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チェキのらくがき、60秒じゃ絶対書けない!と言われたあの頃
地下アイドルの主な収入源
駆け出しのアイドルの主な収入源は、そう!「チェキ」である。
・ソロチェキ
・2ショットチェキ
・集合チェキ
メンバーひとりで撮影する「ソロチェキ」、ファンの方と一緒に撮影する「2ショットチェキ」、メンバー全員と撮影する「集合チェキ」。グループによって、名前は違えど、大きく分けて、チェキ撮影にはこの3パターンが存在する。
なかでも、一番人気なのは「2ショットチェキ」。そして、この2ショットチェキでも、さらに、
A 落書きなし(お話しなし)
B 落書きなし(お話しあり)
C 落書きあり(お話しなし)
D 落書きあり(お話しあり)
上記、4パターンが存在する。ちぇみーでは、A or Dの2種類だが、グループによって1パターンの場合もあれば、4パターンの場合もあり、まちまち。
ただ、ほとんどのグループに共通しているのが、落書きはあるということ。
最初に運営していたグループでは、Dの「落書きあり(お話しあり)」の1パターンのみの採用だった。
効率よくいかに回せるか
運営側としては、いかに効率よく、チェキの撮影をし、落書きをメンバーに時間通りにさせるかが、運営資金のカギを握っているため、メンバーたちに協力してもらい、素早く動いてもらう必要がある。
最初に運営したグループのメンバーは、アイドル活動に興味はあっても、アイドルには、まったく興味がないメンバーがほとんどだったため、チェキの落書きのやりかたが全然わかっていなかった。そして、私もアイドルには興味がなかったので、結成前に何組か、勉強のため、他のアイドルの物販にはいったものの、それほど知識はなかった。
不幸中の幸いというべきか、デビュー当初から、全然人気がなかったので、毎回、物販に来てくれる方は、せいぜい2,3人がいいところ。
なので、落書きの制限時間は特に設けず、次のお客さんが来るまで、トークできるスタイルで回していた。
ところが、活動を続けていくと、たまに物販(特典会)に行列ができる日も、出てきた。
問題発生!!!
普段は、「次のお客さんが来るまで」スタイルだったので、行列ができたときに、どのタイミングで、次のお客さんに行ったらいいかがわからなかったのである。
その時は、「一通り、落書きが終わったら次のお客さんに」スタイルにして、なんとか、やり過ごせたが、これだと、お客さんによって、落書き時間に差が出るため、キッチンタイマーを買って、落書き開始と同時にタイマーをスタートさせることにした。
次の物販時にも、少し行列ができたので、さっそくキッチンタイマーを発動。制限時間は90秒。
ピピピピーっ!ピピピピーっ!ピピピピーっ!
時間になっても、まだ全然書けていない。次のお客さんが、待っている。途中になって、強制終了させられた(ハガされた)お客さんには「ごめん、まだ途中だから、あとで続き書くね」と言っている。
ぶっつけ本番でさせた、私も悪いのだが、事前に制限時間を設けることは伝えていたので、準備はしてくれているものだと思っていた。でも、それは、こちらの確認ミス。
ということで、会議室を借り、チェキの落書き練習をすることにした。
チェキ落書きの練習
練習内容は
・制限時間内に落書きを終わらせる
・お客さんの隣に立ち、会話しながら落書きをする
この2つ。まず、制限時間内に終わらせるのは絶対条件!途中で終わったからといって、続きをまた書いてしまうと、制限時間の意味がなくなる。
そして、2点目は、私もメンバーも、うまく落書きができれば、お客さんは喜んでくれる、と思っており、メンバーは、机に撮影したチェキを置き、一生懸命、可愛いイラストを書くことに専念していた。
しかし、どうやら、うまさは、そこまで求められていないことが、お客さんにヒアリングをして、判明。
お客さんは、落書きの時間を通してメンバーと会話を楽しむ、チェキ撮影を購入しているが、トークの時間を購入しているということ。
そこで、小さなバインダーを購入し、お客さんの隣に立って、制限時間いっぱい、楽しいトークをしつつ落書きができるように練習をした。
最初から、なんでもうまくいくわけがないと思っていたので、まずは、バインダー上で書く練習から開始した。それができるようになったら、立って落書きをする練習。そして、最後に、制限時間内に書く練習。
はじめの2ステップは、うまくいったんだが、やはり、制限時間内に書くというのが、難しいらしい。
90秒は、チェキの落書き時間としては、比較的長いほうなのだが、それでもなんとかギリギリできるぐらい。私の理想は、60秒。
なんとかしてやろうという姿勢が見たかった
90秒でできるようになったので、最後に60秒にチャレンジしてもらうことにした。
4人中、2人は、何度やっても時間内に終えることができなかった。落書きのクオリティーは、そこまで求めらていないから、トークと、時間内に終わらすことだけに、一回集中してみよう!というアドバイスを、何度しても、なぜか、落書きのクオリティーにこだわってしまう。
「じゃあ、もう名前と、サインと、日付だけ書いて、時間があまったら、イラスト描いて」と言っても結果は同じ。
さすがに、これだけしか書かないのに、60秒で出来ないわけがない!と言うと
じゃあ、山田さん、やってみてくださいよ!
と言ってきた。しかも、キレ気味で。しかも、ふたりとも。ガチトーンで。
名前と、サインと日付、書くだけなのに、60秒かかるわけがないし、なんとかして制限時間内に終わらせよう!という意識ではなく、お前やってみろ!っていう、その考えに失望した。とても続けられる空気じゃなくなったので、落書き練習は終了。
結局、最初のグループでは、タイマー制度はしばらく採用しなかった。
ちなみに、現在、私が運営中の都内を中心に活動している「ちぇみー」に関しては60秒の制限時間を設けております。お客様のご協力のおかげで、円滑にチェキ撮影が行えております。ありがとうございます!
怒鳴ってくれるメンバーに出会えてよかった。決して無駄なことなんてない。
今回、学んだこと
実際にできているところを見せる必要がある。イメージがわかないとメンバーもどうしたらいいかわからない
>>やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ by 山本五十六
優先順位、目的を理解させる
>>制限時間内に終わらせる事が最優先!お客様は、落書きにハイクオリティを求めていない。楽しいひと時を過ごせれば(トーク)満足していただけることを理解させる。
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