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保護猫の寄生虫の検査について
【質問】
保護してすぐの便検査では特に異常が見られなかったのですが、
最近少し便がゆるいように思い検査したところ、
マンソン裂頭条虫が寄生していると…。
完全室内飼育で食べ物も猫用ドライフードのみです。
推定5歳の頃に飼い始めて2年、体重は順調に増えていて、まさか寄生虫がいるなんて思いませんでした。
検査で見つからないこともあるのでしょうか。
便検査は直接法と明細に書いてありました。
猫を保護した時、便検査はどれくらいの期間にどれくらいの頻度で行えば正確な結果が得られるのでしょうか。
【回答】
マンソン裂頭条虫が見つかったとのことで、大変驚かれたと思います。
寄生虫の中には、
「便検査で見つけにくい種類」 があります。
条虫類(猫条虫、瓜実条虫)
原虫類(ジアルジア、トリコモナスなど)
これらは、院内での便検査での検出率が高くありません。
検査時に見逃されることも多いです。
また、「検査方法」によっても検出率が異なります。
直接塗抹法:検出率は50%以下とも言われます。
一度の検査で見つからないことも多いです。
浮遊法
↓
ELISAキット
↓
PCR法
↓
の順で、精度が高くなりますが、100%ではありません。
たとえば、検査の精度が95%の場合でも、
20頭に1頭は、誤判定が起こる可能性があります。
▶ 便検査の頻度について
猫を保護した際の寄生虫検査は、
以下のように行うことをおすすめします
保護直後:まず1回目の検査を行います。
その後2〜3週間ごとに再検査:3回程度繰り返すことで、寄生虫が見つかる確率が高まります。
定期検査:特に症状がなくても、年1〜2回程度の便検査を行うことで、健康状態を確認できます。
▶ 寄生虫対策としてできること
繰り返し検査を行う
月に1回程度の便検査を繰り返すことで、見逃しを減らします。定期的な駆虫薬の投与
寄生虫が確認されるかどうかにかかわらず、定期的な駆虫薬の使用が予防効果として有効です。複数の検査法を組み合わせる
「浮遊法」や「検査キット(Snapジアルジアなど)」、「PCR検査」など、より検出率の高い方法を取り入れることで精度を上げることが可能です。
【参考文献・サイト】
Enteropathogens identified in cats entering a Florida animal shelter with normal feces or diarrhea
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22812469/
スナップ・ジアルジア(IDEXX社サイト)
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