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厚生年金保険の等級の上限が引き上げられるっていうけど、実質的にどのくらいの負担増になるのか計算してみた。

先日、高所得者の厚生年金保険料について、
27年9月から段階的に引き上げるという記事が出ていました。

厚労省は27年9月に保険料の算出基準となる「標準報酬月額」の上限を現在の65万円から75万円に上げる方針だった。 見直し案では68万円、71万円、75万円と3段階で上げることを検討する。 時期は調整する。 75万円に上がると本人の保険料負担は最大で月9000円ほど増える一方で、20年納めると年金が月1万円ほど増える。

厚生年金、健康保険は標準報酬月額に従って、各月の給与から一定額を徴収されることになります。以下の保険料額表を見てもらうとわかると思いますが、厚生年金については、等級が65万円(635,000円~665,000円)で保険料が打ち止めとなっています。(表の右側)

これってつまり、月665,000円以上、いくら給与をもらっても給与から差し引かれる厚生年金は変わらないということです。(59,475円が上限)

先の記事では、この上限が上がるということですね。
上限が段階的に引き上げられ、75万円が等級の上限になるという。

等級が65万円から75万円に上がった場合、
本人の保険料負担は最大で9,000円増えるとか。

見返りとして、20年納め続ければ、将来の年金が月1万円増えるそうです。

20年間の厚生年金の保険料を計算すると、
毎月9,000円×12か月×20年=2,160,000円

もらえる年金は月1万円×12か月=12万円

保険料216万円払って、年間の年金額が12万円アップ。
18年間もらい続ければ、元が取れる計算。
これが得なのかどうかは考え方次第ですが、
あなたはどう考えますか?

***

一方で、支払った保険料でどのくらい税金が安くなるのか。
等級75万円の人の年収はおよそ900万円。
その人の所得税率はざっくり20%。

それから、まだ引き続き議論しているようですが、
とりあえず103万円の壁が123万円まで上がって、
それにより基礎控除が10万円上がったので、
そこも加味して計算してみましょう。

厚生年金保険料増加額 9,000円×12月=108,000円
基礎控除増加額 100,000円
合計控除増加額 208,000円

所得税率20%とすると、
208,000円×20%=41,600円

つまり、今までより、
41,600円の税金の還付を受けられることになります。

これを自分の手元からお金がどのくらい出ていくかで見てみると、
厚生年金保険の増加支払分 △108,000円
税金還付分 +41,600円
キャッシュ追加流出額 △66,400円

年間で66,400円のキャッシュが流出することが分かりました。
ではこれが20年続くと、
66,400円×20年=1,328,000円

20年で1,328,000円の厚生年金を払うと、
年間12万円の年金の増加が見込まれる。
11年間もらい続ければ元が取れる計算。

さっきの計算より元を取るまで7年も短縮できました。
これならそんなに損ではないかもしれませんね。

ただ、このランクの年収の人のうち、
どのくらいの人が、年齢的に20年間納め続けられるのかと考えると、
多分そんなに多くない気がします。
多くの人がそこまで年金はもらえず、納め損になる可能性もあるでしょう。

日本維新の会が社会保険料の引き下げを要求
なんて記事も出ています。

今後の動向に注視していきましょう。

以上、ありがとうございました。


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