【会食恐怖症】「飲み込めない」の1番の解決法
「山口お前、昼飯、(ノルマの量)食ってなかっただろ!」
「普段食ってないから、こういう時に食えないんだ!」
高校の野球部だった時に、かなりの剣幕で顧問の先生から言われた言葉。
今もその時の情景は、脳裏にこびりついている…。
一般社団法人 日本会食恐怖症克服支援協会という、長い、なが〜い名前の法人を立ち上げて、約8年。
当事者経験から、会食恐怖症の克服支援に関する支援をずっと続けています。
おかげさまで、本を複数出版したり、など有名なTV番組に出演したり、最近では国内だけではなく、海外のメディアからも取り上げていただくなど。
少しずつ「会食恐怖症」の認知度の拡大に、貢献できているのかなと思います。
そんな中、会食時のに起きる1番多い悩みとして「飲み込めない」というのがあります。
これは、「お腹がいっぱいで、もう食べられなくて飲み込めない」というものではありません。
会食の場面で不安や緊張が強すぎて「ひと口目から飲み込めない」という、当事者経験がないと、あまり理解ができない、でも、かなり深い悩みです。
そこで今回は、当事者として悩んでいる方や、当事者のことをよく理解したい方に向けて「飲み込めない」という症状についての解説や、その解決法について書いていきたいと思います。
解決するには「逆転の発想」がとても大切なので、ぜひ以下より記事を読んでみてください。
きゅっと喉が閉まるような感覚に
私自身、当時は「吐き気」と「口に入れても飲み込めない」という症状に悩んでいました。
私の場合「きゅっと喉が閉まったような感覚」になって、食べ物が食道や胃に入っていかないような感じでした。
他の当事者の方の話を聞いていると「喉に蓋がされた感覚」とか「喉に誰かいる感じ」とか「喉に異物感がある感じ」とか。そういう表現をする人もいます。
当事者経験がないと、あまり理解できない感覚かもしれません。
では、なぜ、こうなってしまうのか。
そして、どうすれば解決できるのか。
まず、その結論からお伝えすると、
・なぜ、こうなってしまうのか?→不安や緊張が強くなると、交感神経が優位になり、飲み込みに必要な喉周りの筋肉が硬直して、飲み込みがしにくくなるから。
・どうすれば解決できるのか→食べられなくてもいいや、飲み込めなくてもいいや、と思えるようになる
ということになります。
でも、これを読んだときに、
「いやいや、ちょっと待って。食べられなくてもいい、飲み込めなくてもいいなんて…。一体、どういうこと?」
そのように感じる人が多いかもしれません。
ですから、より詳しく解説していきます。
どうして、食べられなくなるの?
まず、どうして、食べられなくなるのかについて、もう少し深掘りしていきましょう。
そもそも、割と勘違いされがち?なところでもあるのですが、会食恐怖症に悩む方は、食べたくないわけではないのです。
「美味しく食べられたり、たくさん食べられるなら、食べたい!」
「だけど、身体が言うことを効かずに、食欲が湧かないし、(先の飲み込めないというような)身体症状が出てしまって食べられない!」
…そういう方がほとんど。
そのようになってしまう理由を、もう少し深く解説していくと、
それは、その人の中に「食べなければいけない」などの前提が、何らかの過去の出来事などの積み重ねで、出来上がっているからです。
⭐︎分かりやすくプロセスを分解すると、
「食べなければいけない」という前提があるほど
↓
「食べられなかったらどうしよう」「頑張って食べないと」と思うようになり、
↓
不安や緊張も高くなり…
↓
「飲み込めない」などの身体症状が起こる
という流れで症状が出ます。
これが仮に、
「無理して食べなくてもいい」という前提の場合。
「食べられなくても、無理せず残せばいい」と思えるので、食べられないことに対して、そこまで不安や緊張が高くなることはありません。
だから「飲み込めない」などの身体症状が起こることも、ありません。
それゆえ私は、書籍や講演会などあらゆるところで「食べられなくてもいいと思えるようになるための、行動をすることが大切」と伝え続けてきました。
会食恐怖症の当事者同士が集まる場所に「食べなくてもいいカフェ」という名前をつけたのも、そういった背景もあります。
ちなみに「食べられなくてもいい」と思えるようになるために、“あえて残してみる練習“をオススメすることがあります。
「残しても大丈夫だった!」という経験が、「無理して食べなくてもいい」という考えに変わることに繋がり、結果的に美味しく、楽しく、食べられる未来にも繋がるからです。
食事中に何を意識したら、症状がおさまるか
さて、ここまで「食べなければいけない」という前提によって「飲み込めない」などの身体症状が起きること。
解決するためには「食べなくてもいい」とか「飲み込めなくてもいい」という前提を持てるように変わる行動(例:「あえて残してみて大丈夫だった」という経験をする等)が大切という話をしてきました。
…とはいえ、すぐにそう考え方が変わるわけではありませんよね。
実際、考え方を変えるには最低でも3ヶ月間の意識的な取り組みが必要だと言われています。
ですから、ここからは、
「実際の食事の場面で、どうしたら不安が軽減されて、飲み込めないなどの症状が出にくくなるのか、今日からできること」
についてを伝えていきます。
もちろん、薬を飲んで症状を抑えるという内容ではなく、誰でも今日から意識してできる内容です。
オススメの方法1.とにかく会話に集中しよう
かなり多くの人にアドバイスをしてきて「効果がありました!」と言っていただけるのが、「食べることではなく、会話をすることに集中する」というものです。
なぜなら、食べることに意識を向ければ向くほど「食べなければいけない」とより緊張する一方で、話すことに集中すると注意が会話に向いて、不安や緊張が落ち着くからです。
そして、人が感じる不安のピークは20~30分までという研究結果があります。
長くても30分を過ぎると、だんだん症状も落ち着いて、食欲が湧いてくることもあるので、まずは「目の前の人と会話を楽しもう」くらいの気持ちで、過ごしてみてください。
オススメの方法2.ひと口食べて「美味しい!」と声に出す
もう一つオススメの方法は、ひと口食べて「美味しい!」とか「うまい!」とか、とりあえず言ってみるという方法です。
会食恐怖症の方は、周りの人に「食べられなくて心配されたり、指摘されたらどうしよう」という不安が大きい人も多いはずです。
その時に、たとえば暗い表情で無言でいたら、やっぱり周りの人も心配になりますよね。
だから、ひと口食べて「美味しい!」とか「うまい!」とか言うだけでも、周りに「楽しめてるな」と伝えることができるので、やってみるのがオススメです!
最後に
この記事では「飲み込めない」の解決法について、考え方の部分に焦点を当てて、お伝えしてきました。
他にも、筋弛緩法(体にグッと力を入れて、脱力するを繰り返す)や、深呼吸を3分繰り返すなども実際に、飲み込みが楽になる効果のある方法です。
ただ、今回の記事で考え方に焦点を当てたのは、やはり克服には「食べられなくてもいい」と思えること。もっと言えば「食べても、食べられなくても、私の価値は揺らがないし、私には価値がある」という感覚を持てるようになることこそが、必要だからです。
この記事だけでは、説明不十分なところもありますので、もっと深く知りたいという方は、以下のような書籍も読んでみることもオススメします。
▼「会食恐怖症って何?」等、わかりやすく知りたい方向け
▼「会食恐怖症を克服するための具体的な手順を知って歩み出したい方向け
また「会食恐怖症の当事者の皆さんと話してみたい」という場合は、食べなくてもいいカフェにぜひご来店ください。(オンライン開催もあります)
今、運営しているオンラインコミュニティはこちらから。
個別的なサポートを受けたい方や克服のためのプログラムに参加したいという方は、お知らせを公式LINEなどでも配信していますので、そちらに登録しておくと、お知らせが届きます。
それでは、お読みいただき、ありがとうございました!
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