだ道半ばとは言えここまで来るのも大変でした。
年明けの良い機会ですので、ちょっとだけ振り返りつつどんなことをしてきたか記載してみます。
フィリピン法人設立は2014年11月。
立ち上げ時、フィリピン人は新卒のエンジニア1名(今でも在籍してくれているG)でした。その後、フィリピン法人の登記をお願いしていたところに採用のサポートをしてもらい、フィリピンではAdminと呼ばれる総務事務担当を採用。その総務担当と求人サイト向けの求人を作って数名のエンジニアを採用。
GはIT系大学院で一番成績が良かったそうで、はじめはそこまで手がかからなかった印象でした。勤怠も良いし報連相も出来る。
フィリピンでビジネスをするのは大変だと散々周りから言われていましたが、はじめの半年くらいの印象は「思ったより楽」だった気がします。(フィリピン人のマネジメントに関して)
しかし、その後入社した人たちが皆そうかというと当然そうではありませんでした。能力的な課題や勤怠やカルチャーギャップ。
勤怠について
勤怠では、日本人を標準とすると本当に簡単に休みます。朝起きてちょっと気分が悪いと「not feeling well(気分が悪い)」といって休むと言っています。これは多くのスタッフが渋滞の凄いマニラに時間をかけて通っているため、通勤が憂鬱なのではないかと思っていたのですが、コロナ禍になってフルリモートに移行した今でも、若干は改善している気もしますが相変わらずよくあります。
勤怠の問題というのかこれもカルチャーギャップというのか分かりませんが、日本人は本当に真面目だと思います。
気分が悪いという理由以外にも、「家族が田舎から出てくるから」とかそういう理由で休むことも多いです。そうです。家族は重要です。でも、日本でこういった理由で休む人はほぼいませんが、フィリピンでは普通です。仕事 < 家族が常識。
ただ、日本だとなかなか通用しない「仕事 < 家族」 ですが、日本を出るとこれが当たり前だと思うようになりました。
勤怠は90%の稼働率で考えておくのが無難です。工場とかの作業員の場合は80%で計画すると言われている方もいました。
YNSの場合、ほとんどがIT系の4大卒なので、恐らく学歴が高くないであろう工場のスタッフと比べると真面目なのでしょう。
それでも、日本人の真面目さとは比べるまでもありません。
勤怠改善施策として、効果が出ているとは言い切れませんが行っているものはPerfect Attendanceです。
フィリピンの給与は基本が月2回で、その2回の期間中に無遅刻無欠勤だったスタッフに手当を出すというものです。
オフィスがあった時は、Perfect Attendance支給対象者に対し、全員の前で呼んで表彰しつつ原因を手渡しするという事をしていました。手当も上げつつ、褒めてモチベーションを上げることを意図して、です。
あとは、勤怠をデータから評価にきちんを反映するということを伝える事ですね。
質の認識の違い
フィリピンでは、エレベーターに乗っているとガタガタして不安な状況などがよくあります。
これを近くにいるメンテナンススタッフにいっても「問題ない」と言われました。フィリピンだと、問題が発生しないうちは「問題ない」ということなんです。日本だと、問題が発生しないようにメンテナンスをするものですが、上記が違うのでしょう。
ITエンジニアでも、そんなフィリピンで生活している人たちなので、ベースとなる質の認識が違ってしまいます。
使い勝手悪くても動けばいいとか、メンテナンス性なんて気にしないとか、はじめはそんな感じだった気がします。
2017年から開発体制を変えて、テスト専門のスタッフを採用し育成をはじめました。開発者には今まで通りに開発してもらい、開発チームに1人はQAというテスト専用メンバーを加え、動くか動かないかはもちろんのこと、見た目やセキュリティなども含めテストを行うようにしました。
これも初めの1~2年は思ったように機能しなかったように思いますが、もう5年も経過し全体の質の底上げが出来てきていると思います。去年12月のクリスマスパーティーでは、QAメンバーとしてはじめて採用したMimiが在籍5年のスピーチをしてくれていたのを思い出しました。
まだいくつもあるのですが、だいぶ長くなってきましたので、続きは次の記事で記載したいと思います!
これからフィリピンでオフショア開発組織の立ち上げの検討している方の参考になれば幸いです。