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「人のつながりを生み出す場所へ」TENJIKU桐生・案内人の神山さんへインタビュー

こんにちは。旅が好きなヤマクボです。

2022年3月にすごい旅人求人サイトSAGOJOを利用し、群馬県にある水沼駅温泉センター、TENJIKU桐生に滞在してきました。

そして先日、月一で開催されている「水沼マルシェ」に遊びに行くためにTENJIKU桐生を再訪!

マルシェでは現地案内人である神山さんにインタビューさせていただき、TENJIKU桐生とはどんな場所なのかをお伺いしました。

※『TENJIKU(テンジク)』とは、旅人が「地域のお手伝い」をすることによって無料で宿泊(2泊〜最大1ヶ月)できる、旅好きのための拠点です。地域とより深く関われる新しい旅のスタイルとして、その拠点を全国へ拡大しています。 ーーSAGOJOホームページより

TENJIKU桐生、現地案内人のご紹介

神山輝充さん
群馬県出身。
以前は大手アパレル会社に勤務。
現在、水沼駅温泉センター専務として働いている。
毎月最終日曜日に「水沼マルシェ」を開催。

「温泉センターでは絶対に働かない」と思っていた

ーー水沼駅温泉センターでお仕事をするようになった経緯を教えてください。

この温泉センターは創業33年です。元々は地元企業が経営していましたが、経営難になり2008年に一度閉鎖しています。

その時、私の父が「水沼の大切な観光資源をなくすわけにはいかない!」と、勤めていた職場を早期退職。翌年の2009年から温泉センターの経営を始めたんです。家族はもうびっくりでしたね。

当時、私は都会の大手アパレル会社で働いていたのもあり、「温泉センターの仕事は絶対に手伝わないぞ」と思っていました。

ーー最初は温泉センターで働くつもりがなかったのですね。考えが変わったきっかけはなんでしょう?

2011年に起きた東日本大震災がきっかけでした。震災後、温泉センターにお客さんが全くこなくなってしまった。父は「今度こそ、温泉センターはダメかもしれない」と落ち込みました。

父が人生を懸けて取り組んでいる温泉センター。自分が手伝うことで父の力になりたい。そんな気持ちが湧き上がってきました。

また、2011年は私自身が働き方に悩んでいた時期でもありました。大企業ではなく新しい形で仕事をしてみたかった。悩んだ末、アパレル会社を退職。水沼駅温泉センターで働き始めました。

営業として温泉センターを支えてきたコロナ渦前

ーー温泉センターではどんなお仕事をしてきたのですか?

お客様を呼び込むため、県外で営業していました。温泉センターの中にいることはほとんどありませんでしたね。バスツアーをメインにたくさんのお客様に来ていただけるようになり、経営も軌道に乗って忙しい日々を送っていました。

ーー温泉センターのお仕事は順調だったのですね。

はい。ところが、2020年からコロナウイルスが蔓延。お客様の数は10分の1まで減少。バスツアーの予約はゼロ件。再び経営の危機に陥りました。

「チャンスがあれば何でもやってやろう」TENJIKU桐生の誕生

ーー震災の次はコロナウイルス。大きな影響があったと思います。

コロナ渦になってから温泉センターはすっかり暇になってしまいました。このままだと温泉センターが潰れてしまう。でも何をすればいいのか全くわからなかった。

悶々としている中、「チャンスがあれば何でもやってやろう」と思っていました。そんな時に出会ったのが旅人のサイトを運営するSAGOJOさんです。

ーーSAGOJOと出会って、どんなお話をしたのでしょう?

SAGOJOさんとはある観光プロジェクトでお会いしたのですが、その中で「水沼駅温泉センターを旅人の拠点となるTENJIKUにしませんか?」と提案していただいたんです。

経営危機を脱するためのきっかけが生まれるかもしれない。そう感じて、水沼駅温泉センターをTENJIKU桐生として始めることにしました。

TENJIKU桐生と旅人たち

現地案内人の神山さんと渡邉さん(sagojoホームページより)

ーー旅人の拠点「TENJIKU桐生」を始めてから、どんな変化がありましたか?

全国からSAGOJOの旅人が来てくれるようになりました。

緊急事態宣言などで旅人を受け入れできない時期もありましたが、これまで想像以上にたくさんの方が訪れてくれています。

彼らは、水沼を歩き、水沼で遊び、水沼で地元の料理を食べ、帰る頃には水沼を好きになってくれています。水沼に愛着を持ってくれる人が全国にいるのは、とても嬉しいし心強いことです。

温泉センター近くの畑風景と、ハイキングができる里山

水沼は、観光地としてあまり知られていません。来てくれた旅人には、地元のおすすめスポットを直接伝えられる。旅人やSAGOJOさんが地域の魅力をSNSで発信してくれたりもする。

地域の認知度も上がり、TENJIKUをやって良かったと感じています。

ーー水沼の魅力が広く伝わっていくのは嬉しいですね。

そうですね。また、自分自身も旅人から刺激とパワーをもらっています。
SAGOJOの旅人さんって、個性的でめちゃくちゃ面白いんですよ。高校生が一人で遠くの島から来てくれたり、大手企業の重役さんが一人で五日間も泊まってくれたり。

色んな生き方をしている人と出会い、一緒にお風呂掃除のサゴジョブ(地域のお手伝い)をして語ったりできる。

お風呂掃除しながら神山さんとおしゃべり

水沼にいながら、自分の知らない世界に触れ続けることができるんです。新しいアイデアが生まれるきっかけになる。

いずれは、みんなの強みを合わせて、一緒にイベントや仕事もやってみたいですね。旅人たちと地域を盛り上げていきたいです。

TENJIKU桐生を、水沼の中心にしていきたい

ーーこれからTENJIKU桐生をどんな場所にしていきたいですか?

水沼の核となる存在になっていきたいです。

正直言うと、コロナ禍になる前は温泉センターの繁栄しか考えていませんでした。しかしコロナが流行り温泉センターにピンチが訪れた時、地元のみなさんが助けてくれたんですね。

変わらずお風呂に通ってくれる常連さん。新しいアイデアを一緒に考えてくれる地元の友達。声をかけてくれる商工会議所の方。みんなが温泉センターを支えてくれた。

コロナ渦になって水沼で過ごしたことで、初めてこの土地の人の温かさや自然の豊かさに気付きました。これからはこの地域のために仕事をしていきたいと思っています。

ーーコロナ流行を境に、視点が大きく変わったのですね。

はい。水沼は人口が減少している地域です。地域のためにも、温泉センターを地元の人と県外の人とが交流できる場所にして、エネルギーを生み出していきたい。

現在取り組んでいるものの1つはこの「水沼マルシェ」。温泉センターの裏にある広場で、2021年の冬から月に一回開催しています。

当初は4店舗だけでしたが、地元の飲食店に声をかけるうちに出店数も増えてきました。観光客も立ち寄ってくれ、活気が出てきたと感じています。

ーー今日もたくさんの方がマルシェに来ていますね!

また、館内を昭和レトロ風にする「水沼レトロ」という取り組みも行っています。地元の人の家に眠っている古い扇風機やランプなどを寄付してもらい、館内に飾っています。

水沼駅温泉センター、インスタグラムより

地元の人と一緒に取り組むことで温泉センターへ愛着を感じてもらえるし、観光客にはノスタルジックでお洒落な雰囲気を楽しんでもらえると考えています。

ーー確かに、3ヶ月前に訪れた時に比べて、昭和レトロ感が増していますね。昔懐かしさが可愛くて、落ち着く雰囲気です。

最近は移住者も増えてきています。県外から来た新しい人も「とりあえず温泉センターに行けば地域の人と繋がれる」と思ってもらえるように、町の入口となるような施設を目指しています。

水沼をみんなにとっての目的地にしたい。今は人との出会いを大切にしながら、未来へのタネを蒔いている時期です。TENJIKU桐生に来る旅人とも、一緒にアイデアを考えたいです。まだまだ道を開拓しているところですね。

編集後記

リニューアルされたお風呂の暖簾

水沼の核となるべく動き出した水沼駅温泉センターさん。その変化を間近で感じることができた再訪の旅でした。

現在、水沼駅温泉センターでは「水沼レトロ」をさらに実現するためのクラウドファンディングに挑戦中。600円から支援が可能です。面白そうなリターンもたくさんありますよ!▼

クラファンを応援するのもよし。TENJIKU桐生に行ってみるのもよし。みなさんがそれぞれできる形で水沼を盛り上げてみませんか。

(この記事は、2022年6月26日に取材・執筆しました。)

(2022年8月追記:クラウドファンディングは、残念ながら不成立となりました。その後も水沼を盛り上げようとチャレンジしつづける神山さん。これからも水沼に遊びに行って応援していきたいと思います。)

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