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しほちゃんは、ういている#3

 この間、夏休みに入る前の全校集会を蒸し暑い体育館でやった。制服の袖をまくり、ネクタイをゆるめても汗がタラタラと落ちる。うちわ禁止とかありえない。赤い透明な下敷きであおいでいたら、眼鏡をかけた先生に没収された。むかつく。私達は繊細なんだよ。今時エアコン無しとか、しねと言っているようなものだろう。

校長先生の話は、熱中症に気をつけましょうの話を三十分かけてじっくりと話した。どうせなら、YouTubeに上げといてほしい。わたしは絶対みない。

途中で気分の悪くなる生徒もいた。

 その中に彼女もいた。夏の体育館はサウナのように暑い。ゆだんしていると意識が遠のく。白衣を羽織った若い女の先生に肩をつかまれて、しほちゃんは色白肌に青色の絵の具を足したような顔色をして、保健室に連れられていった。彼女がいなくなっても、校長先生の話はおわらない。拷問はつづく。校長先生の話は「…では最後になりますが」の後が異様に長い。わたしは心の中で、時をかける少女のセリフである「タイムリープしてね?」を何度もつぶやきやり過ごした。

 ようやく解放されて、保健室にしほちゃんのようすを見に行った。エアコンの効いた真っ白なベッドで、しほちゃんはすやすやと眠っていた。

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