「エレクトリックボルタ!」 第2話
〇高校 2年3組・内
授業を受けている小梅。
ぼーっと外を見つめている。
小梅Ⅿ「ジェナスという異次元人との戦いから二週間。町は元に戻りつつあ
る」
ボルタとジェナスとの戦いを思い浮かべる小梅。
小梅Ⅿ「ジェナスは倒されたけどブラックホールが発生して一真と准さんは
それを追うようにブラックホールへと消えていった」
ため息をつく小梅。
小梅Ⅿ「一真、あなたは今何をしているの?」
〇どこかの惑星のジャングル
悪党からエルフを庇う一真。
一真「早く逃げな、いいですよね准さん!」
准「敵は財団クラフトだ!、構わん、思い切りやれ!」
ボルタドライバーを取り出す一真。
浅原「覚悟決まり、ガンギマリって奴だ!」
腰に装着する一真。
一真「チェンジ!ボルタ!」
エレクトリックボルタに変身する一真。
ボルタ「ここからはヒーローの時間だ!」
悪党「ちょこざいな!」
ボルタ「お前チョコが好きなのか!」
頭を抱える准。
准「そういう意味じゃない!」
ボルタ「え?そうなの?まあいいや、ぶっ潰す!」
ボルタと悪党たちが戦闘に入る。
一方的にボルタが悪党たちをコテンパンにする。
ボルタ「一気に決める!ライトニングインパクト!」
必殺技のライトニングインパクト(体中が電気の塊の丸となり、敵に
スパークする技)がさく裂し、爆散する悪党たち。
ボルタ「こいつで終わりッと」
准「よくやった」
変身解除するボルタ。
浅原「もうちょっと粘ってくれないとさ、俺が虐めてるみたいじゃんか」
エルフ「あ、ありがと」
一真「(にっこり笑って)どういたしまして」
准「とりあえずエルフ狩りも止めたことだし、他の世界へと移るか」
浅原「財団クラフト、様々な世界を股にかけるこの世界を裏で操る闇の組織
か」
准「ようやく覚えてきたじゃないか」
浅原「まぁこれだけ言われたら」
准、タブレットを取り出す。
准「一真、次の世界に行くぞ」
浅原「次で9つ目。世界を救うって大変だなぁ」
准「文句を言うんじゃない」
准と浅原、ブラックホールを発生させて次の世界へ向かう。
〇バイクワールド
バイクワールドに降り立つ浅原と准。
上空をみあげる浅原。
バイクが上空を飛んでレースをしている。
浅原「なんじゃこりゃ!」
准「ここはバイクワールド。バイクですべてが決まる世界さ。ヒーローにはバイクが鉄板だろ?」
浅原「でもボルタってバイク持ってましたよね?ボルタバイク」
准「あれ最終回で壊れるんだよ」
浅原「ネタバレ辞めて!」
准「テレビ版の話は俺がいっぱいしてやるから。さ、バイク買いに行くぞ」
浅原「聞くのと見るのじゃ違うんだって!」
〇バイク屋
ゲント(51)が立っている。数台のバイクが並んでいる。
浅原と准がやってくる。
准「お久しぶりです、ゲントさん」
ゲント「例のだろ、できてるよ」
奥へと案内される浅原と准。
〇同・奥
一台のバイクが置いてある。
浅原「これは?」
准「エレクトリックボルタの新たなバイクだ」
ゲント「お前の要求は全部飲んだつもりだ。文句は無いだろ」
准「さすがゲントさん。素晴らしい出来だ」
ゲント「小僧が今のエレクトリックボルタだろ?またがってみろよ」
浅原「分かりました!」
バイクにまたがる浅原。
ゲント「名前はどうする?」
浅原「そうですね、そうだ!ストライカー!エレクトリックストライカ
ー!」
准「お前にしてはいいネーミングじゃないか」
浅原「今日からお前はエレクトリックストライカーだ!じゃあ試乗に」
准「クラフトの奴らが動き始めた。このまま追うぞ」
浅原「少しは休ませてくれよな~」
准、浅原の後ろに乗る。
准「ゲントさん、また」
100万円札を置く准。
准「釣りはいらないです」
浅原Ⅿ「今思うとちゃんとバイク屋でバイク買うヒーローって見たことない
なぁ」
ブラックホールを発生させて違う世界へと向かう浅原と准。
〇ケモナーワールド
ケモミミをつけた住民たちが街を歩いている。
エレクトリックストライカーに乗った浅原と准が到着する。
周りを見る浅原。
浅原「エルフの次はケモか。世界は広いなぁ。というか本当にいるとは」
准「驚嘆してる暇はないぞ。さっさと仕事を済ます」
浅原「今回も誘拐?」
准「ああ。財団クラフトの奴らは様々な種族を集めて何かしようとしてるら
しい」
浅原「少しは悪知恵を減らして休みが欲しいもんだね、全く」
准「悪が滅びるまでは我慢するんだな」
浅原、ボルタドライバーを見つめる。3本の電池が点灯する。
浅原「まだ充電完了してないですね」
准「3分で出来る事をすればいい」
浅原「そうは言っても」
准「俺たちは仏でも神様でもない。届かない願い、救えない命もある」
浅原「そうですけど」
准「だから今できる事をするしかない。それがヒーローだ」
浅原「分かってるけどどうも脳が拒否るんだよなぁ」
准「俺も最初はそうだった、悩めばいい。とことんな」
浅原「悩む、ねぇ」
キャーという悲鳴が聞こえる。
獣人数名が目の前の銀行から出てきて車に乗り込む。獣人の脇に人質
が抱えられている。
浅原「試運転兼実戦だ、行くぜ!エレクトリックストライカー!」
准、GPSを車に投げて取り付ける。
准「距離をとってバレないように追跡しろ。奴らを泳がせる」
浅原「了解!」
〇廃工場
車が置いてあり、獣人3名が銃を持って立っている。後ろには人質の獣人パルコ(10)が椅子に縛られている。口にはガムテープが。
獣人A「こんな所でガス欠なんてなぁ」
獣人B「油はどこに売ってるんだよ!」
獣人C「(スマホをいじりながら)ここから結構遠いな!」
浅原の声「その必要はないぜ!」
獣人A「なんだ!」
浅原と准が現れる。エレクトリックストライカーに乗って壁をぶち破
って現れる。
獣人B「何者だ!」
浅原「俺はどこにでもいる平和主義者さ」
獣人A「そんな奴が何の用だ」
浅原「悪事を見ちまったからさ」
獣人A「ふざけたことを!」
准「こいつら、多分財団クラフトだ!」
浅原「お前ら財団クラフトなのか?」
獣人A「そう簡単に答える奴がいるか!」
浅原「まぁそれもそうか」
獣人A、手に持ったスイッチでボタンを押す。戦闘員が多数現れる。
胸にはBの文字が。
浅原「ビンゴですね、准さん」
准「一気に蹴散らすぞ!」
戦闘員と戦闘に入る浅原と准。
浅原「ちょっと数多い気がするなぁ」
准「弱音を吐くな!」
浅原「ちょっとの愚痴位許してほしいんだけどなぁ」
戦闘員を蹴散らす浅原と准。
獣人B、Cが浅原と准に襲い掛かる。
准「一気に畳みかけろ!」
浅原「よしきた!」
ボルタドライバーを取り出し、腰に装着する浅原。
浅原「チェンジ!ボルタ!」
ボルタに変身する浅原。
ボルタ「エレクトリックボルタ、か弱き者の涙に熱き電流を流す男ってとこ
ろかな」
獣人C「エレクトリックボルタってあの!エルフの森で暴れまわったって
の!」
ボルタ「お!俺の名前も少しは知られてきたようだ!嬉しいねぇ!」
獣人B、Cと戦闘に入るボルタ。
ボルタ「3分でケリつけるぞ!」
素早く攻撃をかわされ、時間だけが過ぎていく。
ボルタドライバーの電池が1になる。
ボルタ「この手にかけるしかねえ!」
獣人B、Cが一気に並ぶ。
ボルタ「今だ!ライトニングインパクト!」
ライトニングインパクトの閃光が獣人B、Cを駆け抜け、爆散する獣
人B、C
准は人質になっているパルコのガムテープをはがす。
准「もう安心しろよ」
ボルタ「残るはあんただけだ、どうする?」
獣人A「俺には奥の手がある!」
注射器を取り出し、それを打ち込む獣人A。化け物へと姿を変える。
ボルタ「嘘だろ!」
ボルタを一蹴する化け物。
パルコ「お兄ちゃん!」
泣き出すパルコ。
変身解除するボルタ。浅原に戻る。
浅原「子供泣かすなんて俺もまだまだヒーローとして未熟だな」
ため息をつく浅原。はぁはぁと息が切れている。
化け物「人の心配してる場合か?」
浅原「してる場合だね。俺はエレクトリックボルタ、正義のヒーローだから
な」
化け物「ふん!随分と余裕じゃないか」
浅原「なぁ、教えてくれよ。財団のクラフトの真の目的ってやつをよぉ」
化け物「知ってどうする。貴様は今から死ぬのだぞ?」
浅原「冥途の土産が無いと死ぬに死ねないんだよ。神様に会うんだぜ?あ、
俺日本人だから仏か?」
化け物「訳の分からん事を!死ね!」
化け物が浅原に接近して止めを刺そうとする。
浅原「今だ!」
化け物の懐に入り込む浅原。
浅原「チェンジ!ボルタ!」
ボルタに変身する浅原。
ボルタ「ライトニングインパクト!」
必殺技のライトニングインパクトがさく裂する。
化け物「なんだとぉ!」
化け物が獣人Aに変わる。ボルタも変身解除し、浅原に変わる。
ボロボロのボルタドライバーが映る。
獣人A「何故?エネルギーは使い切ったはず!」
浅原「2分。お前と2分喋った瞬間逆転のイマジネーションが見えたんだ
よ」
獣人A「何だと?」
浅原「ボルタのエネルギーは1分で1秒動けるようになる。だから2分尺を
稼いで1秒で変身、1秒で必殺技を打った」
獣人A「そんなバカな!」
浅原「ああ、馬鹿だよ。偏差値高い奴が出来る芸当だとはとても思えねえ」
浅原Ⅿ「やば!もう限界!」
笑いながら倒れる浅原。
准「一真!一真―!」