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深夜特急、途中下車 #3(タイ編)
もう20年以上前。大学生の頃、リュックを背負って海外をウロウロしていた。そのときの話。
つながらない電話
タイについた次の日、朝起きてからゲストハウス「TAVEE」をウロウロしてみる。フローリングというかタイルに近い床で、みんな裸足でペタペタ歩いている。スタッフの人がけっこうな頻度でモップをかけていて、清潔さには気をつけているみたいだった。
泊まっているのは白人ばかり。なかでもヨーロッパ人が多かった印象。ロビーでコーヒーを飲み、宿の外を散策してみる。
チャオプラヤ川が近く、宿のそばには市場やセブンイレブンもあり、便利。通りを挟んで「E-mail」の看板が出ているいわゆるネットカフェもある。
ちなみに2000年の当時はスマホはない。現地でガラケーをレンタルするみたいなサービスもまだなかったと思う。なので、ネットカフェでメールを使って外部と連絡を取っていた。僕もHotmail(懐かしい!)のアカウントを持っており、旅に出ている間はHotmailのお世話になっていた。
バンコクについて早速、僕はおつかいに手をつけようとした。簡単に言うと、「友人の友人を探し出す」というミッションだ。
(さわりはこちら↓)
友人の友人である女の子のことは、ここでは仮に「アイ」と呼ぶことにする。僕は日本を出る前にアイにメールを送っていた。内容はざっとこんな感じだ。
「僕はこのまえ君が知り合った日本人の友人だ。同じ大学に通っている。
今度、僕がバンコクに行く。友人から預かってるお土産を渡すよ」
「わかった。私はバンコクに住んでるから、ついたら電話して」
「OK。じゃあ、バンコクで」
「TAVEE」のそばに公衆電話があったので、ドキドキしながらさっそく電話をかけてみる。事前にきいていた番号をプッシュすると、聞こえてきたのは「コノバンゴウハゲンザイツカワレテオリマセン」的な定型アナウンスだった。アナウンスがタイ語だったから何言ってるかわからなかったけど、たぶんそうだと思う。「え??つながらない??マジ??」。
とりあえず、近くのネットカフェで日本の友人とバンコクのアイにメール。
「バンコクに到着したけど、
きいていた電話番号はつながらず。手がかりを求む」。
しばらくしてから日本の友人からメールが返ってきた。
「アイはカオサンのゲストハウスで働いているみたい。
NAI2という名前のところらしい」
カオサンロードへ
カオサンロードは僕でも知っていた。世界中からバックパッカーが集まってくる場所だ。エアチケットも買えるし、ゲストハウスもたくさんある。そのなかのひとつで、アイは働いているという。
とりあえずカオサンロードを目指そうと思って、「TAVEE」の宿泊客に聞いてみると歩いて行ける距離らしい。宿を出て大きな通りにあたったら右折。あとはずっと道なりに直進。カオサンロードの入り口にはポリスボックスがあるからすぐわかる。ていうか、その通りだけ異様な感じだから誰でもわかるよHahahahaha!ということだった。
2025年の現在、Google Mapで見てみると本当に一本道だった(笑)。
目指すはカオサンロードのどこかにある「NAI2」というゲストハウス。見つけることができるのか。そしてアイには会えるのか。ほかに用事もない僕は、とりあえず行ってみることにした。