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いつもと違う層へ刺さった!〜霧島市議会のチャレンジ〜


広報広聴委員会の委員長として、半年少しが経過しました。
委員長として設定した運営テーマは、
「広く市民にお知らせし、広く聴くための努力を惜しまない」こと。
シンプルですが、7月31日開催の「議員と語ろかい」でひとつ形にできたので、まとめてみました。


「議員と語ろかい」とは

霧島市議会の広報広聴委員会では、以下の活動をしています
①議会だよりの編集と発行
②語ろかい(広聴会)の企画・運営
③SNS活用

このなかで、②の語ろかいは、26名の議員が3〜4グループで市民の皆さんのお話をお聞きするというもの。
本会議閉会中 年4回、自治体や団体と皆さんの申し込みを募ってかいさいしてきましたが、昨今のコロナウイルスの関係で中止が相次いでいました。

また応募の団体が固定化したり、応募数も少なくなってきていて、改革をしていく必要がありました。

仮説を立てる

過去の開催実績の分析をする

改革にあたり、まずは、過去開催分の分析をしました。
アンケートの中から、性別や年代などを拾い上げていきました。
まずは、霧島市の年代別人口と比較してみます。

20代がゼロという参加者割合に加えて、男女比は男性が8割超。
うーむ。これをもって「広く聴いてる」とは言えないですよねぇ。
ちなみに、普段市役所が「地域の声を聞く」ための組織と位置付けている自治会役員の方々もここの層が圧倒的に多いです。

呼ばなければならない層を設定する

このデータをもとに、広報広聴委員会のメンバーで、呼ばなければならない層を設定しました。
「現役世代や若手」「女性」「個人で活動されている方」などなど、団体や自治会の代表としてご参加いただいていない層がメインターゲットとなりました。
ここから、曜日・時間帯を決めていきました。

初の日曜日の午前中開催です。
なお、事務局の負担(人件費等も)を考え、議会棟にて3委員会を同日・同時刻開催としました。

3月・6月定例会の全員協議会で、議会全体の了承を取り、いざ、募集をスタートすることになりました。

使える手段や開催条件を整理する

次に、広報として使える手段や開催条件を整理していきました。

普段の広報手段は、市役所の広報誌(回覧板経由)・市のホームページ・まちのFMなどなど。
それに対して、メインターゲット層の主な情報取得方法は、TVやネット。
「伝える」と「伝わる」は似て非なるもので、多分、リーチできていないよねということになりました。
そして、TVは費用的にもかなりハードル高いし、ネットをもう少し上手に活用した方が良いよね、という話に。
この辺り、深掘りしたい方は、総務省の白書をご覧くださいね。

総務省令和4年版「情報通信白書」より

「予算がない」から、工夫する

さて、メインターゲットが決まり、広報の主力はネットを活用、足りない分は個別の声かけ、と方向性は定まりました。
予算がないからこそ、工夫します。

TTPを駆使した広報戦略

TTP(徹底的にパクる)。
技術と予算がないからこそ、学ぶ(真似ぶ)ことが大切です。
私がお手本としたのは、戦略的に議会改革を行なっている北海道の鷹栖町議会。以前から気になっていました。

5月に開催された議員サミットに、鷹栖町議会の議長と広報委員長の片山さんが、オンライン登壇されていました。
メモをとりまくり、首がもげるほど共感し、限定5枚のクリアファイルもGet!

これぞ運命!
そして、どうしてもこの感動をお伝えしたくて、FaceBookで友達申請(汗)
突然の申請、受け入れてくださった片山さんには感謝してもしきれません。

「使えるものはなんでも使う」

さて、片山さんの投稿を見ながら、見よう見まねで作ったのがこちら。
InDesignを使って作っています。
ちなみに、InDesignは、ストレスがかかる印刷会社とのコミュニケーションをできるだけ簡素化したくて、私費購入して独学で使っています。

中吊り風

このほかにもう1パターン、北欧のお部屋風チラシを作りました。

こちらはポップな感じで情報が見やすいと評判でした

反応に天と地ほどの違いが!


SNSについては、前委員長の任期にどうにかFaceBookの開設にこぎつけた経緯があります。
実は、まだまだ議会のSNS活用に懐疑的な議員もいらっしゃるのが現実です。
もちろん、その方々はSNSはほとんど触れたことがありません。ただしワイドショーなどで議員や芸能人のSNSが炎上することがある、ということはご存知です。
そのため、できるだけ慎重な運用を求められるため、自由な投稿ができる状況にありません。
「炎上するのではないか」のご意見→まずは「冷やし中華始めました」的なお知らせにとどまっています。

20年近くSNSを活用してきている身としては、もっともっと、議会のLive感を伝えたい!と思っています。

そんな、できるのにできないモヤモヤ感を抱えながら、いざこの2つを議会の公式FBページへ投稿。

①公式Facebookページのフォロワーが611→711名

開設から2年ほど、冷やし中華はじめました的投稿を続けていたFBページ。地道な紹介をもとにじわじわフォロワーが増えて、投稿時は611名まできていました。

それが、この投稿からたった1週間で100名が増えました。
すごい!

②シェアが32件、閲覧が6500件近く(普段は50件など)

私を含む広報の委員が数名シェアするところから始まり、どんどんシェアが伸びていきました。
普段は、シェアしても1〜2名のところが、脅威の32シェア!
投稿2日目がピークで、お願いしていない方からもコメント付きでシェアいただいたのを見ると、「見た目のおもしろさ」の持つ可能性を大いに感じることになりました。
インサイトを見ると、閲覧が6500件超。
まちなかなどで、声をかけられることも増えました。
市議会が「面白そうなことやってるね」って話題になるのって、画期的じゃないですか?

③地元南日本新聞で取り上げられたことで、さらに話題に

普段、定例会の時には、地元の南日本新聞の記者さんが張りついていらっしゃいます。
この構想がスタートした時から、「こんなことやる予定です。面白いでしょ?」と情報を共有していました。
募集がスタートした際に、取材の依頼を受け、タイミングよく告知記事を載せていただくことができました。

南日本新聞の力は絶大です。特に、今回は印刷予算がなかったため、とてもありがたい掲載となりました。
さらにYahoo!ニュースなどにも転載。

なんと、複数の方が、わざわざ事務局まで「チラシください」と尋ねていらっしゃったそう。
結果として、いつもと違う層からの申し込みが徐々に入ってきました。

合意形成は丁寧に、ポイントを絞って


さて、話題は少し戻って、議会内の合意形成についても触れてみます。

肯定的ではない意見をバネにして、合意形成をする

議会だよりを編集するときもそうですが、「いかがなものか」という、いわゆる「ご意見」はよくいただきます。
特に新しいことに関しては、慎重意見が多いのかもしれません。

否定まではいかなくても、肯定的でない・・・、そういうご意見は、頭から対立せずに、バネにして合意形成をするようにしています。
(例1)SNSが使えない層には、どう配慮するのか。
→今までの参加者の意見はもちろん大切です。
ですから、広報は普段通りの手段も行います。「そのうえで」届いてない層を意識した手段を活用します。

(例2)個人の意見となると、収拾がつかなくなるのではないか。
→これまでは団体にしか門戸が開かれていなかったので、実際どうなるかはやってみないとわかりません。しかしながら、「いつもの団体に加え」各議員と個人が触れる機会が何より重要と考えますので、どうにか工夫したい。

・・ともあれ、普段からの信頼関係がものを言うのかなと思います。

コロナ対策を万全に

今回は、これに尽きたと思います。
ちょうど開催時期に入り、感染者数がぐんぐん伸び始め、何度も検討を重ねました。直前にも「ご意見」が出ましたが、議長も含めてしっかり納得がいくまで話し合い、どうにか開催に漕ぎ着けることができました。

参加者導線の設計は丁寧に

動かしながら、参加者の申し込み動線の修正をする

今回は、初めての試みということもあり、議会事務局にとても助けていただきました。

特筆すべきは、事務局職員が「申し込み動線の工夫」に協力的だったこと。
通常は、THEお役所という感じで、紙媒体中心で告知→電話かファックスかメールで申し込み対応されています。

ネット中心の告知ですので、目にしたその瞬間に「どうやって申し込むか」がわかり、すぐに申し込みにつながるよう、工夫をしていきました。

メールフォームを設定したり、返信内容を考えたり、動かしながら、どんどん修正をかけていきました。
前例踏襲でなく、都度ていねいに確認しながら、フレキシブルに作り上げていけるのは、本当に嬉しいことで、とても感謝しています。

当日、そして後日談

(当日の申込者の集計はまだ手元にありませんので、後日追記します)

20代〜の多数の方が参加。子連れの参加者もありました。
若手の経営者や教員、乳幼児を持つ親、子育てが終わった人、本当に多様な方々でとても盛り上がりました。
参加者同士が名刺交換して、次にしたいことを共有したり、個別の議員ともだいぶ話し込む姿がありました。
これは、団体型ではあまり見られなかったことで、今後どんな化学反応が起こるのか、本当にワクワクしてます。

※後日談として、北海道新聞に鷹栖町議会の取材が入った際に、一緒にご紹介いただきました。有料記事なので、一部しか読めませんが、本当に光栄なことです。

議会は「未来を作る予算を決める場」。
個人も団体も、老若男女が楽しめる取り組みを、今後も発信していきたいと思います。


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