「ユリガッシーン!」 第1話
あらすじ
羽田小百合と花澤千春は最低な出会いを果たす。それが運命の出会いとなるとも知らず。
地球を見守る任務に就いていたポップルはゴミ箱ジヘンが地球に落ちていくのを見てしまい、ポップルも地球へ向かう事に。
地球へたどり着いたゴミ箱ジヘンは青春を吸いこみ、世界はてんやわんやに。小百合の友達、遥も青春を吸い取られ、ゴリラになってしまう。小百合と千春は遥を救い出すために戦士ユリガッシーンとなる事を誓うのだが、その変身手段はキスをすること。
小百合は拒否するが百合好きな千春はノリノリでキスしてユリガッシーンとなるのだった。
だが、小百合は千春の「百合が好き」というのを自分への告白だと勘違いしてしまう。
本編
○宇宙船・内(夕)
羽田小百合(16)が花澤千春(16)に押し倒されてキスされてい
る。
千春「ここ、弱いんですのね?」
小百合「あっ!そこ!」
舌を入れる千春。
小百合M「な、何この感覚?」
小百合「私には彼氏が!」
千春「今はそんな事関係ないでしょ?」
小百合M「もう何も考えられない……!」
様々なところにキスされている小百合。息を切らしている千春。
ポップルの声「これなら!ユリガッシーン!」
ユリガッシーンに変身する小百合と千春。
小百合・千春「(ポーズを決め)ユリガッシーン!」
〇大山高校・校庭(夕)
タイトル「数時間前」
小百合がハードル走をしている。ジャンプしながらハードルを越えていく。
走り終える小百合。女子生徒たちが寄ってくる。
女子生徒1「小百合すごいじゃん!新記録だよ!」
小百合「え?本当?」
女子生徒2「小百合、次はテニス部に助っ人にきてよ!」
女子生徒1「いーや!小百合はこのまま陸部に入るの!」
小百合「(照れながら)まいったなぁ」
髪をかく小百合。
〇同・校舎裏(夕)
小百合、周りの女子生徒に囲まれながら歩いている。
対になるように千春が台本とハンカチを持って歩いてくる。
肩がぶつかる小百合と千春。
千春、ハンカチを落とす。それを拾う小百合。千春に手を伸ばす小百
合。
小百合「大丈夫?」
千春「(手を取って立ち上がる)え、ええ」
小百合「ごめんね」
千春「そのハンカチ、あげますわ」
小百合「え?」
千春「地面についたハンカチなんて汚くて使えませんもの」
また歩き出す千春。歩いていく。
小百合「ちょっと!ねえ!」
千春M「なんなのでしょう、この胸騒ぎは」
ため息をつく千春。風が吹く。
学校のチャイムがなる。
小百合「やば!ちょっと用事が!」
去っていく小百合。
女子生徒1「彼氏かな?」
〇同・体育館・内(夕)
舞台上で数人の演劇部員と共に稽古を行っている小野寺遥(16)。煌びやかな衣装を着ている。
小百合が入ってくる。
小百合「遥!」
遥「小百合!」
遥、舞台を降り、小百合に近づく。
遥「来てくれたんだ!」
小百合「今日、通し稽古やるんでしょ?そりゃくるよ!それにしても綺麗な衣装だね!」
遥「えっへん、そりゃ白雪姫だからね!」
小百合「へえ!すごいじゃん!」
遥「美女と野獣対貞子feat白雪姫なんだ」
小百合「え?今なんて?」
遥「あ、これ」
チケット2枚を小百合に渡す遥。
小百合「ありがと。なんで2枚?」
遥「言わせるなよぉ、彼氏さんの!」
小百合「(気まずそうに)あ、ああ!そうね!今回は来れるといいなぁ!」
遥「確かにね!」
小百合「あいつ毎度毎度部活やらバイトやらで忙しいからなぁ……」
ハハハと笑う小百合。
小百合M「彼氏がいるって嘘、そろそろきつくなってきたな……まず出来た事ないし」
遥「今回の演目、すごい仕掛けがあるんだ!」
小百合「へえ、なにそれ?」
遥「それはねぇ……」
〇宇宙
〇同・宇宙船・内(夕)
マスコット型の妖精ポップルが透明な宇宙船の中でジュースを飲み、ヘッドホンをしながらくつろいでいる。
ポップル「やっとついたっプル」
地球に1つのゴミ箱が落ちていく事に気づく。
ポップル「ゴミ箱が落ちていくなんて平和の証っプルねぇ」
ポップルがジュースを飲んでいると警報音が鳴り響くが気づかない。
ポップル「やっとこの時空にたどり着いたことだし楽しむ事にするっプル!」
旅行雑誌を開くポップル。
ポップル「お。このスイーツとか美味しそうっプル!」
眼下の地球が爆発する。それを見るポップル。
ズームするとゴミ箱を被ったサラリーマンが歩いている。
ポップル「まずい事になったっプル……!」
急いで地球に進路を取る宇宙船。
〇住宅街
サラリーマンが歩いている。
サラリーマン「(項垂れながら)今月もノルマ未達だぁ!どうすれば!」
中学生2人が遊んでいる。
サラリーマン「俺にもあんな時代があったななぁ」
ゴミ箱ジヘンの声「許せないだろ?」
サラリーマン「え?」
ゴミ箱ジヘンの声「憎らしくないか?周りは楽しんでいるのにお前だけ苦しんで」
サラリーマン「許せない!俺がこんなにつらい目に遭ってるのに誰かが楽してるなんて許せない!」
ゴミ箱ジヘンの声「契約完了ゴミ!」
ゴミ箱ジヘンが上空から落ちてきてサラリーマンを取り込む。
ゴミ箱ジヘン「これで俺のものゴミ!」
中学生「なんだあいつ!」
ゴミ箱ジヘン「人が苦労してるのに勝手に青春してるのは許せないゴミ!お
前の青春を奪ってやるゴミ!」
中学生の青春を奪うゴミ箱ジヘン。
中学生A「なんでお前と青春しないといけないんだよ!」
中学生B「こっちこそお前と青春なんか願い下げだよ!」
殴りあう中学生。
ゴミ箱ジヘン「こうやって人類を青春迷子にして青春欠乏症にしてやる
ゴミ!」
〇大山高校・校庭(夕)
ゴミ箱ジヘンが歩いている。様々な部活が練習してる中、ゴミ箱ジヘンの横を女子生徒が通りがかる。
女子生徒「誰かしら?」
ゴミ箱ジヘン「くぅ~!思い思いの青春を楽しみやがって!青春を吸い取っ
てやる!」
校庭中の生徒の青春を吸い込むゴミ箱ジヘン。
青春を取られた生徒たちが各所で揉め事が起こる。
ゴミ箱ジヘン「ざまあないぜ!」
〇大山高校・体育館・内(夕)
千春が台本を持って入ってくる。
千春「そこ、何話してるの?通しの時間はもう迫ってますのよ?」
遥「は、はい、すいません!」
小百合「あ、あんたは!」
千春「なんですの?今は忙しいから通しが終わってからでよろしいです
か?」
小百合「あ、すいません」
遥「その人、今回の演出兼脚本なんだ!」
小百合「へえ」
小百合M「どこまでも感じわるいなぁ!」
千春にあかんべーする小百合。
走って舞台へ上がる遥。
校長先生の声「校長です!緊急放送!現在青春を吸い取る謎の現象により学
校がてんやわんやしています!生徒たちは青春を吸い取られない安全な場
所に避難してください!」
千春「(頭を抱えて)そんな!」
小百合「どうしたの?」
千春「青春を吸われたら青春迷子になって青春欠乏症になってしまう!」
小百合「何言ってるの?」
小百合の背後からゴミ箱ジヘンが現れる。
ゴミ箱ジヘン「その通りだ女!」
小百合「なんだこいつ!」
千春「あなたが青春を吸い取ってるのね!」
ゴミ箱ジヘン「いいカンしてるな、女」
千春「青春欠乏症になると青春の分からない大人だらけになって地球の温度
が5度上昇してしまう!」
小百合「全然意味が分からないよ!」
千春「ですから!青春欠乏症は!」
ゴミ箱ジヘン「そこの女!青春してそうな顔しやがって!」
遥を指さすゴミ箱ジヘン。
ゴミ箱ジヘン、遥の青春を吸う。
青春を吸われる遥。
小百合「遥!」
台本を投げ捨てる遥。
遥「演劇に青春かけるなんかやめだ!」
小百合「あんなに演劇好きって言ってたじゃん!」
遥「やめだやめだ!演劇なんてもうしない!」
スナック菓子を食べる遥。
小百合「ハムレットの作者は?」
遥「(だるそうに)ピザポテト」
小百合「本当に演劇に興味無くしてる、こんなに変わってしまうなんて」
千春「ピザポテトは人の名前ではありませんわ!」
小百合「ツッコむ所そこなの?」
ゴリラに変わる遥。
遥「うほ」
小百合「青春を失ったから遥がゴリラに!」
千春「遥さん!あんなに芝居に夢中だったじゃないですか!」
遥「お前の台本趣味全開すぎうほつまらないうほ!」
千春「え?」
遥「うほ」
千春「(泣きながら)つまらない台本?私のが?」
ゴミ箱ジヘン「スカッとするぜ!」
千春、へなへなと倒れこむ。
千春の台本を手に取るゴミ箱ジヘン。
ゴミ箱ジヘン「(読みながら)ほうほう、王子様のキスで姫君が目を覚ますねぇ。青春の甘酸っぱさみたいなの嫌気がさすんだよ!お前もゴリラにしてやる!」
台本を投げ捨てるゴミ箱ジヘン。
小百合「謝って」
ゴミ箱ジヘン「あ?」
小百合「あの人に謝って。そして遥を元に戻して」
小百合を睨みつけるゴミ箱ジヘン。
ゴミ箱ジヘン「てめえなめてんじゃねーぞ」
小百合、ゴミ箱ジヘンをビンタする。
小百合「早くして」
ゴミ箱ジヘン「高校生風情が俺にビンタだと!?」
千春「あなた……!」
小百合「あなたの事は嫌いだけど誰かの努力を邪魔するなんてのはもっと許
せない!」
ゴミ箱ジヘン「うるさい!小娘が!大人になるとなぁ!努力なんか評価され
ねえんだよ!結果が全てなんだよ!」
小百合「だからって誰かの人生を邪魔していい理由にはならない!」
千春「(立ち上がり)そうですわ!誰だって誰かの青春を奪う事は許されませんわ!」
ゴミ箱ジヘン「うるさい!お前らも青春を奪ってやる!」
ポップルの声「危ないっプル!」
小百合と千春がその場から消える。
ゴミ箱ジヘン「な、なんだぁ?」
〇宇宙船・内(夕)
小百合と千春が座っている。上にはポップルがいる。
小百合「青春が奪われてない?」
千春「ゴリラになってないし、奪われてない?」
ポップル「よく来たっプルね」
見上げる小百合と千春。
小百合「なにあれ?というかここは?」
千春「さ、さぁ?」
小百合「あなたは?」
ポップル「僕は妖精のポップル。よろしくっプル。突然だけど君たちには伝説の戦士ユリガッシーンとして戦って貰う事になったっプル」
小百合「ポップル?というかあのゴミ箱は何?」
ポップル「あれはゴミ箱ジヘン、この地球すべての青春を吸いこもうとする
厄介な奴ップル」
千春「だから遥さんはゴリラになってしまったのですね」
小百合「なんか釈然としないけどね」
モニターにゴミ箱ジヘンによって青春が奪われた人たちの光景が映
る。
小百合「これは?」
ポップル「ゴミ箱ジヘンがこの地球で吸い取った青春っプル」
千春「ひどいわ。そんな一方的に……!」
ポップル「そして君たちも目の前で見てしまった通り女子生徒を虚無ゴリラ
に……」
小百合「(遮って)ユリガッシーンになればそのゴミ箱を倒せるの?」
ポップル「話が早くて助かるっプル」
千春「私も戦いますわ!」
お互い目を合わす小百合と千春。
ポップル「それでは両者誓いのキッスを」
小百合・千春「は?」
小百合「ちょっとキスってどういう事よ!」
ポップル「ユリガッシーンになるには2人の熱いキッスが必要っプル!」
千春「しましょう、キス!」
目をキラキラさせる千春。
引いてる小百合。
小百合「なんでそんな乗り気なの⁉」
小百合M「同性とのキスなんてキモイ!ありえない!」
千春「私、隠しておりましたが百合(文化)が好きなんです……!」
小百合「(自分の事だと勘違いして)え?百合って私?」
千春「(興奮しながら)華やかで美しく気高く尊い、それが百合。その体験をできるなんて私は、私は!」
やけに興奮する千春。
小百合「(自分の事と勘違いして照れる)そんなに褒められるなんてそんな……」
ポップル「早くキスするっプル!取り返しのつかない事になるっプル!」
小百合M「女の子とのキス?ファーストキスが女の子?私にはいつかできる彼氏の為に取っておきたいのに~!」
千春「さあ、早く!」
小百合「で、でも私には彼氏がいるし!」
千春「このまま地球がめちゃくちゃになってもいいですの?」
小百合、戸惑う。
小百合「それとこれとは話が別というか……!」
千春M「もしかしてこれってあの百合漫画のワンシーンでは?」
千春「ええい、まどろっこしい!」
小百合「ちょ!」
小百合に無理やりキスする千春。
小百合M「脳がとろける!」
衝撃を受ける小百合。顔がとろける。
千春「さあ!ユリガッシーンに変身を!」
小百合M「キス、されちゃった……!しかも女の子に。癖になりそう……!」
ポップル「ダメっプル!キスエネルギーが足りないっプル!」
小百合「何よそれ!」
ポップル「兎に角まだ変身できないっプル」
千春「大丈夫、私に身を委ねて下さいまし」
小百合「だからなんでそんな乗り気なの!」
千春「私は百合(文化)が好きなのです」
顔を真っ赤にする小百合。
小百合を押し倒す千春。
小百合「ちょっと!離れてよ!」
小百合M「このままだとトロトロになる!」
千春「私は我慢弱い女なのでして」
小百合M「ちょっと私どうなっちゃうの~!」
×××
息を上げ小百合が倒れている。たくさんのキスマークがついている。
小百合M「何回キスされたか分からない。色んな所に何回も何回も」
ポップルM「(顔を真っ赤にしながら)女の子同士のキスは背徳感がえぐいっプルねぇ、あ、変身できるっプル!」
千春、涎を垂らしている。
千春M「つい憧れの百合キスシチュをいっぱい試してしまいましたわ……!」
小百合「もうお嫁にいけない……!グッバイ私のファーストキス……!」
ポップル「これで変身できるっプル、プルプルプルプル、ユリガッシーン!」
ユリガッシーンに変身する小百合と千春。
小百合は赤、千春は青のカラーになっている。
小百合「これがユリガッシーン?」
千春「いきますわよ!」
小百合「う、うん!」
〇大山高校・体育館(夕)
ステージを破壊しながらゴミジヘンが歩いている。
ゴミジヘン「あいつらどこ行った!」
ユリガッシーン二人が現れる。
小百合の声「そこまでだ!」
ゴミジヘン「貴様らは!」
千春「我らはユリガッシーン!」
小百合「ざっくり言うと正義の味方ってところかな?」
千春「しまりませんわね」
小百合「あんまり詳しい事聞かされてないしね」
ゴミジヘン「なんだっていい!貴様らの青春も吸い取ってやる!」
千春「私自身の力で物語を切り開く!」
小百合「私の運命は私が決める!」
ゴミジヘン「だからなんだと言うのだ!」
小百合・千春「だからお前を絶対許さなーい!」
ゴミジヘン「うるさーい!」
ゴミジヘン、そこらじゅうにあるもの
を吸い込もうとする。
小百合「危ない!」
花澤千春と書かれた台本を吸い込もう
とするところを小百合がキャッチする。
千春「なにしてるの!あなたも吸い込まれ
る!」
自分の台本が吸い込まれそうになってるのに気づく千春。風圧で2つ
に破れる。
千春「なんで」
ゴミジヘン、吸収を諦める。
ゴミジヘン「そろそろ諦めて青春を吸収されろ!」
小百合「遥を元に戻してもらうまで許さない!」
ゴミジヘン「許してもらうつもりもない!お前らもゴリラにしてやる!」
ゴミジヘンの攻撃を回避する2人。
小百合「もうその手には乗らないぞ!」
ゴミジヘンの隙をついて攻撃をする二人。ボコボコにする。
ゴミジヘン「女子高生二人の攻撃痛い!」
倒れるゴミジヘン。
千春「遥さんを元に戻して!」
ゴミジヘン「分かった!これで許してくれるか?」
元に戻る遥。
遥の声「直った!」
ゴミジヘン「これで許された!じゃ!」
小百合「は?んなわけないじゃん」
千春「あなたをここでぶちのめしますわ!」
ゴミジヘン「は、話が違う!」
小百合「最初に言ってたはずだけど?」
小百合・千春「お前を絶対許さないって!」
ゴミジヘン「ひぃ!」
小百合と千春の攻撃で壁にめり込むゴミジヘン。
千春「一気に決めますわよ!」
小百合「一気に?どうやって?」
千春「そうですわ!2人でキックをしましょう!」
小百合「キック?」
千春「ええ!2人でキックすれば敵は爆発します!医大を目指して二浪して
いるお兄様の好きなヒーロー番組でやってました!」
小百合「二浪もしてるなら間違いない!」
ジャンプし、上空からキックを決める小百合と千春。
小百合・千春「ダブル・キーック!」
2人のキックがゴミジヘンに命中する。
ゴミジヘン「ちゃんとゴミはゴミ箱にー!」
爆散するゴミジヘン。
小百合「終わった……」
笑いあう小百合と千春。
〇宇宙船・内(夕)
小百合と千春とポップルがいる。
小百合「あれ?なんでここに?」
ポップル「僕が強制転送させたっプル」
ポップルに気づく小百合と千春。
小百合「あんたは!」
ポップル「あんたって名前じゃないっプル。僕は宇宙警察地球課に配属され
てる刑事ポップルっプル」
気づくポップル。
ポップル「あ、変身解除!忘れてたっプル」
元の制服姿に戻る小百合と千春。
千春「元に戻りましたわ」
ポップル「お疲れ様っプル」
小百合「で?色々教えて貰おうじゃないの?ねえ?」
ポップル、コホンと咳払い。
ポップル「奴らは迷惑団。この地球を自分たちの住みやすい世界に変えよう
としている連中っプル」
小百合「迷惑団……?」
千春「分かりやすい悪ですわね。これまでどんな事をしてきたんですの?」
ポップル「パラレルワールドの話になるっプルけど……」
小百合「パラ?レル?」
千春「並行宇宙、こことは時空や次元が違う場所の事ですわ」
小百合「ってことはその別の地球でも私たちみたいに戦ってたって事ね」
千春「クウガがいる地球もあればキバがいる地球もいるって事ですわね」
小百合「?」
ポップル「兎に角そいつらから地球を守ってくれって事っプル。お願いっプル」
頭を下げるポップル。
千春「これ以上犠牲者を出さないために!私は私の好きを守るために!」
小百合「誰かの好きや努力を否定する奴は許せない!」
ポップル「よかったっプル。これで僕の責任問題を問われて地球パトロール
という楽な仕事を辞めることも無くなったっプル」
小百合「ちょっと!自分の保身のために私たちを利用したって事?」
ポップル「じょ、冗談っプル!ちょっと口が滑っただけっプル!」
小百合「言ってんじゃない!」
千春「そんな事よりその迷惑団ってのは並行宇宙でどんな悪さをしてきましたの?」
ポップル「そうっプルね。銀河温泉化計画とか有名っプルね。火星を地熱温泉、水星を足湯に変えたりして銀河を有数の温泉街に変えようとしたっプル」
戸惑う小百合と千春。
千春「なんだか次元がよく分からない話をされてるわね」
ポップル「兎に角何とかしないといけないっプルよ!」
×××
小百合「まぁともかくこれでひと段落ね」
ポップル「それじゃ元の地点に戻すっプル」
消えていく小百合と千春。
〇大山高校・体育館・内(夕)
小百合と千春が降りてくる。
遥の声「小百合~!」
元に戻っている遥と場内。遥がやってくる。抱きしめあう小百合と遥。
遥「それにしてもどこに行ってたのさ!」
小百合「ま、まぁそれはいいじゃない」
遥「千春ちゃん、ごめん!」
千春「え?」
遥「あんな事言ってしまって。私、この役と共に生きるから!」
去っていく遥。
小百合、破かれた台本を見つける。台本に近づき、拾っていく。
千春「何をしてますの?」
小百合「台本、元に戻るかなって」
千春「もういいんですの」
小百合「よくない!」
千春「いいんですの!」
小百合「よくないって言ってるの!意地張るな!馬鹿!頭固いな!」
小百合、台本を集め終わる。
小百合「この台本、沢山の蛍光ペンの鮮やかなインクやボールペンのインク跡がある。それだけ頑張ったって事でしょ?私素人だけどわかるよ。この情熱」
千春「え?」
小百合「好きだから頑張れた、だよね?だからこんなに……」
千春「この作品は女の子同士の友情を描いた作品なのです、お姫様を迎えに来た王子も女の子で……。おかしな作品でしょう?」
泣きながら笑う千春。
小百合「それでも!その努力を本人が無下にしたらだめだよ!」
小百合、千春に集めた台本を渡す。
小百合「本番、絶対見に来るから!」
去ろうとする小百合。
千春「待ってくださいまし!」
振り返る小百合。
千春、小百合の額にキスをする。
小百合「ち、ちょ!」
千春「私の留学先では感謝の形にキスをするんですの」
顔を真っ赤にする小百合。
ニコッと笑う千春。
千春「私は千春、花澤千春ですわ!」
2話
3話