しほちゃんは、ういている#4
きょうの気温36度。わたしは制服から財布をとりだし、近くのコンビニにアイスを買いにいった。太陽が肌をじりじりと攻撃する。コンビニまでの道のりがまるで修行のようだ。每日救急車を見かける。熱中症で搬送された人だろうか。アイスがおいてある冷凍庫のしろい冷気がうでにあたり、ひんやりとする。このまま頭をいれてしまいたい衝動にかられた。冷凍庫の中は色とりどりのアイスがひきめしあって、花壇のように整頓されていた。
コンビニのレジをみると、しほちゃんがコンビニ限定のいちごフラッペを買っている。いちごフラッペは、値段が三百円もする。高級品だ。この値段のアイスを買うのは勇気がいる。わたしが普段たべている、ガリガリ君のソーダ味のアイスならゆうに三本は買える。彼女はセレブだ。
いちごフラッペは一体どんな味がするのだろう?わたしは気になって、いちごフラッペのアイスの裏面をみた。いちごの果肉がびっしりと詰まっているかき氷のようにおもえた。その艶やかな色彩は、とても食べ物にみえなかった。いちごの鮮烈なあかは、わたしの脳髄を直撃した。舌が合成着色料で真っ赤になりそうだ。インスタばえしそう。しかも、このいちごフラッペは、わたしが愛してるガリガリ君をつくっている会社と同じだった。なんとなく、愉快なきもちになった。
さんざん迷ったあげく、わたしはいつものガリガリ君のソーダ味をレジの前に持っていった。