「消す」ことをうまく使える企業が伸びる理由
友人の川本さんと、SNSの使い方がうまい企業はどこがあるか、という話をしていたときに、中目黒のある食器屋さんの話になった。(あとで調べてみると、食器屋さんではなく手仕事の品の展示・販売の店であることがわかった)
ここのインスタは、「毎月」見たくなるワケ
SMLという店だけど、インスタをのぞいてみるとこんな感じだ。
どうでもいい話だけど、川本さんは料理をつくるが好きなメンズなので、好きな食器をさがすのにもアンテナを立てている。そんな中、中目黒で和の器をあつかっている店を検索して、この店を見つてまず初めて行ってみた。
ネットで見た印象どおり、自分好みの品々がならんでいる。ただ予想とちがったのは、ここで置いている品々は1ヶ月ごとに「入れ替わる」らしい。全国に作家さんとのつながりを持っていて、展示する作家さんの作品は期間限定になっている。
ネットでの販売もやっておらず、実際に店に足を運んで買うしかない。川本さんは、この”店のセンス”が気に入ったので、その月ごとに展示される作品がどんなものかを確認するために、インスタをフォロー。その日はなにも購入せずに終わった。
その後インスタでの更新される情報を見ていて、別の月に扱うことになった作家さんの作品をがいいなと思って再来店。つぎは、商品を買って帰った。
訪問しなければならない「理由」をつくる
川本さんは、いち顧客として”体験”したこの流れを通して、SNSの活用法として大事なポイントを再確認したと話していた。それは、「訪問しなければならない理由」がきちんとつくられてるか、だ。
上のSMLという店には、インスタで更新されている情報を、月に一回は見にいかないといけない理由があるし、いい商品があれば店に来店しないといけない理由がある。いつでも同じ商品が展示されていて、いつでも買えるわけではないからだ。
消えるコラムが生む効果
最近「ほぼ日」という企業のことを調べる機会があって、IRの決算説明会資料を読んでいて、手帳の売上推移のページを見てすごいなと思った。
ここまで右肩上がりに日用品が売れ続けているということは、商品の機能性以外の秘密があると思った。機能面が買う理由だとしたら、比較されるし、もっと流行り廃りが生まれるはずなので。
だからツイッターでその問いを投げてみると、こういう回答があった。
そう、「今日のダーリン」というコラムは、その日に消えてしまう。だから、ここでも『ほぼ日刊イトイ新聞』のページを見にいかないといけない理由がある。「ファン化」が先に、あり「購入」が後、という流れをつくる仕組みがあることが分かった。
もったいないからこそ消す
売り手としても、せっかく生産した「情報」を消すことや、つくった商品を期間限定じゃないと買えないようにするのは”もったいない”。だからなかなか「消せない」。でも勇気をもって、お客さんにとって”価値あるもの”を生み出し、それを自ら消すことで、常に「新しさ」を提供できることになる。新しさが、行動を生み出す。
ぼくはときどき、Facebookでライブ配信をするが、以前は配信した動画をアーカイブとして残していた。”いい動画”を消しちゃうのが、もったいないからだ。でも配信直後に消すようにしてから、視聴者数は倍ぐらいになった。
桜が一年中咲いてたら、お花見をする人はそんなにいないだろう。多くの企業がリピートに悩む中、「消す」ことによって生まれる「限定性」をいかにつくるか、という視点は課題の解決策に間違いなく役立つ。
あなたの企業は、勇気をもって何を消しますか?
ぜひ、一度考えてみてくださいね。
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