第2回芸備線再構築協議会幹事会
7/10(水)広島市で開催された第2回芸備線再構築協議会幹事会を取材しました。
幹事会は協議会の下に設置され、必要な調査・実証事業を実施するものです。第1回は5/16に岡山市で開催されました。
今回は潜在需要も含めた移動需要創出や利用者数・便益の増加、まちづくり・観光振興の観点も踏まえた地域波及効果などに資する調査分析の内容について協議を行い、一致しました。実施にあたっては専門的知見を有するコンサルに企画提案を公募した上で外部委託します。データの分析結果についてはできるだけ定量的に、金銭的に評価できるように分析すること、発現確度の高さといったエビデンスを示すことが求められます。分析の柱は、芸備線や沿線地域の現状把握、将来人口予測など将来の地域の姿、芸備線による多様な価値の創出や潜在需要などポテンシャルの有無の3つです。
検討内容のイメージ例として、潜在需要の顕在化やトリップ(移動)数の増加に向けた分析、二次交通との連携強化等による需要増の分析、駅など交通拠点の有効活用による需要創出効果分析、芸備線が鉄道として存在することの価値に関する分析などが重点項目に挙げられました。利用者数とは別個の価値については、データとファクトに基づき議論できるものを基本とします。
議論に必要と考えられるデータ例として、学生数の将来推計や観光地・拠点地における消費単価、商工会など地域経済の観点から見た芸備線の価値、ローカル線再生事例の収集による潜在需要、二次交通の接続環境などが示されました。
データ収集としての関係者ヒアリングは、個人・団体・企業・地域外(インバウンドなど)に幅広く行います。駅を拠点とした賑わい創出の具体例についての問いに、幹事長の中国運輸局の阪場部長は、私案ですがと前置きした上で、イメージとしてはスタートアップオフィスや観光拠点などをアイデアとして挙げていました。
出席者からの意見では、呉工業高専の神田佑亮教授が次のように述べました。「調査事業の結果、でてきたポテンシャルを生かす議論の中で、誰が主体となってそのポテンシャルを生かしていくのかということを早いうちから明確にしておかないといけない。誰がプレイヤーとして最前線に立って行うのか、そして価値創造をやり続ける持続可能なガバナンスをどういう体制でやるのか。元々鉄道の問題は地域の衰退が大きな課題としてある中で、誰が主体になり、新たなマネジメントの仕組みを構築するのか、早い時期から考えておく必要がある」。
岡山県の玉置部長、新見市の古家部長からは、将来人口予測についての分析方法について意見が述べられました。「人口減少は最優先の課題として様々な施策を打っている。厳しい現実をより厳しくするようなものではなく、より暮らしやすく、未来に希望を持てるような形で検討・議論したい」
今年度実施される調査・分析事業において妥当な結果が得られたものについては、来年度以降、実証事業を実施します。広島県の岡田局長からは「実証事業はスピード感を持って実施してほしい。地域との調整や周知、行動変容には時間がかかること、また観光については春夏秋冬それぞれの魅力があるので最低でも一年間は必要」という意見が出されました。
広島県と庄原市からは従前より「全国的な鉄道ネットワークのあり方について国の考えが示された上で個々の路線・区間の議論がなされるべき」という意見が出されています。岡山県からも同様の意見が出され、中国運輸局からも国に伝えられているそうです。
調査分析事業の予算案は17,500,000円で、負担割合は国が1/2を補助、JR西日本が1/4、特定区間の2県2市が1/4を基本とすることが了承されました。今後のスケジュールは10月頃に第2回協議会、年度末に第3回協議会の開催が予定されています。協議会は来年度以降も年2回程度開催される予定です。調査事業の開始時期については各自治体の予算確定を待ちできる限り早く取りかかりたいとされました。
以下は当日配布された資料です。
議事次第・配布資料一覧
出席者名簿
資料1~3