カットを始めたスタッフにまず伝えるカット理論をすこし
前回道具の記事が好評でした。ありがとうございます。
切り方は人によってそれぞれいろんな正解があるから束縛するような記事にはしたくないけれど、僕のカット理論についてすこしふれておこうと思う。
その前に前回の記事も合わせて読んでいただけたら嬉しいです。
まず大前提がサロンスタイルを作るための理論である。
安定したヘアスタイル(製品)を時間内に提供するのを目的としている。
サロンワークにおいてヘアスタイルはお客様のために作るのであって、芸術家きどりで作品を押しつけてはならない。
ちなみに製品を作る時と作品を作る時はプロセスが全然違う。
製品はゴールに向かって逆算して作るのに対して、作品はゴールを探しながら試行錯誤しながら作る時が多い。
わかりやすくするためにお客様のヘアスタイルを製品扱いしてごめんなさい。どれも気持ち込めて作っていますので。
さて、カット理論だけれども図を使わず説明していきます。(無理がありそう!)
3+2の法則。
アンダー、ミドル、トップの3セクションと前髪と顔まわりの2セクションで考えている。
アンダーは長さのセクション。(耳周りや襟足の生え際から5センチくらいの幅)
「長い」「短い」「伸びた」「短くなった」などを長さに対して感じるセクションである。
切りすぎたくないなという人にアンダーを切ってはいけないし、すっきりサッパリ短くしたければ逆にアンダーをしっかり短くしなければいけない。
ミドルはサイズのセクション。(ハチ下からアンダーの間の部分)
洋服のS、M、Lサイズのようにボリュームを調整する。
頭を大きく見せたいのならミドルの毛量は減らさず、強いパーマをしてボリューミーにすればいいし、小顔に頭小さく見せたいのならミドルの毛量は十分に取って調節する必要がある。
トップは質感(デザイン)のセクション。(ハチ上の部分)
「ふんわり」「サラサラ」「束感がある」「触り心地」など質感や見た印象を作るところで、トップをどう見せるかが美容師さんの色が出るところだと思う。
アンダー、ミドル、トップと層を作っていった最後に各セクションとのバランスを考えながら表現するところ。
そして前髪と顔まわり。
トップと同じくデザイン性が激しく問われるところであり、お客様から直接見えるところ。小顔に見せたり綾波レイのような顔まわりにしたりもでき、似合わせとデザインそのものなのでそれ以外言いようがない。
ヘアデザインするということは3+2のセクションをパズルのように組み合わせお客様に満足していただけるようにカスタムしていくことで、引き出しを増やすという事はパズルの勝ちパターンをたくさん持つことだ。
そして感覚でカットしているように思われがちだけれど、3+2の法則のように一定の理論に沿ってやっているから繰り返しやっていくことでどんどん精度が上がっていく。結果、短時間で仕上がりも良くなってお客様に喜ばれる。
僕のカット理論はどこの髪がデザインに対してどう影響しているかを正確に把握するためにセクション毎に区切るというのが基本的な考えの上で成り立っていて、そのセクション内で不必要なカットは1切りも必要ないと思っている。
美容師さんにとっては当たり前の話かもしれないけれど、カットの練習をはじめたスタッフに最初に教える事。こういう考えで一人一人デザインしてるから知ると見え方変わって面白いよって伝えている。それがお客様にもわかる形で伝わってヘアデザインをより楽しんで欲しいな。
そう思ってカット理論の触りの部分を書きました。
楽しんでいただけば嬉しいです。