バラナシの女性
(性表現を含みます)
ワタシは後年、ひょんなことから博士課程まで行ったけれど、当時は高校中退のリッパな中卒でインドへ行ったの。
1か月あったけれど、行った都市は3つだけ。のんびり派はそのころから。
初めのカルカッタ、タージマハルのあるアグラでもうコツはつかめたから、ガンジス川のほとりのバラナシでは、中心街のダサーシュワメートは避けて北のはずれの宿にしたわ。
日本人が群れている宿やレストランはイヤだったから。
そこでは2人しか日本人はいなかった。
30代くらいのひっつめ髪のお姉さんと40代くらいの年季の入ったオジサンのバックパッカー。
2,3日は3人でガンガーって呼ぶガンジス川を眺めながらビールを飲んでいたけれど、オジサンは「君は長生きしそうにないな」、「老けた顔が想像できないから」ってイヤな言葉をのこして去っていった。
デキていたのね。
お姉さんはワタシに乗りかえたの。
「アナタ、モテると思ってるでしょう?」
「まぁ、それなりに」
「ハハッ」
30代って書いたけれど、27,8だったかもしれない。当時、17のワタシの目で見たのだから。
お姉さんは化粧はまったくしていないのに彫刻みたいに目鼻立ちがくっきりしていたわ。
あのときにひっつめ髪をほどくと、とたんに妖艶になるの。
「セックスの経験は?」
「ありますよ、ふつうに」
「ふーん、ふつうに、ね」
ワタシはこの人に会うまで「ほんとうのセックス」を知らなかった、と言っていいわ。
初めての晩。
「今のがセックス?」
たじろいたわ。
「どういう意味ですか?」
お姉さんは、
「はぁーっ」
と大きくため息をついて、
「若いんだから2回できるでしょ?」
「一休みしたら、私がセックスを教えてあげる」
信じられなかった。
指だけで、こんなに感じるなんて。
口もやわらかく触れられるだけなのにビクッとするほど。
「次はアナタの番よ」
これには時間がかかった。
バラナシには2週間も滞在することになった。
1か月で3都市はお姉さんのせいでもあるの。
女性のカラダのどこをどうするのか。
前戯だけで30分はかける、1時間におよぶこともあった。
ワタシの指と口でお姉さんが、悦びの声をあげてくれるまで5日はかかったわ。
挿れても、ただ腰を振るのはサルでもできるってお姉さんは言ったわ。
右左左三、うさささん、ウナギの川のぼり。
今でいうスロー・セックス。
抜いて焦らす、また口をつかう。
抜いたモノを口にふくむのは今までの高校生の彼女などは「汚い」と嫌がったろう。
お姉さんはコンドームも使わなかった。
「あんなモノを使わなきゃいけない、信用できない相手に自分のカラダの中を刺させられるの?」
「それならはじめからしなければいいじゃないの」
お姉さんの言い分だったわ。
ほんとうは1週間ずつで4都市、あと1つ、ブッタガヤに行こうと思っていたけれど、釈迦が悟りを啓いたその街に行かなかったのは、こういう事情だったの。
コンドームに関しては意見が分かれるけれど、ワタシも場合によっては使わないこともある。17でバラナシのお姉さんに教わったから。
その代わり、性病検査はキチンとするわよ。