修士研究の終わりに際して
昨日,Augmented Humans 2021において,修士の間主に取り組んできた研究の発表を行いました.修論の研究でもあったので,これにて無事に修士の研究活動を終えることができたと思います.
本研究の説明
本研究は,人間の目の収差によってホログラフィックニアアイディスプレイで表示した画像が歪んでしまうことをどうやって補正するか,ということに焦点を当てた研究です.
※目の収差というのは,いわゆる近視・遠視・乱視などを引き起こす目の歪みのことです
※ホログラフィックニアアイディスプレイというのは,ホログラフィックディスプレイ(ホログラム原理に基づくディスプレイ)のニアアイ版(VR/ARデバイス)のことで,2017年にMaimoneらが呼称し始めたことで一気に広がったものです
目の収差の補正に関する研究はこれまでにもありますが,
- どうやって実際にユーザーに補正を調整してもらうか
- それにそもそも本当に収差補正はユーザーに対して適切にワークするのか
というところから被験者実験を含め検証を行った流れとなっています.
本研究への思い入れ
時は遡り,ホログラムというものに対して憧れをぼんやりと抱き始めたのは小学生の頃の話です.
それから時を経て,筑波大への編入のきっかけになったのもまたホログラムでありました(当時はHololensの製品コンセプトムービーが公開された時期であり,この動画もまた1つのきっかけとなっています).
しかしながら,筑波大に編入してからの最初の2年はホログラムに傾倒することはなく,光やマテリアルといった観点に焦点を当てながら日々研究したり趣味・創作をしていました.
修士に上がるタイミングで,研究の方向性を考える時に,ニアアイディスプレイ(VR/ARデバイス)のようなちゃんと光学的なものをやりたいというような気持ちもあって研究テーマを決め,色々な紆余曲折を経ながらここにまで至ることとなったわけです.
全てにおいて,一から勉強するところから始まったので,時間はかかりましたが,自分で初めてホログラフィックニアアイディスプレイを設計できた時の達成感は一入でした.
そしてホログラムの勉強・実装にあたってはこの本なしには何もできなかっただろうと心底思います.
小さい頃に憧れた技術のものを自分の手で動かして,研究成果にまで持って行けたことは,人生の1つのやりたかったことを達成できたようで,とても嬉しい限りです.
修士の生活の簡単な振り返り
修士の間は当たり前ですが専らずっと研究してました.
多分研究活動と相性は悪くないんだと思います.でないと,こうも長くは続かなかったことでしょう(かれこれ少なくとも4年経つわけですから).
自分自身の感覚で言えば,中学受験に向けてひた走っていた小学5~6年生あたりの感覚に一番近いです.
「こうしたらどうなるだろうか」「これをやったらこうなるかな」
といったピュアな知的好奇心が根っこにあって,それを永遠に繰り返しているのが小学生の受験勉強当時であり,そして今の研究活動そのものなのです.
修士期間を通じて
- 主著・共著論文の採択
- 研究予算の獲得
- 特許出願
- 授業成績,TA/RA
- R&Dアルバイト
とやれるだけのことは全部やってきたと思います.
もっとできただろうってこともあるし,思わぬ収穫があった所もあります.
一応,卒業段階で研究科長賞をもらえるっぽいので,最低限頑張ってこれた分だなと,少しだけ自分を認めてあげようと思います.
これから
さて修士が終わり,その先はとなるわけですが,その先は博士課程です.
ここまで来て,逆にようやく入口みたいなものですね.
筑波に来てから4年が経とうとしています.本当に色々なことがありました.
その全てが自分の血となり肉となっているわけです.
少し専門的なことができるようになると,できそうなことがたくさん見えてきて,ついついそれをやってしまいそうになりますが,それをやっちゃあお終いだと思っているので,好きなこと・やりたいことに回帰して,自分なりの研究領域を開いていきたいと思います.
そんな博士3年間にしたいなと思っています.
(最後の要約は上のtweetを受けてのある研究者の要約を引用しております)