(16)救護施設に来た経緯⑤

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「僕が生活保護を受けるに至った経緯というのを知ってもらわないと話の内容に入り込めない」
執筆者本人が生活保護受給者に転落した経緯、背景というものを理解していただくべく記事を執筆した。
執筆者の意向により、しばらく無料版を公開していくので気軽にお読みください。(山本星海)

(16)救護施設に来た経緯⑤

引っ越し(というかごみ処理とか荷物整理も含めて)は役所の人と業者がゴリゴリに介入してくれてスムーズに行えた。


実費負担もほぼ無く、命を助けてもらってるんだから感謝しかない。


施設までは荷物と一緒に役所の人が車で連れて行ってくれた。


道中で「これから先、大変なことがたくさんあると思う。あなたの年齢やこれまでの経歴を考えると施設の人と暮らしていて『なんで自分がこんな思いをしなきゃいけないんだ』という不満も出てくると思う。それでも真面目にやって生活していたら見ている人は見ているし、この先当然私も協力する。」と言われて涙が出そうになった。


こうして現地での引き渡しが完了した後、ケースワーカーとバイバイした。


まじありがとう。


そのバイバイした直後に施設の中を歩いていたら、ヨダレを垂らしたおじいさんから「ヴォー!」って声をかけられたので「おいここまでとは聞いてないぞ」と早速不満が出た。


それでも不思議なもので、職場をはじめとする人間関係、お金、これらの問題から物理的に距離をおいて毎日を過ごしていくと病状が劇的に改善した。


「なんで俺がこんなことを」と思ったこともほとんど無い。


ここで生活しているんだから割り当てられた作業や当番くらい余裕でやる。


ちなみに病状に関しては医者が良くなったとかの話でもない。


ただ睡眠薬と抗うつ剤は劇的に減った。


施設が提供してくれるちゃんとしたご飯を食べることで体重の管理もしやすくなった。


そうなると全く死のうとか考えなくなる。


つまりは現状において心理的な大半の問題が解決した。


そうやって数年過ごしていくうちに今度は住人同士でのいがみ合いに巻き込まれたり、自分でできることを施設の職員に頼まなければならないことにストレスがかかり、なぜかちょっと薬が増えた。


あと優しいケースワーカーも人事異動か何かでお話しできなくなったので、今はふんぞり返った嫌な役場の人が渋々たまに面会に来る。


「病状も良いし受ける支援も無いしもう外で働きます」と伝えても、ごちゃごちゃ言って全く何もしないので言うだけ疲れると思って最近は伝えることを諦めた。

こうして今、救護施設で何年も生活をしている。

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山本 星海
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