中小・中堅企業の海外進出/6.シャインマスカットと卵
こんにちは。公認会計士の山本です。
シャインマスカットというブドウを、多くの人がご存知のことと思います。皮ごと食べられる、種の無い、緑色の高級なブドウです。
このブドウは日本で開発されましたが、今や、中国、韓国の生産量が、日本の生産量を上回っているそうです。
しかも、中国、韓国の生産は、日本が許可したものではなく、勝手に生産されてしまっているとのことなので、がっかり感は半端ないように思います。
「流出先の韓国では、もともとのシャインマスカットが今や輸出の主力となり、輸出額は日本の5倍超に膨らんだ。中国国内での栽培面積は日本の40倍超に及ぶ。」(2021年8月15日 日本経済新聞)
それでは、話を変えて、
鶏の卵の話です。
殆どの日本人は、少なくとも、一週間に一個は卵を食べていると思います。
また、日本の卵の自給率が非常に高いことも、多くの方が知っているのではないかと思います。
しかし、
その卵を産む鶏の99%が海外から来ていることを知っている人は、殆どいないのではないかと思います。
正確に言えば、その鶏自体が海外から輸入されている訳ではありませんし、また、その親鳥が海外から輸入されている訳でもないのですが、
その親鳥の親鳥辺りから、海外から日本に来た鶏になります。
日本全体の卵を産む鶏の99%が、このようにして海外から日本に輸入された鶏を祖父母、曾祖父母、高祖父母に持つ鶏ということになります。
しかも、その海外の供給者というのは、欧州の片手にも満たない、限られた数の会社なのです。
これらの情報はネットで拾えるので、興味のある方は、調べてみて頂きたいと思いますが、
ポイントは、
一方は、折角、素晴らしいブドウを開発しても、それで終わってしまっている。
もう一方は、素晴らしい鶏を開発し、それで終わりではなく、技術が流出しないようにすると同時に、ただ、待っているのではなく、自ら、世界中に販売していき、それを維持し、そこから得られる利益を、開発に再投資している。
前回の最後で、日本から、ドイツのように数多くの「隠れたチャンピオン企業」が生まれない理由として、
「良い製品を作ること」を、「グローバルニッチトップ企業」となるための十分条件と思い込み、そこから先の思考が停止している、と書きましたが、
シャインマスカットのような話を聞くたびに、私は「良い製品を作ることから先の思考が停止している」と思えてしまいます。