見出し画像

いい道具からいいデザインは生まれる

当たり前のようで、自分が大事にしてる鉄則である。

ヴィダルサスーンカット、ウエットカット、ドライカットと自分のカット理論をその都度壊しては再構築していった。

ウエットカットとドライカット2つの技法はエベレストから行くのかチョモランマから行くのかくらい違う。


結局のところはおんなじ場所に辿り着くと思うのだけれどアプローチが全く違う。

アプローチが違うと扱う道具が変わってくる。

いくつものカット理論を再構築し続けた結果ハサミが5丁に増えていってしまった。


ドライカットを始めた頃なんて『ハサミ一丁で作る』をテーマにしていたからありとあらゆる切り方を研究していた。あまりにもハサミの消耗が激しいので研ぎに出す為にとお気に入りだったためおんなじのをもう一丁買ったくらいだ。

美容師用語でいうと5.5インチのメガネで材質はコバルト合金で(軟鉄なので落とすと一瞬でダメになってしまう)切れ方が柔らかいのでナチュラルで柔らかい質感を出すのが得意なハサミを2丁。

そしておんなじコバルト合金のミニセニング。襟足を薄くする時に使う。

最近ではウエットカットをベースにしたヘアデザインがトレンドでいわゆる“切りっぱなし外ハネボブ”をベースにしたデザインが多いので、切れ方が鋭くパツっとした切り口になるように6.5インチの大きいメガネタイプを使うことが多い。パリッとしたメンズの刈り上げもこれで切る事が多い。



そして均一に毛量をすくことができる6インチのセニング(スキバサミ)を一丁。セニングのネガティブな側面である“切れ毛が起こりやすい”“ダメージが出たように感じる”など、ハサミ屋さん曰くダメなセニングによるカットでちゃんと髪の毛が切れてない事が原因で起こるらしい。それらを改善したセニングでちゃんと一本一本切って均一に間引きすることができるのを最近気に入って使っている。ほんとうに優秀なセニングだと思う。


時代や切り方に合わせて計5丁。

ひとつ10万円くらいはするので結構な額になるけれど、妥協したくないしむしろ当たり前だと思っている。


いい道具からいいデザインは生まれる。

刺身や寿司のネタの切り方、切り口で全く味が違う事に感動した事がある。

イカ刺だったのだけれど、細く切っいて甘くツルッとした食感で歯応えがしっかり残っていてあまりにも洗練されていた味わいに感動した。

髪もきっと切り方、切れ方で髪の触り心地や収まりが違うと思う。

インターネットでそれを表現するのは難しいけれどクリエイターとしては妥協はしたくない。



この前お客様が

『カットでこんなにも違うんですね!感動しました!』

と言ってくれて、伝わる人にはちゃんと伝わるんだなと思って素直に嬉しかったなぁ。


似合わせも大事。質感も大事。

ぜんぶ大事。


結果、品のある華やかなオーラを纏ってていただきたい。

形がいいもの、デザインがいいものは純粋に惹かれしまう性格なので、どんどん思考を追求していってデザインに落としこんでいきたい。


まだまだ発展途上。じぶんのヘアカットが完成したなんて1ミリも思ってないし、完成するのかという疑問もあるくらいだ。


美容師として技術は常に磨いていきたいし、常に自分をアップデートし続けていきたい。

道具にこだわってるよって話でした。


今までとは違って硬めな投稿だったけれどいかがでしたか。


楽しんでいただければ嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?